第22話 暗転
「では、時計を表示させるスクリプトを書いてみましょう」
准教授の指示で、パソコン画面に向かってコードと呼ばれるプログラミング言語を書いて行く。
……
<div id="d2"> </div>
<script>
setInterval(function() {
document.getElementById("d2").innerHTML = new Date().toLocaleString();
}, 1000);
</script>
……
騒めきの多い他の講義と違って、静まり返った教室にはキーボードを打つ音だけが響く。天にとっては、
授業が終わり、教室を出るや否や、コードを書くのが苦手な南が愚痴をこぼす。
「ああ、疲れた…。甘いもの食べないと死んじゃう」
プログラミングを得意とする
「そう? 初歩過ぎて物足りないけどな。でも甘いものは食べたい」
「じゃあ、帰りにテンが働いてるカフェでも寄ろうか」
と言う飛鳥に、エレンも「行きたい」と同意する。
その声に反応して廊下を歩いていた他のクラスの生徒がこちらを見た。
一緒にいた生徒にひそひそと囁く。
「えっ、なに…?」
不審がる飛鳥を横目に通り過ぎて行った。
「感じ悪い…」
その数日後の事だった。天が席を外している間に、
「2組の人から聞いた話なんだけどさ…」
情報通の碧が、他のクラスから”
皆の反応は様々で、
エレン:「ええっ? それはないでしょう。どう見ても女の子だし」
南:「うん、うん」
千晴:「でも言われてみれば、テンちゃんは凛々しい男顔って感じだよねえ」
南:「学生証の写真は男の子っぽかったかな…」
飛鳥:「毎月のアレもちゃんとあるみたいだけど?」
碧:「それは演技かもしれないじゃない」
そこへトイレへ行っていた
「ああ、スッキリした」
南:「うわ、デリカシー無い」
碧:「吉野君、テンちゃんに会わなかった?」
吉野:「ああ、男子トイレで会ったよ」
冗談で言ったつもりだったが、女子全員が真顔で見ている。
話を聞いた吉野も驚く。「ええっ、まさか…」
そこへ天が教室に入ってきた。
一同が気まずい雰囲気になる。
天:「どうかした?」
吉野:「変な噂が流れているんだ」
飛鳥:「おい、言うな!」
このやり取りで、自身の噂であることは理解できた。
「どんな噂?」
重苦しい空気の中、天は噂について聞かされた。
「気にすることないよ、テンちゃん」
黙っていた天に南が声を掛ける。
「そうだよ。噂なんてそのうち忘れるものだから」
飛鳥も気を遣う。
しかし、いつの間にかクラス中に知れ渡っていた。
おそらくは大学中の
全ての視線が自分に向けられている気がする。
どの人も疑いの目で見ているようだ。
眩暈がしてきた。
「ごめん、ちょっと気分が…」と言って教室を出て行った。
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