付き合っていた同級生の彼女は最悪だった。そんな俺は後輩に?

アキノリ@pokkey11.1

第一章

希望が損なわれた世界

第1話 割れる世界

☆(佐竹伸晃)サイド☆


NTR。その言葉を知った時には.....俺は全てに絶望していた。

付き合っていた彼女が男に誘われ寝取られた。

そして俺は目の前の男を見る。

その男の名前は薮嶋。

薮嶋浩一郎(やぶしまこういちろう)という。


俺の彼女とセックスして寝取ったクソ野郎だと思われる人物だ。

男友人であったが.....今俺は距離を置いている。

そして俺は今日もトイレで泣いていた。

NTRが発生した俺の彼女の名前は夢洲なぎさ(ゆめしまなぎさ)という。


絶望だった。

悲しかったのだが一歩を踏み出さなければいけない。

だが未練が残ってしまう感じもありこう情けなく泣いている。

(俺はどうするべきか)と思いながら俺は泣いているとドアがノックされた。

俺はハッとして現実に帰る。

それからノックに答えようとした時。


「先輩」


と飴玉を転がす様な甘い声がした。

それは女子である。

(何故、男子トイレに女子が!?)と思って考えてから目の前をドアを見る。

すると女子は「開けてくれますか」と声を発した。

俺はまたハッとしてから開けるとドアの中に女子が飛び込んで来る。

その女子は身長が175ある俺より30センチも低い女子。


「えへへ。先輩の温もりだ」

「何をしているんだお前は.....渚」

「先輩が泣いていたからだから入って来ました。なんか男子トイレに好奇心で入ってみたいとも思っていたので丁度良かったです」


ニコニコする四葉のクローバーの髪留めを左右に着けた女子。

そして栗毛色の顔が隠れる様な長い髪をしている。

狭山渚(さやまなぎさ)。

偶然かどうか知らないが俺の彼女の夢洲と同じ名前をしている。

俺はそんな渚の言葉に慌てて涙を拭く。


「後輩として慰めてあげましょうか?」

「よせ。お前はそれでも子供の様なのに。危険な香りしかしないんだよ。っていうか慰める言うな」

「えへへ。そうですか」


そして渚を抱きしめる様な感じで居ると直後に男子生徒が入って来た。

危ない所だった。

思いながら俺は渚を見る。

渚は「えへへ」と言いながらはにかむ。

まるで俺を人形の様に思う感じで抱きしめてくる。


「渚.....お前な。女子だろお前は仮にも」

「はい。女子です。先輩の思っている以上に女子ですよ」

「じゃあ止めろよそういうの」

「やめません。あはは」

「.....お前な」


中学の時から付き合いがある。

だけど最近は何か更にベタベタしてくる様になった気がする。

こんな女子は変な奴らに引っかかりそうで危なっかしい。


思いながら俺は渚を見る。

すると渚は俺をコソコソ見上げてきた。

それから小さい声で喋る。


「先輩。その。夢洲先輩に振られました?」

「.....何故そう思う?」

「何故そう思うか.....えっとですね。何か夢洲先輩と離れている気がしました」

「そうだな。別れているとは.....違うけどアイツとはちょっと距離を置いている」

「.....そうですか。訳を話しても話しませんよね?」


(訳は今度話す。今は話せないな)と話す。

すると渚は「そうですか」と笑みを浮かべて俺に抱きついてきた。

俺はその事に「何でそんなにベタベタするんだ」と言う。

渚は「それは当然ですよ。だって先輩は泣いていますから」と俺を見上げて微笑む。


「.....お前の行動って本当に誤解されると思うからな。絶対に気をつけろよ」

「私の行動は先輩だけです。.....先輩は身長と存在的に抱きしめやすいです」

「いやちょっと待て。存在的ってなんだ」

「内緒です」


そして唇に指を添える渚。

俺はそんな渚にデコピンした。

丁度良い身長だからデコピンしやすい。

思いながら渚を見る。

渚は涙目で俺を見上げていた。


「先輩のアホ。痛いです」

「お前が偉そうな感じだからつい」

「偉そうな感じですか.....すいません。何だか先輩だと揶揄いたくなって」

「反省しているのか貶しているのかどっちだ」


俺は苦笑いを浮かべながら渚を見る。

すると渚は「正直先輩だからこそ愛を持って接しています」と告白してくる。

俺はその言葉に少しだけ恥ずかしくなって頬を掻く。


「違うだろお前の場合は」

「えへへ」


そして男子生徒は居なくなりそのままチャイムが鳴る2分前になる。

俺達は直ぐに周りを見渡して男子トイレから出た。

それから俺は手を振ってから渚を見送る。

渚はブンブンと大きく手を振ってから去って行った。


「.....」


渚のお陰でパワーがついたな。

覚悟を決めるパワーが。

思いながら俺は眉を顰めて教室に戻った。

戒めの様なものを自分に与えながら。

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