第19話 新しい日常


 新に頼んだ情報操作は上手くいったようで、いよな情報でも莉音の周囲に男の影は無いようだ。まあ茶楽雄に出来る援護はここまでで、あとは勝手にやってくれって感じだな……


「新、世話になったな」


「なんのなんの、お礼はラーメン1杯で良いよ?」


「たくっ……そんなこったろうと思ったよ……分かった来々軒で良いか?」


「毎度!」


 まあ、思った以上に使えるし空気も読めるやつみたいだから、付き合いを持ってみるのもいいかもな……





「それで新くんと近頃一緒に居ることが多いんだねぇ」


 登校中に新に頼んでいた情報操作の説明をするとそんな事を言ってきた。言われてみれば何気にあいつとつるむことが増えてきた気がする。

 スルッと人の懐に入ってくる妙な人懐っこさがあるやつで、気付いたら一緒に居ることが増えている。


「ああいう性格のやつは得だなぁ」


「ラーくんも結構いい性格してるよぉ?」


「何言ってんだよ、この謙虚が服を着て歩いていると評判の羅怜央くんをつかまえて」


「そーいうとこだよラーくん……」


「なんのことだろな?ところで中間テストの勉強ちゃんとやってるか?」


 雑に会話の内容を切り替える。まあ実際にこの幼馴染さまは勉強があまりお得意ではないため、せっつかないと勉強しやがらない。

 今も視線をツーっとズラして吹けもしない口笛を吹いてごまかしている。


「しかたない……恒例の勉強会やるか」


「えー?今回はいいよぉ!ラーくん1人だとあたしの相手は大変でしょ?」


「いーや、やる!実は新にも勉強教えてくれと頼まれてるんだ、お前も一緒にやるぞ?今回は人数多めだし俺1人だからスパルタで行くからな?」


「いーやー!」


「やかましい、諦めろ決定事項だ」


「クスン……優しくしてね?」


 上目遣いにそんな事を言ってくる。またそういうあざとい事を……だが俺にその手が通用すると思うなよ?


「ふん!無駄無駄ー!お前のその武器が俺に効くと思うなよ?」


「ちっ、ラーくんのいけず!」


「お前のためを思ってやってやるのに……幼馴染が留年ダブりとかしないようにってな」


「そんな気遣い要らないのにぃ」


 往生際の悪いやつだな……おばさんからも頼まれてるから手は抜けないんだよ。


「成績で俺を抜けたらもうやらないから頑張ってみるか?」


 ちょっとイジワル言ってみる。俺といよなの成績には大きな隔たりがあるから、かなり頑張らないと抜くことは難しい。


「そんな事出来たらとっくに抜いてマウント取ってるよぉ」


「マウント取るんかい!歪んでんなぁ」


「普通こういう男女の幼馴染って、女の子のほうが勉強出来る設定じゃないのぉ?」


「なんだよ設定って……勉強会は明後日の土曜日な?逃げるなよ?」


「はーい」





 教室の自席に座ると向かいの席の新が、振り返って当たり前のように話しかけてくる。


「おはよーさん、根都。いつものように安里さんと登校か、安里さんファンがお前の襲撃計画練ってたぞ?」


「あいよ、おはよ。しかしマジか……誰だそいつ等?とりあえず潰しとくから教えてくれ」


「ハッハッハ、物騒だな!」


「殺られる前に殺る。鉄則だぞ?」


「そいつ等に忠告しといてやるよ」


「そうしてくれ……それと言ってた勉強会、明後日の土曜日で良いか?」


 こっちの都合なので予定を聞いておかないと、こいつと先に約束してるので場合によっては変更しなきゃだし……


「大丈夫!それと彼女連れてきても良いか?」


「あん?いよなも参加するから、これ以上は面倒見きれないぞ?」


「大丈夫大丈夫!沙織は俺と違って勉強出来るから。根都だけだと大変だろうからってさ」


 そういうことなら手が増えるのはありがたい……


「それなら大丈夫だ、いよなも居るから大変だと思ってたんだ……助かる」


「なら明後日の土曜日、昼過ぎにお邪魔するよ」


「おう」






◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。


羅怜央くんシリーズの前作では書けなかった学校生活を今作ではできる範囲で書いていきたいと思います。ンドバシュは書きません!(多分)


次回も読んでいただけると嬉しいです。



カクヨムコン用連載です!

あまり手を出していなかった異世界ファンタジーです!

「マンホールに落ちたらそこは異世界でした〜スマホでつながる妹と現地のヒロインどっちが良い?〜」


https://kakuyomu.jp/works/16817330666797269651


私の作品なので変かもしれませんが、もしよければ御一読ください!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る