第20話 勉強会の前
いよなが逃亡を計った……おばさんが捕獲して差し出してきたので事なきを得たが、往生際の悪いやつだな。
「ママがラーくん側なんて……裏切られた気分だよ」
「どこの世界に勉強会から逃げる娘を助ける母親が居るんだよ?」
「ここに居てほしかったよぉ」
リビングのテーブルにぐで~となりながら、ありえない希望を述べるいよな。黒幕がおばさんなんだからその世界線は絶対にないんだよ……言わないけど。
「昼過ぎに新が来るから、来たら早速始めるぞ?」
「は〜い、もう諦めたもん」
「お前のためなんだがなぁ、普段から勉強してたらこんな事しなくて良いんだからな……」
「お説教聞きたくない〜」
あーあ、駄々っ子モードに入ったか面倒くせえな。
「あとで飴ちゃんやるからガンバレ」
「あたし子供じゃないんだけどなぁ〜」
「そうかよ、で予習とかってやって……ないよな?」
「やると思いますかぁ?」
うわぁうぜぇ……まあこういう状態の時のほうが真面目に勉強するから我慢するか……
ちょっと早めの昼食を食べて新たちの訪問を待つ、昼食を食べてから来るとのことだったので、もうちょいあとかな。
「どうする?もう始めるか?」
「新くんが来てからでいいよぉ、それよりコーヒー淹れて〜」
「お前は何様なんだ……まあいいや待ってろ」
コーヒーを淹れてリビングに戻ってみるといよながスピスピ眠っていた……マジか?コーヒーを淹れてくるこの短時間で眠るか普通。
「おい、いよな起きろー!」
「う〜んもう食べられないよ〜」
「嘘……だろ……」
今どきそんな寝言を言うやつがいるのか?もう1回言ってくれないかな?録音するから……
隣に座っていよなの寝顔を覗き込む。こいつが居なかったら茶楽雄と莉音に裏切れ、人間不信になってたかもしれないな……そういう意味ではこいつには感謝しかない。
人差し指で寝てるいよなのほっぺたを突っつく、そうするとグズるのがなんか可愛くて何度か突っついてしまう。
「うりゃそりゃ」
「う〜んやぁ〜」
おーほっぺた柔らけー。っていかんいかん、こないだみたいなピンクな雰囲気になりたくないからここらで止めとこう。
「ほら起きろ!いよな!」
「うーもぉー、ねーむーいーのぉー」
「コーヒー淹れて来たぞ!冷めるだろうが!」
「もぉ〜いじわるぅ〜!飲みますぅ」
よし起きたな、コーヒーを冷ますことは許さん。
「うーん、やっぱりラーくんのコーヒー美味しいね」
「いや、お前は砂糖と牛乳入れ過ぎで味なんかわかんねぇだろ!」
こいつは甘党なうえ苦いの苦手なため、コーヒー淹れてやってもカフェオレも真っ青なほど砂糖と牛乳を入れるから味も熱さもあったもんじゃねぇ。そこまで無理して飲まなくてもいいのに、どういうわけかウチでコーヒーを飲みたがる。
「チッチッチッ、分かってないなぁラーくんは!ラーくんが淹れたコーヒーで作るカフェオレが美味しいんだよぉ!」
「はいはい、さいでっか。そろそろ新が来るから覚悟決めとけよ?」
「うー、べんきょーいやだなぁ。新くん来るんだしゲームしようよ!来週の学食賭けて」
「ぜってぇやらねーよ!?人をカモにすんじゃねぇーよ!」
なんつーおっかねぇ事言ってやがる……まだいよなへの報酬の学食を払いきっていないのに、これ以上負債を抱えてたまるか!
「ピンポーン」
おっと誰か来たようだ。というかこのタイミングだと十中八九新だな。
「やっと来たか……いよな勉強すんぞ準備しとけ」
「はーい、しかたないなぁ」
いよなに準備を促して玄関へ来客を迎えに行く。扉を開けるとウルフカットの女性が、新と思われる物体のシャツの襟を掴んで引きずっている。
「こんにちは〜根都くん!勉強しに来たよ〜」
「こんにちは、いらっしゃい。えっと、新の彼女さんで良いのかな?そんで、その物体は新だよねどうしたの?」
「私は安達 沙織と言います。同じ学校なんだけど見覚えないかな?あと遺憾ながらこの物体の彼女してます。仁くん今更逃げようとしたから捕獲したの!」
いよなと同じような行動してやがんな……てか言い出しっぺが逃げてどうする。
「まあ上がりなよ。とりあえずコーヒー淹れるから」
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
やっとこの4人が集まった……
しばらくはこの4人がメインになります。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
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私の作品なので変かもしれませんが、もしよければ御一読ください!
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