第11話 焼け野原の戦闘

 さっき来た場所を先頭に立って皆に案内する。木々を通り抜け、その焼け野原に5分くらいでついた。さっきより焼け野原が広まっている。フレイムグリズリーはその中心にいた。巨体の熊が炎上している。炎を熊の形にしているかのようにその熊は体中炎だらけだった。


「行くぞ。アルマ」

「ああ、行くぞクリフ」


 アルマは正面からフレイムグリズリーを斧で斬りに行った。そして俺はフレイムグリズリーの後ろに回り込んで目覚めた力を出す。


「%&’‘@*&$」


 この力、俺には正体がわかっていないがこれを発動すると二つの肉塊が交じり合う光景が薄く幻覚で見える。これをすると身体的スペックが一気に上がるが長く発動していると正気が保てなくなってくるので注意が必要だ。

 アルマが正面から斬りかかっていて気を引いている間に俺はフレイムグリズリーを後ろから斬った。短剣に熱が加わり熱いが構わず首に切り傷を与える。そこには確かに肉を斬る感触があった。


「グガー」

「いいぞクリフ。こっちも」


 アルマが斧を振りかざした時こちらに炎が広がった。それを俺は避けフレイムグリズリーに斬撃を放つ構えを取った。今度はこちらに気を引いている間にアルマの斧がフレイムグリズリーの頭を切り裂く。だが浅い。アルマの力で切り裂けないのは流石ゴールドランクの冒険者で依頼されるだけはある。そして、俺は今度はアルマが標的にされている間にフレイムグリズリーの腕を切り裂いた。


「グガガガ」


 鮮血がフレイムグリズリーの炎で蒸発する。そして腕を見ると炎が出なくなっていて茶色い体が見えた。そこへ、森の中から氷の刃が飛んできた。ネルの魔法だろう、氷の刃は炎の巨体に衝突すると傷をつけ、一瞬だが炎を消して茶色い体の全貌が見えた。


「一気に決めるぞクリフ」

「&’%$#%‘*@」


 俺達は炎が消えた頃合いを見て俺は首をアルマは傷のある頭を切り裂いた。フレイムグリズリーにその二つが激突する。アルマは今度は頭をすべて切り裂き、俺は首を切断した。一瞬の断末魔が聞こえた後、フレイムグリズリーは息絶えた。


「勝った」

「$%&’%$#よし、勝ったぞ」


 息絶えたのを確認し俺は力を封じ込める。目の前には茶色い巨体のフレイムグリズリーの死体とそれを一緒に倒したアルマの姿があった。肉塊はもう見えていない。


「よっしゃ、クリフもアルマも勝ったんだな」

「ああ、ボッツ。俺達は勝った」

「おいおい、戦利品を忘れんじゃねえぞ。俺がとって行っちまうかもしれねえぜ」

「フレイさんもここまで来てくれてありがとうございます」

「どうも、まさか、本当に勝っちまうとはな」


 勝利の余韻に浸りつつ、俺達は戦利品であるフレイムグリズリーの死体を運んだ。レッドベアの死体もボッツが運び、依頼であるレッドベアの討伐は完了と言いたいところだった。


「レッドベアの死体を持っていくだけで依頼が完了するんですか」

「そうだ。殺したのはフレイムグリズリーでも、レッドベアの死骸があれば証拠として持ち出せる。お前らはブロンズランクでゴールドランク依頼をこなせてしまったんだから凄いことだよ」

「でも俺達はもっと強くならなきゃならない。父さんはゴールドランクだった」

「父さん?そういや苗字がサンドワームだったか。お前クロード・サンドワームの息子か」

「そうですよ。血は繋がっていないけれど育ててもらいました」

「ならその強さにも納得だ。行くぞ、夜のこの森は危険だ。とっとと撤退するぞ」


 襲撃之反逆レイドレジスタンス初の依頼はフレイムグリズリーに勝利して終わる。この先にもっと強い敵がいるのは明白だが今はこの勝利を祝い帰ることにしよう。

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