第2話 トランプタワー


 日曜日……言わずと知れた休日で1日中遊べる日なんどけど、莉音には昨日フラレたし茶楽雄はバイトって言ってたし、いよなはどっか行ったらしいしで誰も遊んでくれない。


「暇だな……」


 独り言ちるが応えはない……寂しい。クソ!いよなくらいは遊んでくれると思ってたのに。あいつどこ行ってんだ?

 おばさんに聞いても、なんか朝から出かけたって事くらいしかわからないし……彼氏でも出来たか?いやそんな事があったら、あいつがドヤらないわけがない。


 だいたい元々あいつに彼氏がいないのがおかしいんだよなぁ。莉音ほどじゃない(当社比)けど可愛いし、莉音ほどじゃない(当社比)けどスタイルも良い、おまけに莉音と違って社交的で誰彼構わずにあざとさを振りまいてる……

 ソフトなボディタッチとか、上目遣いからの意味深なセリフに名前呼びorあだ名呼びなどなど……

 そんなことされたら、「こいつ俺のこと好きなんじゃね?」ってなるよな?それで「いける!」と思って告白したら、


「あたし、そんなつもりじゃ無かったしぃ。◯◯くんとは良いお友達のつもりだったんだもん」


 って梯子外すんだぜ信じられるか?それで、ついたあだ名が「子悪魔いよな」「天然悪女」「魔性の女」

 

 これじゃあ女子からはさぞかし嫌われているだろうと思いきや、撃沈する男どもを見るのが面白いのか、はたまた小柄で庇護欲をそそる体格と持ち前のあざとさが、上手く女子のハートを撃ち抜いてるのか女子からもかわいがられている。ある意味無敵だな……



 そんな人気者のいよなと男子に隠れ人気のあった莉音と、昔から仲が良くてつるんでいる俺と茶楽雄にはやっかみが凄かった……まあ茶楽雄はどこ吹く風だったけど、俺のガラスのハートにはかなり堪えた。堪えたので絡んでくるやつをあの手この手で撃退してたらお友達がいっぱい増えた。あれ?




「なんでこんなときに限ってこれほどのものが出来上がるんだ。青春の無駄遣い過ぎる……」


 こんなときばかりに発揮される集中力とあまりの暇さで顕現したバベルの塔、俺の部屋のコタツ兼テーブル狭しと広がる5段のトランプタワーを満足気に眺めながらスマホのカメラを向ける。

 いざ撮影!とその時、


 バン!!と扉が開く音とともに


「ラーくん!ちょっと今いいか……な……?」


「あ……あぁ……2時間……かかったのに……」


「え~とぉ……ごめんね?」


「い・よ・な〜!」


「ごめんて言ったもんー!痛い!イーターイー!」


 とりあえず怒りのアイアンクローをかます、いよなは片膝をついてそれに耐えるって……パンツ見えるぞ?


 「お前、朝からどこ行ってたんだ?いよながいないお陰でこんなバベルの塔建てちまったじゃねぇーか」


「普通に話しかけないで〜、とりあえずこの手を放そ?」


 おお!あまりのジャストフィットぶりに放すの忘れてた……


「すまんすまん、で?どこ行ってたん?」


「ちょっと尾行をね……」


「尾行って誰をよ?」


「ラーくん、ちょっとに付いてきてくれるかな?」


 うわぁ久しぶりに出たよ、いよなの「私」呼びが……

 こいつ俺達4人の誰かに本気で怒ったときだけ自分の事を「私」呼びする。


「あれ~?俺なんかしたか?このところおとなしくしてたよな……」


「ラーくんじゃないよ?あ~でもちょっと冷静に考えたらラーくんは来ないほうが幸せかも……ごめんねラーくんやっぱり忘れて?」


 おいおい、不穏な話だな……


「対象が俺じゃなくて俺が来ないほうが幸せって、莉音くらいしかいねぇじゃねぇーか。あいつがお前を怒らせるって珍しいな?」


「あちゃ〜私バカだな……頭に血がのぼってたから考え無しに……どうするのよ?取り返しつかない……」


「良いから話せ、莉音が何した?」


「ごめんネ、説明もするけど見てもらったほうが早いと思うから付いてきて?」




 いよなに連れて来られたのは、駅近くのラブホが数軒並んでいる区画だった。


「おいおい、こんなところに連れてきてどういうつもりだよ?」


「私が今日の朝から尾行してたのはりっちゃんとチャラくんなんだ……」


 質問には答えずに不穏な事を話し出す……


「そしてさっきふたりはこのラブホテルに入っていったんだ……」


 スマホの画面を俺に突き付けながら……







◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。


とりあえず、いよなちゃんひまなのね……

私は不器用なのでトランプタワーは良いとこ2段です。



次回も読んでいただけると嬉しいです。



トランプタワーは出てこないけど、熱いスポーツは出てくる?前作です。


https://kakuyomu.jp/works/16817330664277862919





サレ妻の復讐ものです!ドロドロはしてません!こっちの幼馴染みも仲いいです!

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