1-15宣戦布告


 白の国ではジョーが戦いの準備を命じていた。

「野郎ども、戦いの始まりだ。」

「うぉー」「行くぞー」

 彼の部下たちの士気が上がっていた。

「今回の相手はレンガの尼だ。決して手を出すなよ」

 部下たちはそれぞれに合わせて武装を準備した。

 ジョーは部下に命令を行った後は自分の部屋に戻っていった。

「なんか脳筋集団が騒がしいな。どっかに攻め込むんか」 

 白の軍師は騒がしくなっているのに気が付き、その辺の人に話しかけていた。

「これからレンガに攻め込むところです」

「レンガかそうか。」

 白の軍師はレンガに攻め込むことを知り何処か不安がよぎった。

「まぁ俺が動かなくてもいいかな?」

 軍師は自分の部屋に戻っていった。




******


 渚は、電気も付けずに部屋でうずくまっていた。

「ねぇ、ドラゴン君.......これでいいのかな?」

「そうだよね.......でもね.......」

 渚は、石に向かって話していた。

「やっぱり.......」


 ******


~無理しなくていいよ。あなたが思うようにすれば~

彼女は、時々僕に話してくる。他の仲間とは違うところと言えば僕は宝石の状態でも彼女と話すことができる。ただ、彼女としか話すことが出来ないから他人からは独り言のように思われているみたいだ。

 人の前では明るい少女を演じているが、僕の前では、かよわい少女の姿になってしまう。

 もしも、お守りとして彼女に渡されていなかったら彼女の今はどうなっていたのか。僕は考えたくなかった。

「ねぇ、ドラゴン君.......これでいいのかな?」

~君が楽しいと思っているならいいよ。あの子も楽しそうだった~

「そうだよね.......でもね.......」

 ~どうしたんだい~

「やっぱり.......」

~僕がいるよ~



 ******


 翌日、俺は朝食の準備をしていた。

「渚、ごはん食べるか?」

「パン焼いておいて。着替えたら行くよ」

 渚の声はいつもと同じようなテンションに戻っていて安心した。

「ホークおっはよ」

「おう、ってお前いつもジャージじゃないか」

「だって動きやすいんだもん」

「おしゃれとかしないんだな」

「ホークは私がおしゃれした姿見たいの?」

 俺はその回答にどのように答えたら戸惑ってしまった。

「ホーク顔赤くなっているよ。なんかかわいい」

 渚は、笑いながらパンを食べ始めた。

 俺は、このまま平穏にここで暮らしていけると思っていた。

「ホーク今日はどしよっか?たまには家でのんびりもいっか」

「いやいや、昨日は出かけたけども大体は家にいるだけじゃん」

「そだね~なら今日ものんびりでいっか。じゃ私部屋に戻るね」

 そういって渚は部屋に戻ろうとしたとき、外から物騒な音がした。

「なんだすごい音だけども」

「なんっか爆発した音みたいだったよね」

「のんきにしてちゃだめだろ何処かに逃げないと」

「そ.......そっか」

 俺と渚は家から出た。

 玄関を開けると他の者も爆発の音で避難というよりもパニック状態になっていた。

「レンガの国の諸君白の国の剛力ジョーだ。これよりレンガの国に宣戦布告する。24時間以内に領土を渡さなければ武力行使を行う。繰り返す」

 どこから流れてきた放送は数回繰り返された。

「これって戦争だよな。」

「ここってレンガなんだね」

「いやいやそんなこと言っている状態じゃないでしょ。戦いに巻き込まれそうなんだよ」

「そうなっちゃうか。ちょっと待ってね」

 そういうと渚はスマホを取り出して何処かに電話し始めた。

「もしもし、チャラ男」

 どうやら電話の相手は白の軍師であった。確かに、白の国と言っているならあいつと話すのは理解できた。

「チャラ男ってな.......まぁいいか。いきなり俺に電話してきてなんかようか」

「ジョーが宣戦布告してるけどほんとなの?なんとかしてよ」

「そのことか。あいつ筋肉バカだから俺が何言っても理解しないからな。君たちでなんとかしてくれ。君のところにはもう一人竜使いんだからなんとかなるだろう。」

「私のドラゴン君に戦えって言ってるの?チャラ男サイテーなんだけど」

「もう一人の奴が戦ってもいいだろ?それに俺も白の国に所属しているんだ。俺の立場も考えろ」

「やっぱり、お前たちは侵略者なんだな」

 俺は、渚からスマホを取って白の軍師と話をすることにした。

「君もそっちにいるんだな。タカ、君がそう思うならそれでいいかな」

 俺は何か心に炎が付いたように思いが高まっていた。

「俺がお前たちの野望を止めてやる」

「言ってくれるね。楽しみだ。じゃ、一つだけいいこと教えてやるよお前の思いが強ければ筋肉バカには勝てる。そうでなければつまらないからな。じゃーな」

 そういうと、軍師は電話を切った。

「ホークいきなり私からスマホ取らないでよ。私だってチャラ男にガツンと言いたかったんだよ」

「それより、これからどうする?」

「ホークは戦うんだね」

「俺には竜がついているから.......渚はどうするの?」

「私は、分かんない.......これから考えるから」

 渚はそういいながら手に付けている石に向かって話しかけていた。



 ******


「ジョー様報告します。レンガの国からは協議をしたいと連絡がありますがどうしましょう」

「俺が協議なんて出来ん、領土を渡すか戦うかの二択だ。そう伝えろ」

「わかりました」

 部下はそういって立ち去っていった。

「さて久々に暴れるとするか蒼龍」

 ジョーの手にいは青の宝石が持たれていた。

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