噛み合わないベタドラマ

☆私には、好きな人がいる。中学生なったばかりの頃、登校中に十字路でぶつかりそうになった彼に一目惚れした。

あれから、毎日、登校中に見かけるが、なかなか話せる機会がない。


★俺には、好きな人がいる。中学生なったばかりの頃、登校中に十字路でぶつかりそうになった彼女に一目惚れした。

あれから、毎日、登校中に見かけるが、話しかけることもできず、日々は、経っていく。


☆私は、現状を打破する為に、少女漫画を友人たちから、たくさん借りて、勉強し、ベタな、王道なドラマの展開を起こすべきとあらゆる方法を試みることにした。


★俺は、現状を打破する為に、少女漫画を姉に借りたり、漫画喫茶で読み漁るなど、勉強し、ベタな、王道なドラマの展開を起こすべき、行動を開始する。


☆まずは、出会った十字路で二回目のぶつかりそうになって、意識してもらう…。

十字路の角で、バターを塗ったパンを咥えて、待機!


★まずは、出会った十字路で二回目のぶつかりそうになって、意識してもらおう!

十字路の角で、小豆がのったパンを咥えて、彼女が角を曲がってくるのを伺う!


☆……あれ、彼がこない。なんで、と疑問に思うがここで、ずっと立ち尽くしているのは、怪しいので、あと10秒したら、もう行こうと決める!


★……あれ、彼女がこない。いつもの登校時間…ただ、ここで、ずっと立ち尽くしているのは、怪しいので、あと10秒したら、歩き出そう…。


☆10秒経った…なんで?っと、天を仰ぎながら、角を曲がる。


★10秒経ってしまった…なんでだ?っと、うなだれ角を曲がる。


☆★曲がった瞬間にパンを咥えた彼(彼女)が目の前に!


☆★身長差がある二人。片方は、天を仰ぎ、もう片方は、うなだれている。

出会い頭にぶつかったのは、互いの咥えたパン!

パンとパンは、互いの柔らかさに驚き、恋に落ちる。

さらに、互いの具材のバターと小豆もぶつかった拍子に出会い、恋に落ちる。


☆変なナレーションが頭に浮かび、「そうじゃない!」と頭の中で、叫んでしまう。


★変なナレーションが頭に浮かび、「違う違う!」と頭の中で、叫んでしまう。


☆「すみません!」


★「こちらこそ、すみません!」


☆★「なんで、パン咥えてるんですか?」


☆「ハモった!おかしいです!」


★「ハモりましたね!おかしいわ!」


☆「あ、パンの上にあなたの小豆が…ん、バターと小豆、合いますね!」


★「こっちも君のバターが…ほんとだ!合う!明日からは、バターに小豆しよう!」


☆私とあなたも、バターと小豆みたいに相性良いかもね…、なんて言えない!恥ずかしい!


★俺と君も、バターと小豆みたいに相性抜群だよ…、なんて言えるわけないよな…。


[第1回ベタドラマ『曲がり角、恋に落ちたのは、バターと小豆』]


☆彼とは、選択授業で月一回、一緒になる。しかも、席が隣同士!よし、消しゴムを彼の方へ落として、拾ってもらい、そこから仲良く…。


★彼女とは、月一回の選択授業で一緒になる。しかも、席が隣同士だ!今回は、消しゴムを彼女の方へ落として、拾ってもらい、そこから仲良くなろう。


☆緊張する…。消しゴムを3・2・1で、彼の方へ…。


★ドキドキだな…。消しゴムを3・2・1で、彼女の方へ…。


☆★3・2・1!


☆★え!?消しゴムが転がってきた!?


☆彼の方から、落ちてきた消しゴムを拾う為に手を下へ。


★彼女の方から、落ちてきた消しゴムを拾う為に手を下へ。


☆★ゴン!! 「痛!」


☆★「ごめんなさい(ごめん)!これ、消しゴム。」


☆「ありがとうございます…!痛い…。」


★「こちらこそ、ありがとう!痛いよね。」


☆★作戦失敗!!


