第3話と言うか公開3作目 逆転世界のレーサー

ビーフカレーを作っていたらチョコレートパフェができちゃった!(比喩表現)

何で!?!?しかも量が多い!?!?(2話構成?と言うか2話投稿するだったはずが3話分の投稿になりそうです。いやもうよくわかんないです。)

こういうのって書くの難しいですね。

連載物とか書いてる方が一体どうやってるのか想像もつきません。





今話には性的な描写が含まれますのでご注意ください。

といっても何かオーイエスな描写がある訳では無いのですが。

(この手の注意書きって毎回ネタバレに近いと言うかその物だよなとは思いつつも、私もいきなりアカウント止められたりしたく無いので念の為…ご理解ください。)




今回はヒロイン目線のお話となります。

主人公くんとどんな関わりを持っていくのでしょうか?

楽しみですね。





















〜はじまりはじまり〜






最初は珍しい子がいるな、位の感覚だった。


母国から地球を1/4周してまで大大和おおやまとへ引っ越してレースを始めた時は何でこんな遠く離れた国でレースしなきゃいけないの?って思ってた。

同じ島国なら近くにもあるじゃんって。

独特な風習や今でもショーグンが居て軍部の力が強いとか、ちょっと怖い気もしていたから尚更気が乗らなかった。


そんな状況も手伝ってか、地元から付いて来てくれたチーム関係者以外の他人なんてコース上で動く障害物くらいにしか思っていなかったし、仕事自動車のレースでも私に付いて来れるドライバーなんてそうそう居なかった。


たまに出てくる速い子はチーム力の差や車の性能差、場合によっては所属しているレーシングチームのファミリーカンパニーを巻き込んでの政治闘争で追い落としてしまえば私に対抗できる子なんてまず居ない。


でもあの子だけはなんか変だった。

予選でポールポジションを取れる訳でも無いのに何でか知らないけど決勝だと気がついたら後ろにいる。

本当に気持ち悪くて、そんなに絡むならどんな目に遭うか思い知らせてやろうと思ってギリギリの駆け引きをわざと何度もしてみたけどいつもあの子は引かなかった。

それどころか、あるサーキットの130R(遅い車でも200キロ、速い車なら280キロ前後のスピードで入るコーナー/カーブ)の入り口で並んだ時に横目であの子の目を見たら笑っていた。

本当に、心の底から楽しそうだった。


今まで他人に興味を持った事なんてお母様やお父様、妹や自分と直接仕事をする人位にしかなかったけど、この子だけは違った。


もしもこの子がレース中に見せる表情と同じ様に日常生活でも乱暴な子だったらあ〜あ、やっぱそっか〜、めんどくさ。と思って終わりだったと思う。

いつも通りまずはチーム力や車の性能で対抗して、それでも無理なら周りを巻き込んで政治的圧力を掛けて相手チーム自体の体力を削ぎ落としに行く。


でも違った。

そんな事をしようと思うよりも、何なのこの子?と言う興味の方が遥かに勝った。


戦う事を心の底から楽しんで居そうな狂気をレース中には感じるのに、普段はどこにいるのかわからない様にしているかの様におとなしい。

普通、レース中スポーツの試合中にあそこまで狂気を含んだ目をしているなら普段の生活でももっと変な“女”のはずなのにむしろ全くの逆だった。


話してみると柔らかい物腰で返事をしてくれる。

私を気遣ってすぐにお礼を言ってくれる。

とっても話しやすくて、すぐ仲良くなった。


仲良くなったら一緒にいることも増えて、たまにパドック(サーキットの関係者が車を搬入等する為に使う広場)を一緒に歩いたりする事もあって、気がついたら彼女に夢中になっていた。

いくら男性が少ない社会だからといって、自分が同性愛者になるなんて思った事はなかったけど、現実的に考えて男性と結婚なんてそれ自体がまず夢みたいな話だし、できたとしても男性は横柄な人や乱暴な人、そうでなかったとしても面倒な人が多い、なんて話もたまに雑誌やニュースで見聞きしていた。

幸いな事にうちはそれなりに裕福な家庭だったから、しようと思えば男性とも結婚はできると思うのだけど、めんどくさい男を養うなんて思うと冗談じゃなかった。


だからいっその事、この子と将来パートナーになっちゃえば良いんじゃないかな?なんていつの間にか思う様になっていた。


お母様とお父様にも相談したら、「あなたの人生なのだから好きになさい。

でも人工授精で良いから体や周りの準備ができたら子供はもうけて欲しい、そうしないと家が存続できなくなってしまうから」と言われはした。

その点については当然だと思うし、あの子と一緒に子育てをすると考えたらきっと楽しいと思って、その日からますます意識する様になっていった。


そして私たちはいつからか同じチームで走る様になり、ドライバーとしてもひとりの人間としても両名共に興味深い有名人として雑誌やニュースで取り上げられる事が増えていった。


