第9話 決行
土曜日……平成14年から始まった完全週休二日制によりこの曜日は休日になった。それまで土曜日は午前中だけ授業が有って午後から休みのいわゆる「半ドン」だったそうだ。オヤジ達でもギリギリ知ってるかどうかの昔の話だけどな……
先週と同じく我が家で4人が集まって喋っているときにそんな雑学を披露した、
「土曜日まで学校とかイヤだよね〜」
「だよな、今は週休3日とか言ってる時代だからな」
「週の半分は休み過ぎのような……」
俺は週休3日賛成派だな。
いつの間にかいよながゲームを引っ張り出して来て茶楽雄とバトってた。傍若無人……
それをなにも考えずに観戦していると隣りに座ってきた莉音が腕を絡める。そちらに顔を向けてみると、ちょっと恥ずかしそうに微笑みかけてくる。以前なら微笑み返しただろうが、今は払いのけないようにするので精一杯。
「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ今逃げたら怪しまれる逃げたら駄目だ!」
見るに見かねたのか、いよなが助け舟をだしてくれる。
「りっちゃん、たまには対戦しようよ〜あたしとやろ?」
「う〜んいいけど……手加減してね?」
莉音が離れていく、入れ違いで茶楽雄が近付いて来て、
「どうしたまだ体調悪いのか?このところ変だぞ?」
「気のせいだろ?体調は大丈夫だから気にすんな……」
「そうか……何気にお前体調崩しやすいから気を付けろ。きつかったら言えよ?」
お前らのせいなんだけどな……でも気にしてはくれるんだな、それならなぜ莉音に手を出した?
こいつは見た目はチャラいし性格はオレ様なところがあってキツイが、根は真っすぐないい奴でこういう気遣いも俺達4人の中で1番出来る。と思ってたんだけどな……そんなこいつでも抗えないほど莉音に対する想いが強かったのか。それならまず俺に言ってこいよ、殴り倒してそんな気無くさせてやったのに。
良くない良くないどうしても恨み節が出てしまうな、こいつらと決別後にまでこの考え方を引っ張らないようにしないとな。
「悪いな」
「気にすんな、お前と俺の仲だろうが」
お前は気にしろよ……ってだから駄目だってばよ!
いよなと莉音の対戦も終わった頃、そろそろ俺が限界近いのでちょっと早いが作戦決行することにした。
「コーヒー淹れて来るけど要るやつ?」
これが合図、いつもこんなときは全員欲しがる、今回も狙い通り全員欲しがったので、
「いよな運ぶの手伝え」
「え〜めんどくさい〜」
え?こいつマジか、打ち合わせと違うじゃんか……
「いいから来いよ、たまには手伝え!」
「ぶ〜、はぁい。
アドリブ入れるなよ、おっかないなぁ。
「お前なんでアドリブ入れてんの?」
焦りのアイアンクローをカマしながら詰問する。いよなはまた片膝付いて耐えながら……ってだからパンツ見えたぞ?ピンク……
「いったーい!あっお星さま……」
まずいまずいなんかパンツだけじゃなくて、見えちゃいけないものも見えてるっぽい。
「お星さま綺麗かった……ふぅ1回くらいは嫌がらないとあたしらしくないじゃんかぁ」
こいつなりに考えてくれてたみたいだな。
「そうかゴメンな」
「良いんだよぉアイアンクローの分はあとでおかえしするけどネ」
まあ甘んじて受けよう……
「さて、じゃあ始めようか?」
「は〜い」
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
ついに糾弾というか嫌がらせというかが始まります。
ほぼノープランなので不安ですが大丈夫でしょうか?心配です(棒)
次回も読んでいただけると嬉しいです。
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