1-5いつの話だよ

 異世界「ホール」に来て何日になるのかわからないが俺の感覚では3~4日ってところと思っているが実際はどれだけたったのか気になるところである。テンの町に来て一夜を開けた朝。レテさんの朝食もおいしく満腹になったところで俺はワタとテンとともに長老の所に行くことになった。

「長老ってどんな人ですか」

「長老はこの町でなんでも知っている人だよ」

 テンがそう答えてくれた。

「2人とも着いたぞ」

 そういって着いた所にはワタの自宅と同じような建物が立っていた。

「長老、お邪魔します」

 ワタに続いて俺は中に入って行った。

「おぉワタ戻ったのか。今回はテンも一緒に行ったんだったんだな。」

 建物の中にいたのは老人の男性であった。

「戻りました。それで長老に相談したいことがありまして...」

 ワタが俺について相談しようとしたとき長老は俺に気が付いた。

「君、人間じゃな」

 長老が俺に話しかけてきた。

「そうです」

「そうか。それにしても人間を見るのは久しぶりだな」

「ねぇ、長老は人間にあったことあるの」

 テンが話に割ってきた。

「私がテンぐらいの頃の話だよ」

 長老はどこか懐かしい目をしながら語り始めた。


   * * * * * * *


 日を落ち始めたころ私は町に帰る所であった。

「今日も大量だ」私の背中には大量の山菜が入ったかごを背負っていた。今日もたくさんおいしいものを作って貰えると思い帰路についていたところ道の真ん中に生き物が倒れていた。私は倒れていたことで捕まえて食べれるかなと思いその辺に落ちていた木の枝を持ち先で突っついてみた。何回か突居てみると彼は動き始めた。

「ひどい嵐だった。俺は助かったのか?」

 私は、彼が話始めた言葉を理解することが出来なかった。

「おい、少年ここはどこだ。私の船はどこにいった」

 そういいながら私の肩をゆすって切った。私は未知の生物から襲われると思い彼にかごをぶつけて走って町に帰って行った。

 町についた私は、両親に化け物が出たと話した。両親は驚いていたが、大丈夫だろうと穏やかに反応していた。

 翌日、私はまた化け物が来ると思い怖くて家から出ることが出来なかった。すると、外で何か騒がしくなっていた。私は何が起こっているか気になり窓から外を覗いてみるとそこには昨日見た化け物が立っていた。

 私は、怖くなり両親に「化け物が来た」と母に駆け寄った。父は木刀を持ち外に出てみたがすぐに戻って来た。

「あれは、どうやら人間見たいだぞ。化け物じゃない」

 父はそういった。私は化け物ではないと言われたが怖いものであると思いつつ、もう一度見てみたいと思い外を見た。

 私が外に出てみると、彼と目があった。すると、彼はこっちに向かってきた。

「食料をありがとう」よくわからない言葉を発しながら私が昨日彼に投げつけたかごを渡しながら頭を下げた。

 その様子を見た私は、怖いものではないんだと感じ取れた。

 そこから私と彼は手振り素振りで意思疎通をしてみた。彼と完全に意思疎通出来ていたがわからなかったが、彼の行動からいろいろなことを学ことが出来た。そして、数か月立ったころ彼はこの町を離れてどこかに旅に出てしまった。


   * * * * * * *


「私が知っている人間はこんな所だな」

 俺は長老の話を聞きながらここにほかの人間が来たことがあるんだと思った。

「長老、彼はこの後どうしたらよいと思いますか」

 ワタが長老に質問した。

「そうだな...」

 長老は長く考えて何かを思い出したように話しだした。

「そういえば、昔隣町の者が地球に行ったことあるって噂があったな。もしかすると何かに役立つかもしれないぞ」

 俺は長老の話を聞きこれで帰ることができると希望を持つことが出来た。

「そんな話聞いたことないですよ」

「そうだろうな。ワタが生まれた頃の話だからなかれこれ40年ぐらい前だったかな」

「そんな昔の話かよ」

 俺は、40年前の噂と言われ思わずツッコんでしまった。

「すまない、私が知っていることはこれぐらいだ。

 でも、行ってみる価値はあるだろう」

「そうですね」

 俺は心にないような棒読みで答えた。

「僕も行くよ」

 テンはいきなりそういい始めた。

「お前が行っても何もないから行くな」

 ワタはテンに言い聞かせていた。それに対して長老は「なんで行きたいんだ」そう聞いた。

「もっとタカのこと知ってみた」

目をキラキラしながらそう答えた。

「なら行きなさい。私も彼もう少し交流したかった。出来たら一緒に旅をしたかった。今でもそう思う。テンにはそんな思いをさせたくないな」

 そうして、俺とテンはともに隣町に行くことになった。隣町は歩いて行ける距離でないのでワタが運転してくれることになった。


   * * * * * * *


 そのころ別の場所では、資料を見ている男がいた。

「今週は24人かよ。1日に3人ぐらいってまぁそんぐらいだな」

 彼の手には特定の行方不明者リストのであった。その時パソコンに連絡が入って来た。

「報告します。035のホテルから人間の情報が入って来ました。写真を送ります」

 その後、彼の元に送られて来た画像にはタカが写されていた。

「ビンゴ」

 彼はリストと写真を見比べ同一人物であることを把握した。把握してすぐに地図アプリを開き情報の近くにいた部下に連絡を入れた。

「あー俺だ。今から送る写真のやつその辺にいるみたいだからよろしく」そういって通信を切った。

「上には面倒だから後でいいか」

 そういい彼は部屋を出た。

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