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その日の朝、東京駅の新幹線の改札口に現れた由美ちゃんは、
やや丸顔にショートカットの髪が良く似合う、
美人というよりカワイイという表現が
淡い草色のシャツに、ワイン色のカーディガンにジーンズという、
ラフな格好だ。
「初めまして! 急に呼び出しちゃったりして、ごめんなさい」
明るい笑顔で、由美ちゃんは、そう言った。
ここで、お互いに本名をフルネームで名乗りあって、
年齢も教えあった。
(へえ、2つ年下なんだ・・・)
由美ちゃんは、短大の1年生だと言った。
「あの・・八重洲口って、どっちかしら?」
「ああ、こっちだよ」
僕らは並んで歩き始めた。
「駅前のね、ここのバス停なんだけど・・・」
由美ちゃんは、スマホの画面を見せた。
なるほど、どこの駅でも、バス停の場所は分かりにくいもんな。
「でも、どうしたの、こんなに急に?」
東京に来たわけを、なかなか話してくれない由美ちゃんに、
僕は尋ねた。
「うん、それなんだけど・・・」
由美ちゃんの声が、急に沈んだように思った。
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