1-11.2つ目の国


「魔法少女って痛いよ」

 突然、現れた少女に俺はそういってしまった。

「異世界なんだからいいじゃん。それよりも君、これからどする?」

「どこかいい地球に戻りたいけどもできないならいい場所あるの?」

「そだね.......家来る?」

 友達を誘うように軽いノリで話してきた

「家って異世界にあるの?」

「どなのかな?チャラ男が自由に使えってくれたんだよ。多分君が来ても問題ないでしょ」

「それって敵のところじゃないか」

「あー違う違う。きれいな町だよ。なら行こうか」

 少女はセグウェイを操作するとワープホールのような空間が出来た。

「じゃ行くよ」

 俺は少女に手をつかまれた一緒にワープホールに入った。

「待って」

 テンは突然のことで一緒に旅をする覚悟を持っていたがおいてかれてしまった。

「テンまたいつか会えるよ」

ワタはテンと同じように寂しい思いが残った。


******


「ちょっといきなり乗せるなよ」

「離れないでね。ここで落ちるとどうなるか知らないよ」

 俺は1人乗りであると思うセグウェイに無理やり2人乗りしていた。

 何もかもがいきなりしすぎて何もかも処理が出来ていない感じであった。

「もうちょっとだからね......って変な所触らないでよ」

「触ってないよってもう何なんだよ」

 2人で話していると謎の空間から抜けることができるような扉が見えてきた。

「も少し」

 少女がそういって扉をくぐるとそこはどこか見たことのあるような街並みだった。

 その街並みは木組みの建築物に石畳みの道だった。

「ここってヨーロッパみたいだけどもどこなの?」

「知らない。私はラビッ●ハウスって呼んでるよ」

「待ってそれはダメ何じゃない」

「大丈夫だって」

「よくないよくない。」

「じゃうさぎの国かな」

「そうなるんだ」

「いいでしょ」

 俺と少女は歩きながら話していた。

「そろそろ着くよ」

 そういっていると彼女は一軒の家の前に泊まった。

「どうだい我が家はホーク」

「ホーク?って俺の事なんで」

 なんかどや顔で家を自慢してきたと思ったら急にニックネームを付けられた。

「なんでホークなんだよ」

「だって君タカ何でしょならホークだよ決定だね」

「そうだけどもなんで知ってるの」

「これ見て」

 少女はスマホを見せて来た。

 そこには俺の名前や写真などいろいろなことが書いてあった。

「なんでこんなの持ってるの」

「あーこれチャラ男が仲間だから知っておけって一方的に送って来た」

「あいつ何なの?この世界を支配したいの」

「知っらない。とりあえず入って入って」

 彼女はそういいながら俺を家に押し込んだ。中に入るとごく一般的な家の作りだった。

「まあまあ座って座って」

「なんかこっちの世界に慣れた感じだけども」

「そっりゃね半年ぐらいいるんじゃないかな?結構楽しいよ」

「半年もって時間軸ってどんな感じかわかるの」

「うーんチャラ男から地球の方は任せろって言ってたね」

「ほんとあいつなんなんだよ」

「私たちと一緒のドラゴン使いってことぐらいしか知らないよ」

「ってことはあいつと君も?」

 少女は俺に手を出して来た。手のグローブに石がはめられていた。

「そういう事だからよろしくねホーク」

「ところで君の名前は?」

「秘密。ってより私、名前嫌いだから言われたくないの」

 それまで笑顔でいた少女の顔は少し悲しい雰囲気を出していた。少女は石をさすりながら何か覚悟を持ったように話し出した。

「そうだ!君が決めていいよ。ホークって私が付けたからね。これでお互い様だよ」

「そういう事じゃないけども......何も知らないから決めれないよ」

「そんなこと言ってると自分の子供の名前困っちゃうよ」

「なんか突拍子のないこというけども君大丈夫?」

「いいじゃんいいじゃん。そだねココアとか」

「君って難民なの?」

「こっちに来て見えなくなって困ってねってそれよりも名前だよ名前」

「いや......君がちゃんと教えてくれたらいいんだけども。第一なんて呼べばいいか困るよ」

「ご注文は名前ですか?」

「いい加減にしてください」

 少女はふざけながら会話をしていたが何処か喜んでいるように見えた。多分久しぶりに同世代の人間と話すことが出来てうれしかったのだろうと思った。

「そろそろ兎から離れないといけないかな。でも、本当に本名は呼ばれたくないから......そうだな渚でいいよ」

「渚?名前の方でいいの?」

「いいでしょ渚うん決定」

 そうして彼女は渚(偽名?)と呼ぶことが決まった。

「渚、ところで問題なく半年も暮らせたの?」

「まーいろいろ問題あるけどもこっちの方が何倍も楽だよ。お隣さんも優しいからね」

「お隣さん?」

「うん」

 するとどこからかベルがなった。

「待ってておばちゃん」

 渚はそういうと玄関の方に向かって行った。その後玄関の方からエルフのような女性が現れた。

「紹介するよ。彼はホークでこっちがお隣のおばちゃんのスマさんだよ」

「あら少女ちゃんの彼氏?」

「違いますよ!彼もこれなの」

 渚は石を指さしていた。

「君も大変だね。一人分しかないから後で君のも持ってくるね」

「ありがとねおばちゃん」

「あ......ありがと」

 俺はいろいろ理解するのをやめてしまっていた。

「君もここでゆっくりしていいよ」

「そうするよ」

 俺は当分ここで暮らすことを決めた。

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