第25話 誘われて 1
いよなが帰ってきた、しかしあの茶楽雄がいきなり土下座するってなんの話だったんだ?
「お帰り~いよなちゃん!大丈夫だった?」
「ちょっとびっくりしたけど大丈夫だよぉ〜」
「茶楽雄があそこまでするって、何を頼まれた?」
「な・い・しょ♪」
こいつ、しれっとホントに秘密にするつもりだな、てことは俺には言えないような事を頼まれたのか……莉音絡みかな?
「どーせ莉音に会ってくれとかそういうことだろ?」
「ぎくっ、何のことかな?あたし知らないなぁ」
「まあどうするかはお前次第だから、俺からは何も言わないけど……」
俺としてはいよなには、茶楽雄や莉音との繋がりを断ってほしくないから、どっちかって言うと茶楽雄の話に乗って欲しいところではあるが……仁が言ってたことも気になるんだよなぁ。
「安里さん、それって1人で会うのかな?」
仁も気になるみたいでいよなに聞いている。
「あたし内緒って言ってるもん!だからなにも言わないもん!」
「そういうのは良いから、サッサと茶楽雄との話を聞かせろ」
「ぶー、ラーくんいけず!」
「いいからちゃっちゃか吐きやがれ」
「はーい、チャラくんにりっちゃんと会ってくれって言われましたー。で、断ったら土下座されたので会うことにしましたー。だから会うよ?」
まぁあの茶楽雄が頭を下げるどころか土下座までするんだ、莉音も相当参ってるのかもな……もう俺にはしてやれることはなにもないけどな。
てか、莉音がそこまでへこむってどんだけの事言ったんだこいつ……
「いいのか羅怜央、安里さん1人で行かせて?」
「なんか話的に茶楽雄も付き添うだろうから、そういう意味では安心度は高いよ。お前が気にしてくれているのは分かるけど、まぁ俺を信じてくれ」
「そだよ〜仁くん、羅怜央くんを信じようよ〜」
あれ?安達さんが俺を名前呼び?
「安達さん……」
「あ~私だけ仲間はずれは悲しいよ〜沙織って呼んでよ〜」
仁の方を見るとむずかしい顔してる。そりゃあ彼氏としては良い顔しないだろ、
「そんな顔すんな……安達さんはああ言ってるけど呼ばねぇよ」
「え?いやそれは沙織が良いんなら良いんだけど、やっぱり安里さんの件が気になってなぁ」
「いいのかよ!それで何が気になるんだよ?言っちゃ何だが茶楽雄が居れば安全ではあるぞ?いやまあ俺のが強えけどな!」
「我田引水〜!……やっぱり気にし過ぎかな?沙織はどう思う?」
「う〜ん仁くん気にし過ぎかなって思うよ?でもそんなに気になるなら、私がいよなちゃんに付き添おうか?」
「え〜そんなのいいのに〜、でも沙織ちゃんが来てくれたら嬉しいかもぉ〜。チャラくんも文句は言わないでしょ。てか言わさないよぉ!」
「沙織さん、そういうことなら悪いけど頼んで良いか?まぁ気にし過ぎのような気がするけど何もなければそれが一番いいから……」
安達さん改め沙織さんに頼む。幼馴染に会うのになんでここまで警戒しながら会わなければならんのかと思う。
けどもあの時の莉音の取り乱し様や、茶楽雄と
「あとはチャラくんからの連絡待ちだからぁ今はどうしようもないよ〜、だから帰ろうよぉ」
「だねぇもう帰ろうか〜」
女子2人が話を切り上げて帰る段取りをし始めた。さっきまでどこか寂しそうにこっちを見てた茶楽雄も、いつの間にか居なくなってる……
「そうだな帰ろうか。そうだ仁、こないだの試合見たか?」
話をわざと変えて雰囲気を弛緩させる。そのまま4人で下校した。
翌日沙織さんから誘われて、2人で駅近くのファミレスに入った。
「どうした沙織さん?いよなたちは後から来るのか?」
「仁くんもいよなちゃんも今日は来ないよ〜?羅怜央くんと2人で来たかったんだ」
あの2人無しに沙織さんと2人ってのは珍しいな。なんの用だろう?
「あ〜なんの用事だろう?って顔してる〜。羅怜央くん私と2人じゃ嫌?」
「いや?そんなことないぞ。ただ仁は良いのかなと思ってな……」
なんか気になるから念の為予防線を張っとくか。仁の名前を出しとけば妙な雰囲気にもならないだろ……
「クスッ、今日は仁くんは関係ないのです!羅怜央くんとしたいな〜と思って……」
「何を?」
「さぁ、なんだろうね?当ててみて?」
沙織さんが妖しく微笑いながら。
「羅怜央くん、私としよっか?」
と囁いた……
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