1-14兎の国のタカ

 俺が兎の国に来て1週間近くたった。この1週間は町を探索知らり渚と話したりとてもゆったりした日々であった。隣のおばちゃんの料理はおいしかった。ただ、テンと会えなくなってしまったのは少し寂しかった。渚に迎えに行けるかと相談したけども、無理と言われてしまった。短い間であったが、異世界の初めての友でもあったからまた話したそういう思いもあった。

「ホーク、おっはよ」

 渚はいつも朝からテンションが高くてついていくのが大変だった。もっと言うといろんなアニメネタを出してくるからやめてほしいと思うけども自分も知っている話だとどこかうれしいところがあった。

「渚はいつも元気だな」

「ホークはテンション低いんだよ」

「君が高すぎるんだよ」

「そなの?っていつもこんな感じだね」

「そうですね」

 俺と渚はいつも通りのやり取りをして朝食を取った。

「それにしてもあれだね。テレビほしいよね」

「異世界でそれはないでしょ。まず戻りたいって思わないと」

「それは言っちゃいけない言葉だよ。禁則事項だよ」

「そうなんですか」

「そうなんですよ」

 これまでも何度か彼女について探ってみたがあんまり自分のことを話してくれなかった。やはり地球でなにかあったのかと考えてしまうがこれ以上触れたらいけないと思いつつたまに話に出てしまっている状態だ。

「そういえば昨日おばちゃんが言っていたけどもなんかセントラルでイベントあるみたいだよ。なんかバンドみたいだけど行ってみない?」

 渚はイベントに行きたいような雰囲気を出していた。

「まー暇だし行ってみようか。どんなバンドか気になるし」

「だよね。どんなジャンルだろう?」

「渚は音楽好きなの?」

「そうだね.......HTTとか好きだよ。あなたとわたしとか好きだよ」

 やはりアニソンなんだなと思ってしまった。

「そうなんだ」

 最初の頃の俺なら日本語と英語逆じゃないのとツッコみを入れていたが今となってはツッコむと面倒だなと感じるようになった。

「最近ノリ悪いよ。もしかして知らないかな?」

「わかった。わかったから言わないでくれ」

「でも、私的にはごはんはご飯だと思うんだよ。」

「それは俺も思うけども、それよりも何時からなの?」

「午前中だからそろそろ行こか」

 渚は俺の手をつかみ家を出ようとした。

 こんな風にしていると同棲しているカップルに感じてしまうがどこかそんな感じに慣れていない。彼女は基本自分の部屋には入れてくれないというよりも俺も同世代の女子の部屋に入るのは気まずいからな。彼女のことはアニオタ女子としか思えないし感じとしては友達に近いと思う。

 渚に引っ張られてセントラルまで連れて来られた。セントラルとは言葉通りの町の中心部の広場の事であった。

 ホールでは言葉が違うところが多かったがなぜかこの兎の国では同じような単語が出てくる。まぁスマホ翻訳を通しているから本当の言葉はどうなのか知らないのだけども、言葉を聞いてもなんとなくわかるような感じがしてくる。もしかすると過去に何度も日本人が来ているのかもなと思うところもあった。

「おーいっぱい集まってますね。まるで人が」

「いやここで言っても意味ないでしょ」

「じゃ何処か高い所に行こうか」

「そこまでしなくても」

「そだね。今はライブ聴かないと」

 少し立つとライブが始まった。

 最初はよくわからなくノルことが出来なかったが周りの様子からなんだか楽しくなってきた。

「ホーク翻訳外しているから歌詞わからないけど楽しいね」

「そうだね」

 異世界の言葉だけでも楽しめる音楽ってすごいなと感じた。

 何曲か聴いていた所突然なんだか聴いたことある曲が流れていた。

「ねぇ、これなんか聴いたことない」

 どうやら、渚も同じように感じ取っていた。

 どこかで聴いたことある感じがあるがなにかわからない。よくあるサビしか聴いたことないCM曲かなと思っていたがサビっぽい所になってもなんだったかわからなかった。

「結局わからなかった。ホークは?」

「俺もさっぱり」

「やっぱり.......でも、なんか懐かしさがあったかも」

 俺も同じ感じがあった。もしかしたら昔の曲かなと思った。

「この後どうしよっか。お昼どっかで食べてっこか」

 渚の提案に乗って俺たちはハンバーガーを食べて帰宅した。

 なんで異世界にハンバーガーがあるのか思うが兎の国の食べ物はほぼ地球と同じような者であった。まぁ食べてみてイメージと違う味があったときは一瞬まずいと思うことはなんどかあったけども

「ふー楽しかった。ありがとね」

 帰宅してすぐにそう言い残すと渚は部屋に入っていった。こうなると大体部屋から出てこないんだよなと思いつつまだ夕食食べてないけどどうするのか気になってしまった。

 結局、その日の夕食は一人で食べることになった。まだ1週間しか経ってないから渚のことはまだまだわからないことが多そうだな。そう思いつつ俺はベットに横になった。

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