ファンにも恵まれ、スポンサーにも恵まれ、家族や国の期待に応える事もできて本当に幸せな毎日を過ごしていた。

だけどそれはいつまでも続かなかった。


大大和おおやまとの中等部を卒業する頃になると、何故か突然今シーズンを持って私の好きな子は活動を休止すると宣言した。


いきなりの事で本当に驚いた。

どう言う事なのか説明してほしいと問い質したけど、メールを送っても返って来るのは要約すると簡単な「ごめんね」と言う内容の文章だけ。

納得できなくて、何度もメールを送っていたらそのうち返事も来なくなってしまった。


あんなに一緒にいたのに、あんなに仲が良かったのに急にどうして?

仕事だって今まで急に迷惑をかける様な事なんてした事はなかった。

遅刻した時なんてみんなに謝って回っていて、チームスタッフたちから「大和人やまとじんは礼儀正しすぎるね!」なんてからかわれていた位なのに。

絶対におかしい・・・おかしいおかしいおかしいおかしいおかしい。


思った以上に彼女の存在は私の中で大きかった様で、気がつくとベッドから起き上がれなくなってしまっていた。

心配したお母様やお父様、マネージャーやトレーナーがお医者様を手配してくれたりして検査もしたけど、「身体的に明確な問題は認められない。ただ、食事や睡眠が不規則になっているので体力の低下が認められる。行動が阻害されているのは精神面の何らかの要因、または成長期における体の変化が原因と考えられる。」と診断された。


当然何か困っている事や不安に思っていることはないかと聞かれた。

でも答えられる訳なんてない。

これが初恋だったなんて改めて思わされ、気付かされた恥ずかしさもあるし、元々の負けず嫌いな性格もあって「大丈夫、ただちょっと調子が悪いだけだから」と答えて日々周りの心配をあしらう日々が続いた。


お母様は体が大人になる準備をしているせいで、一時的に具合が悪くなっているのではないかと思ったらしく、お父様や妹、マネージャーやトレーナーたちとも話し合って一時的に私も活動を休止する事にした。


この時お母様からは「たぶん“しーちゃん”もあなたと同じなの。だからわかってあげてね。」と一言だけ気遣う様に言われてしまった。

たぶん気付かれている気がする、と言うか間違いなく気付かれている。

きっと私の事を思って方々に手を尽くしてもくれているのかも知れない。


そう思うと自分が情けなくなってきて自然と涙が溢れてきた。

抱えた枕を涙で濡らしながらしばらく嗚咽を漏らしていたが、それでは何も変わらないと改めて理解した。

そしてそこからの彼女の行動はまるでサーキットで走っている時の様に速かった。


ろくに入浴もしていなかったので酷い見た目になっていたが、もし“彼女”とまた会えるならこんな姿は見せられない。

宅内を駆け抜ける私を驚いた目で見て呼び止める使用人の言葉を一切無視して身を清め、必要な準備を整えると移動には多少お金が必要だろうと考え、手元にあった現金を財布に詰められるだけ詰めて念の為に“いろんな場所を便利に利用できる”黒色のカードも合わせて持ち、“彼女”の滞在している、もしくは滞在していたと思われるホテルの一室へと向かった。


黒いカードを見せると入り口からすぐに責任者と思われる女性が小走りに近付き挨拶の口上を述べ始めたが有無を言わさず遮り、「しーちゃんが泊まっているでしょ?会いに来たの。案内して。早く。」と捲し立て、呆気に取られた責任者は一瞬思考を停止するが役職なりの能力でもってすぐに言葉の意味を理解し、直ちに「お部屋へご案内致します」と答えた。(普通は所謂上客であったとしても相手方へ来訪者が居ると確認を取るのだが、ここでは“黒いカード”、より細かく言うと金で彩られ、様々な石ころ宝石の付いたヒロインからしたら“使いにくい悪趣味”なカードが役に立った。上客どころでは無いお客様の来訪と判断し、例外的に心象を損ねない様対応するべく反射的に責任者は応対“してしまった”のだが、結果的にこれが歴史を動かすスイッチの一つとなった。)


部屋の前まで来た所で私は案内してくれた人に「あとはもう大丈夫だから、ありがとう。はいこれ。」とよく身もせずに財布の中の紙を掴んでチップとして渡した。

ここでもまた責任者は一瞬硬直するが、すぐに「お気遣い、心よりお礼申し上げます」と答え後ろに下がった。

よくわからないが、不満そうにはしていないから足りない事は無かったのだろう。


さて、邪魔者がいなくなったので私は部屋のインターホンを鳴らした。

でもしーちゃんは出てこない。

反応しない。

大丈夫かな?具合が悪いのかな?何かあったのかな?

