第12話 勝利の祝い
フレイムグリズリーを倒して、俺達は冒険者ギルドに行き、金貨11枚と交換してもらった。フレイムグリズリーを金貨10枚で受け取ってもらい、残りの一枚はレッドベアの金額だ。
「儲かったな。何か食いに行くか」
「こういうお金は貯めておかないと。ボッツ、お前は何かあった時どうするつもりだ」
「ま、そうは言っても初勝利の祝いを軽くしてもいいんじゃないかクリフ」
ボッツを諫める俺を諭すアルマ。まあ、流石に今回の敵は強かったし少しくらいは祝うことをしてもいいかとも思う。
「分かったよ。だがあんまり使わないようにしよう」
「ヒャッハー」
「ボッツさん。嬉しそうですね。今回はあまり役立ってませんでしたけど」
「仕方ねえじゃねえかよ。クリフとアルマしか前線に出るなって言ったのはお前だろネル」
「それもそうですね」
「でも今回のことで喜んでばかりはいられない。これはゴールドランクの依頼ということは父さんより強い父さんを殺した奴はこれ以上の可能性が高い。気を抜くことはできない」
「クリフ。お前も少しは喜べよ。強い魔物に勝ったんだからよ」
「俺には力が必要なんだ。父さんより強い力が」
「クリフ。あまり焦りすぎてもいけないと思うぞ。クロードに追いつくなんてことは凡人では不可能に近いことだ。お前のその力があるだけまだ乗り越えようはあるからそれだけでもすごいことだと思うぞ」
「父さんには稽古をたくさんつけてもらったが、父さんに勝てるイメージがまだないんだ。たとえあの力を使ってたとしてもね」
アルマがため息をついた。
「お前は高みを望み過ぎていると思う。それに戦うのはお前一人じゃないだろう」
「そうだぜクリフ俺達でその勇者って名乗ってるやつに勝つんだろ」
「それもそうだけど、俺一人の力も父さんにせめて追いつきたいなって思ってるんだが」
「そんなもんすぐに追いつけるわけがない。今はちょっとは勝利の余韻に漬かってもいいと思うぞ」
ボッツとアルマに叱られる。
「クリフさんが焦るのも分かりますが、あの域に達するのはすぐには不可能だと思います。クロードさんだってクリフさんよりも長生きしてますし」
「はあ、それもそうだよな。よし、どこに行くか決めようか」
「はい、俺かつ丼屋行きたい」
「私は何でもいい」
「私はかつ丼はちょっともたれそうです」
「じゃあ、いろいろなものが食べれるところに行くことにしないか」
「おう、それでもいいぜ。でもかつ丼は食ってみたかったんだよな」
この世界に来て料理は肉を焼いたりするのが普通で揚げることは少ない。かつ丼は久しぶりに食べてみるのもいいかと思ったが、ネルが駄目そうだったのでやめておいた。そしていろいろなものが食べれる、パンダラ食堂という食堂に行った。
「ここか、人がいっぱい入ってるな」
「一応人気らしいからな」
店に入って俺とボッツはかつ丼を注文した。俺は異世界に来て初めてのかつ丼を堪能した。ネルとアルマは別の料理を頼んだが、この食堂の味はとても美味しかった。
「うまいな。ここで正解だったよ」
「これがかつ丼か、今までで一番うまい味だぜ」
「魚料理もおいしいですしこの食堂いいですね」
「また来たい場所だな」
こうして、パンダラ食堂で初勝利を祝って食べた。明日また、冒険者として別の依頼に行く活力は十分に養えたと思う。
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