第5話 浮気 3
いよなの前で大号泣ってめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど。
正気に戻ったというか、泣き疲れて素に戻ったというか……今現在もいよなの腕の中なんですけど……やたら柔らかいし温かいしめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど?
「いよなありがと、もういいよ?」
「あん、まだだめだよぉ、あたしも泣いちゃったから目が腫れてんのぉ。見ちゃだめ!だからもうちょっとこのままぁ!」
「うっさい、俺は恥ずかしいんだよ!ドッセイ!」
力技で抱きついているいよなを引き剥がす。
「キャッ!もう強引なんだからぁ……こっち見ないで!」
引き剥がされたいよながそっぽをむいた。
いよなは泣き腫らした目を見られることが、そして俺は号泣した事自体が恥ずかしくてお互いの顔を見られないまま無言の時間を過ごす……
俺達4人は小学生のときから一緒にいた、それぞれ性格も物事に対する好みや考え方も見事にバラバラだけどなぜかウマがあった。
その4人の関係性に変化を加えたのは多分俺なんだろう……中学に上がる頃から莉音の一挙手一投足が気になりだし、それが恋なんだと気付いた2年生のとき迷うことなく告白。莉音はその時ちょっと困ったような顔をしたけど、告白を受け入れてくれたし茶楽雄もいよなも祝福してくれた。
幸いと言うべきなのだろう、2人が付き合う事になっても4人の仲が壊れることはなかった。ただどうしても付き合いなどの優先順位で上下が出来てしまったが……
ちょっと歪になった4人の関係だが高校生になっても相変わらず良好だった……良好だと信じていた……
まさか莉音と茶楽雄が俺を裏切るとは思ってもみなかった……
なにがいけなかったのかな?
【安里 いよな Side 】
あたしとラーくんは生まれた時からの幼馴染みなの。ラーくんが2日お兄さんだから、あたしの人生でラーくんが居ない時なんて1日たりともなかったんだぁ。
物心付く前から小学校2年生までずっとふたりで遊んでた……3年生にあがった時にりっちゃんとチャラくんに知り合ったけどね。
5年生辺りから男女の性差で隔たりが出来てくるものだけど、あたし達のラーくんを芯にした関係は変わらなかった。
でも、中学生になった辺りからあたし達の関係に変化が訪れた。ラーくんがりっちゃんの事を目で追うことが増えて来たの。あぁこれはラーくんがりっちゃんに恋してるなとすぐわかっちゃった……
ラーくんとりっちゃんが付き合いだしたと、報告を受けたときのチャラくんの目を今でも忘れない。多分あたしも同じ目をしてたから……なんとか心中を隠して祝福出来たけどね。チャラくんも祝福したのは驚いたけど、なんか心ここにあらずって感じだったな。
ただ、ラーくんを芯にしていた関係がこのときに芯が2本になっちゃった。あたしの芯はラーくんで、チャラくんの芯がりっちゃんに……
芯が2本になって回転が歪になった関係は、どこかでぶつかるだろうと思ってた。
だからその時ラーくんが傷つかなければ良いなと思ってたけど、最悪のぶつかり方をしちゃったな……
りっちゃん?チャラくん?ラーくんを傷つけたふたりを私は許さないよ?
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
羅怜央くんといよなちゃんの、仲良し4人組に対する認識の違いが浮き彫りになりました。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
恒例の宣伝!
サレ妻の痛快復讐ものです!ドロドロ成分少なめです。ざまぁもあります!
コンテスト出品作品ですので応援してくださいお願いします!
https://kakuyomu.jp/works/16817330665273163974
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます