第12話 情事 3 終わりの始まり

 

 いよなと2人、学校に忘れ物を取りに行くふりをして、お隣安里宅のいよなの部屋で成り行きを見守る。

 ちなみに声が向こうに届かないようにここからは筆談にする。


『ここまでは順調だな』


『そだねぇお芝居上手く行ったねぇ』


 筆談でもその語尾なんだ……さすがいよな。さすいよ。


『それで向こうの音聞こえてる?』


『ああ、感度良好』


 スマホの向こうから莉音の声と、ちょっといつもより饒舌な茶楽雄の声が聞こえる。


「いっそのことお前もこのゲーム覚えて、羅怜央をボコしてやれ」


「そんな事したら羅怜央くん拗ねちゃうわよ」


「クックックッ、アイツらしくていいじゃねぇか」


 なんだと?俺はもっと男らしいわ!




 それからもしばらくは雑談したり無言の時間があったりと、俺達が居たときと変わらない感じで時間が過ぎていった。

 30分ほど過ぎた辺りで莉音から不穏な言葉が出てきた、


「やめて!茶楽雄くん……もうこういう事はやめましょう?」


「なに言ってやがる……お前はもう羅怜央じゃ満足できねぇよ」


「そんな事ない!」


「あるさ……お前も分かってるんだろ?」


「羅怜央くんとは心が満たされるの。あなたとはそれがない」


「言ってくれるな?つまりあいつとじゃ体は満足できないってことだろ?」


「あなたとでもよ!」


「クックッなら試してみるか?」


「あっあん、こんなところで本気?」


「燃えるだろうが」


 流れるようにセックスになだれ込む茶楽雄に拒む気配を見せない莉音。その慣れた雰囲気が、分かっていてもなかなかにヘヴィだな。


『向こうに行く?』


「………………」


「ラーくん……」


 はっ!なにも考えられなかった、やっぱり想像と実際耳にするのとではショックの度合いが違うな……


「すまん行こう」


「ラーくん録音はしてるから後からでもいいんだよ?」


 今も莉音のくぐもった喘ぎ声がスマホから聞こえてくる。


「今もこいつら俺の部屋で致してやがるから、行って懲らしめてやらないとな。お前こそショッキングな場面になるから来ないほうが良いかもだぞ?」


「私はふたりに怒ってるの……だから行くよ」


 いよなにはここまで手伝ってもらっただけで凄くありがたいのだが、男を知らないいよなにこれ以上を見せるのは憚られる。

 茶楽雄くんはご立派なモノをお持ちのようだし?いよなの未来の彼氏さんが比べられたらかわいそうだから、ここで降りるべきなんじゃないか?


「ここまで手伝ってくれただけでもありがたいから、ホントに来ないほうが良いと思うぞ?グロいもん見ることになるし……」


「グロいモノ?」


「そうそう、茶楽雄のちゃらおくん?」


「?……!ラーくんのエッチ!」


 「しー!ばか気付かれる……」


「知らない!」


 さ〜て、話のキリもいいところだし行ってこようか。


「じゃあ行くわ……」


「私も行くよ!」


「分かった……もう止めねぇよ」




 安里宅からウチに移動、玄関を開けるところは緊張したがバレずに入ることが出来た。てかこれは気付かねぇわ……


「あっあっ!ダメェ……あん……いい!もっと!」


 ここまで聞こえてくるってどんだけだよ……俺は聞いたことないぞこんな声……

 いよなが真っ赤になって俯いてる。だから言ったのに……


「いよな?今ならまだ帰れるぞ?」


「帰らないもん」


「わ〜たよ」


 こっちの気も知らずにお楽しみ中の2人はノリノリである。


「オラ莉音、羅怜央とどっちが良いんだ!言えよ!」


「ダメ!言えない……言えないー!あぁん」


「あん?言わねえとやめちまうぞ?オラ!」


 こいつセックス中もオラオラ系かよオラオラ言ってるし……


「いやいや!茶楽雄くん……茶楽雄くんのがいいです!だからやめないで!もっとしてー!」


 な〜にが俺とだったら心が満たされるだ……


「ラーくん……もう行こう?終わらせよう?」


「ああ……」


 終わりを始めよう。


「そこまでだ……2人とも動くなよ?」






◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。


やっとプロローグに繋がりました。

思いの外長かった……


次回は修羅場DEATHよ〜寒っ


次回も読んでいただけると嬉しいです。




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