第1話 - ヒーローがいる世界
ヒーローって誰もが一度は憧れる存在だよね。正義を貫いて巨悪を倒す〜なんてさ、めちゃくちゃカッコイイじゃん。だから、この目で見たくて行ってみた。もちろん、ただ見ることしかできなかったけどね。
いやぁ、目の前での戦闘はホント、大迫力もんだったよ。ビルが並ぶ都会が舞台。「ソルジャー」というヒーローが、烏合の衆と呼ばれる集団と格闘戦を繰り広げていた。このソルジャーが凄いんだよね。見た目はただのマッチョな男なのに、一対多の状況を正確に捌ききって、一人一人を倒していった。こういう、何の能力も持ってないヒーローって、『自分でもできるかも。』なーんて馬鹿みたいな話だけど、勇気をくれるから好きなんだ。
烏合の衆を倒しきった直後、上から黒い何かが銃弾みたいに何発も飛んできた。地面に突き刺さったソレは鳥の羽で、ソルジャーにも何本か刺さってしまった。空から舞い降りてきたのは、大きな黒翼を持ったカラス怪人、烏合の衆のボスだ(そのまんまだね)。傷だらけで膝を折るソルジャーと、不敵な笑みを浮かべるカラス怪人。
『よくも我が子分を痛めつけてくれたな。』
『我が子分だと?ずっと空から隙を狙っていたんだろう!』
『フッ、減らず口を。終わらせてやる!』
カラス怪人が翼を大きく広げる!また羽を飛ばす気だ!
ソルジャー動けない!それでも、顔を伏せずに睨みつけ続ける(シビれる〜)!
怪人が攻撃する寸前!ソルジャーの背後から二つの赤い光線が飛び出し、大きな黒翼から羽という羽が焼け落ちていった。
『どうやら、終わったのは貴様の方みたいだな。』
現れたのは、赤いマントのヒーロー「マイティ」だ。宙に浮いた状態で、威厳いっぱいに腕組みをしている。
『マイティめ、よくも我が翼を!』
先程までのニヤケ顔と打って変わって、恨みを込めて睨み付けるカラス怪人。それに対し、
『今度は、心の臓を焼かれたいらしいな。』
マイティは余裕綽々と答え、目を赤く光らせた。
『クッ、ここまでか、、。』
どこからともなく現れたカラスの大群が、怪人の周りを囲むように、グルグルと飛び回った。それから散るように飛び去ると、烏合の衆と共に怪人は姿を消した。
『ありがとうマイティ。おかげで命拾いしたよ。』
痛がりながらも、ゆっくりと立ち上がって一息つくソルジャー。マイティは、未だ宙に浮いた状態のまま、スーッとソルジャーに近付く。
『こちらこそ遅くなって悪かった、ソルジャー。』
どこに隠れていたのか、市民が『マイティー!』と大きな歓声を上げながらワラワラと顔を出した。
『私は彼の手助けをしたに過ぎないよ。本当のヒーローは、ソルジャーだ!さあ、彼に大きな拍手を!』
マイティの合図で、コレまた大きな拍手が起きた。マイティはニッコリと笑うと、猛スピードで飛び上がり、空高くまで消えていった、、、
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