第29話 おバカさん2号 対 いよな・沙織 1
【安里 いよな Side 】
りっちゃんはこれ見よがしにベッドに入ってた。
「いよなちゃんいらっしゃい、あと……安達さんだよね?」
「うん、お邪魔してます」
「ごめんなさいねこんな格好で……ねぇいよなちゃん?」
え?なぜ私?
「りっちゃん体調悪いのかな?それなら帰るけど?」
「体調というか心かな?ほら、いよなちゃんからイジワルされてから胸が痛いんだ……」
うーん、どうも自分のやったことは棚に上げてるっぽいなぁ。
それはよろしくないなぁ。いっぱい反省してもらってそれからどうするか考えようと思ったのに、良くない方向にりっちゃんの考えが行っちゃったみたい。
ホントに相変わらず自分本位な人だなぁ。
「なるほど……ならそうラーくんに報告するねぇ。私からイジワルされて気分が悪いって」
「またそんなイジワルする……羅怜央くんに嫌われちゃうじゃない……」
いやもう手遅れなんだけどなぁ。でも言っても聞かないんだろうなぁ。
「いやそれもう手遅れだからねぇ」
あっ言っちゃった……まあいいか。
「ラーくん言ったよね?お前をもう信頼出来ないから、これ以上付き合うのは無理だわって?」
沙織ちゃんがギョッとした顔でこっち見てる、とりあえず笑っちゃお。ニッコリ!
「違うちがうチガウ!羅怜央くんはそんなこと言ってない!」
「言ったよぉ、りっちゃんいい加減認めようよ?やっちゃだめなことしたんだよ?そりゃあラーくんじゃなくても怒るよねぇ」
「あのときも言ったけど心は羅怜央くんのものだもの」
うわぁ……チャラくん報われないなぁ。沙織ちゃんも
「まあいいや、それで?私になんの用なのかな?」
終わったことだし今さらなに言っても意味無いからもう本題に入っちゃお。
「そうだ、いよなちゃんにお願いがあったんだ!羅怜央くん今怒ってるでしょう?だから私と羅怜央くんの仲を執り成してほしいの」
「はい?なんて?」
この人は何を言ってるんだろう……
「だから、私達の仲を執り成してほしいの」
もしかして、りっちゃん今の状況をただラーくんとケンカしてるだけぐらいに思ってる?
チャラくんの方を見てみると悲しそうな顔でりっちゃんを凝視してる。
まあチャラくんからりっちゃんとラーくんがもう終ったとは諭せないよねぇ。誰のせいだって話になるもんねぇ。
だけどこれって私がなにか言っても聞かないんじゃないかな?
「チャラく〜ん、ちょっと良いかな〜?こっち来い!」
おバカさん1号を連れて廊下に出る。
「なんでこんなになるまで放っといたの?おバカさんはホントにおバカさんなのかな?」
「お前だって分かるだろうが、俺からはこの件に関しては莉音に何も言えない……」
「だからって、これはチャラくんを信じてりっちゃんを任せたラーくんの信頼を裏切ることだよね?」
「あ?羅怜央がそれ言ったのか?」
「そんな訳ないでしょ!そんなの聞かなくても分かるよ、りっちゃんじゃないんだから!」
このおバカさんはどんだけ視野狭窄になってんの?ラーくんとチャラくんが、あの状況でどんなやり取りするかくらい分かるっていうの!
「りっちゃんに現実を分からせたら良いんだよね?」
「穏便に頼む」
「無理」
凄く大変そうだけど、りっちゃんに現実を教えてあげなきゃいけないみたいだし……引き受けるんじゃなかったかなぁ。
「じゃあ戻るか~」
「穏便に頼む」
「ん、無理!」
未練がましく言ってくるチャラくんを一蹴して部屋に入る、そこにはにこやかに微笑んでいる沙織ちゃんとりっちゃんがいた。
「ん?どしたの?」
「いよなちゃん……何でもないよ?」
りっちゃんの顔が少し引きつってる?沙織ちゃんとなにか有ったのかな?沙織ちゃんはコミュ力高いし上手くりっちゃんをほぐしてくれるてるかも。
「いよなちゃん、広田さんちょっと困ったちゃんだね〜」
くれてなかったかも……
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