第11話 情事 2 莉音
【広田 莉音 Side 】
「俺……莉音のことが好きだ!付き合ってくれないか?」
中学2年生の晩夏という時期に羅怜央くんから告白された。
このところ彼と茶楽雄くんの私を見る目が変わってきてる、そう感じてたのは錯覚や自意識過剰ではなかった……
小学生のときから続いている4人の関係が好きだった私には、出来れば錯覚であってほしかった。そんなわがままな想いが出てしまう。
それに私は羅怜央くんも茶楽雄くんも両方とも好きだから、どちらも選べなかったし選ばせてほしくなかった。
でも、羅怜央くんの瞳が真っ直ぐ私を射抜いてる、この人は真っ直ぐブレずに私を見てくれるだろうと信じられた。だからこの人の告白を受け入れた……
付き合いだしてからも、羅怜央くんは思った通り真っ直ぐな好意をぶつけてくれる。それが心地よくて心が満たされて愛されている実感を持てて、だから素直に羅怜央くんの求めに応じて私の初めてを捧げられた。
「……痛っ……大丈夫!大丈夫だから私をあなたのものにして?あっあぁ」
痛かった……でも羅怜央くんとひとつになれた実感と、体を包み込むような幸福感で痛みなんて忘れてしまえた。
今思い返したら、ここからしばらくは1番悩みも苦しみもない幸せな時間だったと思う。羅怜央くんは私だけを見てくれて、私も羅怜央くんだけを見ていられた……でもその幸福を私は自分の裏切りでなくしてしまった。
始まりは茶楽雄くんの告白からだった……
「俺はお前に惚れてる、俺と付き合えよ」
「気持ちは嬉しいけど私には羅怜央くんが居るの」
「やっぱりあいつの……事が好きか?」
「当たり前です」
「分かった……お前のことは……諦める」
「ごめんなさい」
「だから俺に思い出をくれないか?」
今思えばこの時が引き返せる最後のチャンスだった……なぜ茶楽雄くんを受け入れたのか。ただ1度だけ、この1度の思い出で茶楽雄くんが納得してくれるのならと、傲慢にも思ってしまったから……そして私は蜘蛛に捕らわれた。
「あっすごいっ……なにこれ……こんなの知らない……」
「だめぇ……いい……あっそこだめぇ」
「あっダメダメダメダメぇ……あっー!」
何かが頭の中で弾けて、残ったのは気持ちよさだけだった……
「ハァハァハァハァ───」
知らない世界がそこにあった、羅怜央くんとのセックスが愛を確かめ合うもので私を包みこんでくれて幸福にしてくれるものなら、茶楽雄くんとのセックスは欲と本能をぶつけあって相手をむさぼり食う、自分が気持ち良くなるために相手を気持ち良くするものだった。そして私は初めての絶頂を知ってしまった……
羅怜央君以外のひとで初めてイッてしまったその罪悪感に、私はもう一つの裏切りを犯してしまう。羅怜央くんとの行為の後……
「今までで一番すごかった……こんなに気持ちよかったの初めて……はしたなくてごめんね、でも愛してる」
彼で初めてイッたと嘘をついた。でもかれを愛していることは嘘じゃない、だからそんなにたいしたことではないはずだ。
羅怜央くんとの逢瀬を重ねながらも、茶楽雄くんとも会ってしまう。いけないことだと分かっていても抗えない、快楽という名の地獄だった。
「あのときだけって約束だよ?」
「そんなこと言ってもよぉ」
「やめてあなたを嫌いになりたくないの……」
口では拒絶していても体が期待してしまっているのが分かる……ふたりで会わなければ良いのに会っているのだからどの口が言うのか。
「だめよ……あんそんなとこぉ……」
「いい!あんあぁ……そこぉ」
「あああああーーイクッ」
またイカされた……
「ハァハァハァハァ……嫌いよ……」
せめて強がりを言うことしかできない。
「クククッそうかよ?その割には……なぁ」
「えっうそまた?……あんっ」
もう私の体の隅々まで茶楽雄くんに毒されて、ぐずぐずに溶けてしまうような気持ちよさから抜け出せなくなってる。
心は羅怜央くんのもとにある……その証にキスだけは茶楽雄くんに許してない。それが免罪符になるとは思っていないけど、その事実だけが私の最後の拠り所になっていた。
でもそれもどこまで保つだろう……この抗えない悦楽に心まで溶かされたら、私は羅怜央くんを想い続けることが出来るだろうか……
お願いしますこれ以上私を溶かさないで……
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
前話に続いて消されないかな……話の展開上どうしても必要なんです!多分……
次回も読んでいただけると嬉しいです。
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私の作品なので他の方の作品と違って変かもですが、よかったら御一読ください!
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