第3話 浮気 1


 いよなが突き付けたスマホの画面には、腕を組んでホテルに入っていく、茶楽雄と莉音と思われる2人の動画が撮られていた。


「私があの2人を怪しいって思ったのは……」


「やめてくれ、なんかの冗談なんだよな?それともビックリかなんかか?」


 そうだよ……莉音が俺を裏切るはずがないじゃんか!茶楽雄だって今日はバイトだって言ってたし……

 いよなを放置して茶楽雄のバイト先へ電話する、いよなは悲しそうにそんな俺を見ていた。


「すいません、バイトの下司野をお願いします。そうですか……すいません」


 来ていない……昨日言ってたことは嘘だった?莉音の家に架けてみる、


「あっおばさん?莉音帰ってきた?……そう、いやいい……ありがとう」


 莉音も帰ってきていない。茶楽雄の家……は固定電話ないな……


「りっちゃんかチャラくんには直接架けないの?」


「っ!」


「じゃあ続けるね?私があの2人を怪しいって思ったのは、昨日なんだ……」


「昨日?」


ああ駄目だ……1回聞き始めたらもう抗えない……


「そうだよ?昨日4人でゲームして遊んでるとき。私とラーくんが対戦してるときに、りっちゃんとチャラくんがラーくんの後ろで手の指を絡ませてたんだぁ……ほんのちょっとの間だったけどね?」

「それでおや?って思ったんだ。確信したのはそのあとラーくんが今日のデートに誘ったとき。りっちゃん断ったよね?」


「ああ、用事が有るってな……」


「その時りっちゃん一瞬チャラくんの方を見たんだ……そしたらチャラくんは笑ってた。勝ち誇ったようなあまりいい顔じゃなかったなぁ」


「茶楽雄……」


「それで2人は今日会うって確信したから、悪いとは思ったけどりっちゃんを尾行したらチャラくんと落ち合ってお茶してここに来た」

「あとは頭に来てなにも考えずにラーくんのところに行っちゃった……知らない方が良かったかな?」


「確かに知らない方が幸せだったかもな?」


 胸が痛ぇ、こんな痛いのは人生で初めての経験だ。知らなかったらこんな痛みは感じずにすんだな。でも知らなかったら馬鹿みたいにボケッとして後でもっと苦しんでたんだろうな……


「でも、知らなかったら俺は道化だったな。いやまあ今でも十分道化か……」


「ラーくん……ごめんね……」


「いよなは悪くないだろ」


「それでもだよ、もうちょっと違う形で教えてあげるべきだったよね」


 それは……そうかも?もうちょいマイルドに聞きたかった。けど、


「ははは……頭に血がのぼってたんだろ?悪いのは莉音と茶楽雄だよいよなじゃない……」


 責められるべきはいよなではない、浮気をした莉音だし、俺がいるのを知ってて手を出した茶楽雄だ。


「ありがとね。でも連れてきておいてなんだけど、2人が出てきたところを捕まえても誤魔化されるかもだね」


「そーだな……体調くずしたから休ませてたとか?とにかくどっかに隠れねぇか?ここだと鉢合わせしちまう……」


「それならそあの路地とかダメ?あそこなら出口見えるし距離もそんなに離れてないよ」


 このホテルを見張るのにちょうどよさげな路地を指さし提案する。

 確かに狙ってる?てくらいおあつらえ向きな角度・距離にある。こういうのもご都合主義っていうのかね……


「いいぞ、あそこで見張ろう」




 路地に入り2人とも無言でホテル入り口を見張る。その空気に耐えられず、


「なんか張り込みしてる刑事みたいだな?」


「じゃあアンパンと牛乳の差し入れいる?」


「ハハハ、いいなそれ…………」


「…………」


「…………」


 会話が進まない……空気が重い。


「出て来た……」






◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。



張り込みにアンパンと牛乳ってネタとして今時通用するのか?永遠のテーマですね。


次回も読んでいただけると嬉しいです。




サレ妻の復讐ものです!ドロドロしてません!ハッピーエンドです!

コンテスト出品作品です応募作内では上位に居ます。あとちょっとでトップ取れそうなので応援お願いします!


https://kakuyomu.jp/works/16817330665273163974



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