段々不安になってきた。


我慢できずに後ろに控えていた人に「ねぇ、開けて」と伝えた。

だが、流石に部屋の主人あるじに無断で解錠するのは問題があると判断したのか「申し訳ございません、ご宿泊客様に無断で解錠は」と説明を始めたが、最後まで聞くのがめんどくさくなって「良いから開けてよ。持ってるんでしょ、鍵。」と伝えた。

何度目か、また呆気に取られた責任者は少し逡巡してまた口を開こうとしたが、私は明らかにそれが私の望みを否定する言葉だと思ったので「ならこれもう要らない」と言って黒いカードを投げ渡した。


効果は的面だった。

先ほどまでの応対は何だったのかと思う程の速さで「かしこまりました、直ちに」と言うが早いが投げ捨てたカードを拾い大切そうに汚れを拭うが、それすらも見ていてイラついた私は「そんなの良いから早く開けてよ」とつい言ってしまった。


自分の性格の良く無いと思う所ではあると理解しているのだけど、中々直す事ができない。

特にしーちゃんの事に関してはメンタルトレーナーにコーチングして貰っているのに全然効果を発揮できなかった。

何でだろう・・・。


そんな事を思っている内に、目の前の扉のロックが解除された。

責任者が恭しくドアを開けようとするがまどろっこしくて自分でこじ開けてしまう。

踏鞴たたらを踏んだ責任者に、「**様、こちらは・・・!」と投げ捨てた物を返されそうになるが、「それは後でね。私は用があるからまた後で。」と重ねて言い聞かせ、ドアを閉めて鍵も掛けた。


これでもう邪魔者は居ない。


しーちゃんにやっと会える。

自然と涙が溢れてきていた。

何でだろう?嬉しい事なのにね。


「しーちゃんどこ?」と声をかけるが姿が見当たらない。

それよりも部屋のことが気になった。しーちゃんが泊まっているのに“たったの3部屋位しかない狭い部屋”だった。何でこんな所にわざわざ泊まっているのかよくわからないし、泊まらせているチームや家の人に文句を言いたいけど今はそれどころじゃ無い。


奥の方の部屋に行くと水音が聞こえてきた。

どうやら入浴中の様だった。

同姓でも入浴中にいきなり浴室へ入るのは当然失礼にあたるのだが、この時の自分はそんな事を微塵も考えていなかった。


ずかずかと浴室へ入り最後に私たちを隔てるガラス戸を開けようとした所でおかしな事に気がついた。


・・・尻尾がついてる?????でも普通尻尾って後ろ・・・いやそもそも人間にしっぽ????


理解が追いつかなかった。

そして理解が追いついてないのはしーちゃんも同じだったらしい。

丁度髪の毛を洗っていた所だったらしく、こちらの立てる音に気付いてなかった様だが、ガラス戸の前まで来た辺りで流し終わり一息ついた・・・所でヒロインと目があった。


見た瞬間は理解が追いつかなかった。

だけど一瞬の間をおいて理解した。

それは主人公の放った一言もきっかけとなった。


「な!・・・なんでここに!?」

主人公は衝撃のあまりシャワーヘッドを手にしたまま固まっている。

絵でしか見た事が無い部分が全部見えちゃって、ちょっと興奮してきちゃった。


・・・そっかぁ、しーちゃん、じゃなくて・・・しーくんだったんだね。

最後に会った時よりも声が低くなっていてすっごくカッコ良い。

確かに声も喉の形も変わっちゃったら“バレちゃう”よね。


私は“しーくん”の事情をなんとなく理解した上でこう呟いた。




「来ちゃった♡」



















賛否両論ご尤もだと思いますが、筆者(と偉そうに言える身ではないと思ってますが)はお約束を大切にしております。

ミートスパゲティを頼んで出てくるのがご想像のお品なら驚くこともないと思いますが

その上に生クリームとさくらんぼが添えてあったら私の考える普通の人は驚くと思います。

(特定の店舗のメニューを批判しているわけではございませんのでご注意を。)


暴れ⚪︎坊将⚪︎を見ている時に自動車や新幹線、UFOが出て来たら「!?」となると思います。

(特定のお話を批判している訳では以下同文)


なので、お約束を大切にしております。(大事なことなので2回言いました)

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