第24話 茶楽雄の頼み


【安里 いよな Side 】


 チャラくんに呼び止められて皆とは離れたところに連れて行かれる。

 その時にちょっとイザコザがあってチャラくんと仁くんがケンカしそうになっちゃった。

 チャラくんはよくラーくんとケンカすることもあってすぐに手が出ちゃうんだよなぁ。


 あっそうだ!


「チャラくん、ついにラーくんに負け越したんだってねぇ?あららだねぇ、カッコ悪いねぇ」


「羅怜央のやつ言いたい放題言いやがったな……いよなお前もそんなに煽るな!」


「え〜だってホントの事だもん!」


 とりあえずチャラくん煽る約束は果たさなきゃね〜


「あのときは羅怜央がキレてブーストしてただけだ!普段なら負けねぇよ!」


「キレさせたのチャラくんじゃん、自業自得って言うんだよそういうの」


「チッ、お前だって知ってたくせになに言ってやがる、それにお前にとってもチャンスだろうが……」


 それ言うんだ?それならこっちも遠慮要らないよね?


「知ってたけどホントに奪おうとするほど馬鹿だとは思わなかったもん。あとをチャラくんやりっちゃんなんかと同じだと思わないで!分かりましたかおバカさん!?」


「え?……お前マジギレしてるんかよ?」


 今更なことをチャラくんが聞いてくる、私はにっこり満面の笑みを浮かべて、


「うん♡私は本気で怒ってるよ?今更何言ってんのかなぁこのおバカさんは?チャラくんもりっちゃんもラーくんを傷付けたんだよ?赦せるわけないよねぇ?そんな事も分からないのかなぁこのおバカさんは?だからあんな事を平気でやっちゃうんだよねこのおバカさんは!ねぇおバカさん?分かってるんですかおバカさん?どうせ反省も後悔もしてないんでしょおバカさんだから!私の気持ちとか知ってるくせにあんな事言うおバカさんだから私に詫びるくらいはしても良いんじゃないのかなぁてか詫びろやこのおバカさん♡」


「うわぁ……どうするよ本題まだ言ってないのにダメっぷりがハンパねぇ」


 チャラくんが何かブツブツ言ってるなぁ、私の話を聞いてないのかな?


「聞いてるのぉチャラくん?いやおバカさん?」


「聞いてるっての……聞いてるから困ってるんだろが……あとおバカさんはやめろ」


「おバカさんが私にそんな事言えるのかなぁ。あぁそれも分からないからおバカさんなのか!」


「分かったから、ホントにおバカさんはやめろ」


 あっ本気で困ってる、まあ大分おバカさんって言って気もすんだし、今回はここで終わってあげようかな。


「それで、わざわざ下駄箱で凸してまでなんの用かなぁ」


「あー今のやり取りのあとに言えたことじゃねぇけど、莉音のことだ……」


「りっちゃん?あのおバカさん2号がどうかしたの?」


 こないだ仁くんと沙織ちゃんが来たとき、電信柱の陰から見てたのは気付いてた。けど一瞬だったから様子までは見えなかったんだよねぇ。


「おバカさん2号って……俺が言えた義理じゃないけどやめてやってくれねぇか?」


「嫌だよ?おバカさん2号の方により私は怒ってるんだけど?」


「しゃーねぇか、お前からしたら羅怜央を任せたやつが裏切ったんだからな……だがそこを曲げて頼む、あいつを赦してやってくれないか?羅怜央にバレて切られただけでも堪えてるのに、お前からもってなってかなり精神的にキてて見てられないんだ。頼む……」


 はい?なんの用かと思って聞いてみれば……


「それってぇ完全な自業自得だよね?それを何とかするのはチャラくんの役目なんじゃないかなぁ?私に頼むのは、ラーくん流に言ったら筋が違うんじゃない?」


「うぐ……」


「なんの用かと思えばチャラくんらしくもない……恋は盲目ってやつなのかなぁ。でもゴメンだけどそれは聞けないなぁ、自分たちで何とかしてねぇ」 


 きっぱりとお断りをいれる、本人が謝りに来るならまだ分かる……まあそれでも赦さないけど、分かるけどチャラくんが来るのは違うでしょ?


「筋が違うのも、本当は莉音本人が来るべきなのも分かってるそれでも頼む!」


 チャラくんが土下座してる……あまりにも流れるように土下座したから止められなかった。


「チャラくん……そこまで……」


 あのチャラくんが土下座をするなんて……人に物を頼むのも苦手な人なのに、それだけりっちゃんが大事なんだね。だったら他にやり方があっただろうに……


 仁くんたちもびっくりしてるっぽい、特にラーくんはチャラくんの性格知ってるからなおさらだよねぇ。……チャラくんにここまでさせちゃったらこの話は断れないなぁ。


「はぁ、分かったよぉ会うからそれやめて……」


「本当か!」


「今回だけだよ?それに赦すってわけじゃないからね?」


「分かった、恩に着る!」


 また土下座のまま頭を下げる。 


「だからそれやめて、男の子が簡単にそんな事しちゃダメだよ」


「ああ、すまん」


 チャラくんが立ち上がる。


「あと、さすがに今日の今日に会うのは嫌だからぁ日を改めてね?」


「分かった、改めてメッセージ送る」


「それでよろしくぅ」


 さあ仁くんたちを説得するのにホネが折れるだろうなぁ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る