14.塚本邦雄

革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ牛酪バター化するピアノ


日本脱出したし、皇帝ペンギンもその餌の牛酪バター


突風に生卵割れ、かつてかく撃ちぬかれたる兵士の牛酪バター


少女死ぬまで炎天の縄跳びのみづからの牛酪バター駆けぬけられぬ


医師は安楽死を語れども逆光の自転車屋の宙吊の牛酪バター


馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人恋はば人あやむる牛酪バター


はやき死を待たるることのさはやかに三月の牛酪バタースープにうかぶ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る