第4話 白い煙

 これも母から聞いた、昭和四十年頃の話である。


 私が生まれる前、当時我が家では犬を飼っていた。姉が友人の家からもらってきた雑種だったようだが、飼育環境がよろしくなかった(叔父などが自分の食事まで食べさせてしまっていたらしい)のか、或いはフィラリアにかかったのか、一年たらずで死んでしまったらしい。それで当時三千円だったというが、業者に引き取ってもらって処分されることになった。

 その当時の実家は二階建てだったのだが、母は二階に白いモヤのような、白い煙のようなものが漂っていることに気づいたそうだ。

 漏電による火災も疑われたため、電気会社を呼んで調べてもらったが、異常はない。不思議に思っていると、霞が晴れるように白い煙も消えたという。

 後でわかったことだが、白い煙のようなものが二階にたちこめていたその時間、死んだ犬が火葬されていたそうだ。

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