☆家に帰宅して、今日の失敗を思い出し、落ち込む…。筆箱から、消しゴムを取ると…。


★家に帰り、今日の失敗を思い出し、ため息を吐く。筆箱から、消しゴムを取ると…。


☆★「あれ?私(俺)たち、消しゴム入れ替わってる!?」


☆頭をゴツンとして、痛くて、よく確認してなかったようで、この消しゴムは、彼のだった。


★頭をぶつけて、痛くて、よく確認してなかったようで、この消しゴムは、彼女のだった。


☆彼の消しゴムを見つめ、出来心で、カバーを外し、私の名前を描く…なんてことは、できない!明日、返そう。私とは、違う消しゴムのメーカーだ!


★彼女の消しゴムを見る、出来心で、カバーを外し、俺の名前を描く…とかは、できない!明日、返そ。俺とは、違うメーカーの消しゴム使ってるんだ!


[第2回ベタドラマ『君のメーカー名は。』]


☆消しゴム入れ替わり事件によって、彼との距離は、少し縮まった。話せるようになったけど、もっと仲良くなりたい…。


★消しゴム入れ替わり事件により、彼女とは、少しずつ話すようになった。だけど、もっと仲良く…!


☆次は…、相合傘なんかいいな。よし、今日は午後から雨予報、彼を下駄箱で待ち…傘ないから、相合傘…!


★次…、午後から雨予報か…、よし!相合傘をしよう。彼女を下駄箱で待ち…傘ないと途方に暮れよう。


☆★彼(彼女)が下駄箱にきた!


☆私は、雨を見上げながら、彼をチラッと見る。


★俺は、雨を見ながら、彼女をチラッと見た。


☆★まさか、お互いに傘ない!?


☆★………「職員室に傘、借りに行きますか?」


☆「あはは、二人してアホですね!」


★「ほんとだね!なにやってたんだか!」


☆★「もし、よかったら一緒に帰りますか(帰ろう)?」


☆★「一緒だ!うん!一緒に帰ろう。」


[第3回ベタドラマ『互いに傘忘れ、逢い逢い傘!?』]


☆なんだかんだ、彼とは、仲良くなれた。登下校も一緒に出来てる。けど、行き着くのは、恋人がいい…。そろそろ、思いきったことを!


★なんだかんだ、彼女とは、よく話すようになり、一緒に登下校している。けど、俺は、彼女とは恋人になりたい…。そろそろ、思いきったことをしよう!


☆★少女漫画だと…よし!壁ドンとか、いいかも!


☆通学路途中の裏道は、道幅狭く、両脇は壁がある…。


★通学路の裏道は、道幅狭く、両脇に壁がある…!


☆★よし、今日の一緒に下校する時に…!


☆今日の彼、無口…だけど、この裏道で壁ドンして、ドキッとさせる。3・2・1で…!


★彼女は今日、口数少ない…だけど、この裏道で壁ドンして、キュンとさせる!3・2・1で…!


☆★3・2・1!「ねえ!(あのさ!)」


☆★互いに右手を壁の方へ出した…


☆★え!?なんで、彼(彼女)の顔がこんな近くに!?


☆★あ!!彼(彼女)の唇が触れた…


☆「あ…ごめんね…。」


★「俺の方こそ、いきなり、ごめん…嫌だったよね…。」


☆「嫌じゃ…ない!けど、これは予想してなかった!」


★「俺も嫌じゃない!むしろ…、嬉しい…。」


第4回ベタドラマ[『唇ドン…』]


☆失敗ばかりだったけど、彼とは、友達以上恋人未満になれた。あとは、告白だけ…


★上手くいかないことばかりだったけど、彼女とは、友達以上恋人未満になれた!あとは、告白だけ…


☆★屋上で告白しよう!!!


☆★今日の放課後、屋上で待ってる、とメッセージ送る。


☆★彼(彼女)から、メッセージきた!屋上でって!?告白!?


☆★放課後、一緒に屋上への階段を昇る。


☆★屋上への扉のドアノブに手を…


☆★「鍵、かかってる…!」


☆「あー、そうだよね!普通、鍵かかってるよね!すごくおかしい!」


★「うん!だよね!めっちゃ、笑える!」


☆★「付き合ってください!」


☆「もちろん!屋上へ出るドアの内側で、告白って…私たちって、何してるんだろ!」


★「俺も、もちろんだよ!てか、ほんとだよ!ムードとかない!」


☆★「けど、一緒にいるとすごく楽しい!大好き!」


最終回ベタドラマ[『屋上への扉内側で大好きを叫ぶ!』]





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