15.「スイミー」

 スイミーはかんがえた。いろいろかんがえた。うんとかんがえた。

 それから、とつぜん、スイミーはさけんだ。

「そうだ。みんないっしょにおよぐんだ。海でいちばん大きな魚のふりをして。」

 スイミーは教えた。けっして、はなればなれにならないこと。みんな、もちばをまもること。

 みんなが、一ぴきの大きな魚みたいにおよげるようになったとき、スイミーは言った。

「ぼくが、バターになろう。」  

 あさのつめたい水の中を、ひるのかがやく光の中を、みんなはおよぎ、海でいちばん大きな魚のふりをしてバターを食べた。

 みんなはバターのちからでげんきいっぱいになって、つぎつぎと大きな魚たちをたべていった。

 めでたし、めでたし。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る