第十二話 その金髪エルフ、強者にて
「ここのギルド長を任されております、
金髪の長耳女の
(異世界ここに
武蔵は
見れば見るほど
金色の髪だけならば南蛮人の一人だとまだ割り切れたが、どこで誰と
(待てよ……あやつ、もしや伊織が言っていた
伊織の話によると
それに見かけこそ似ているが、人間とは別な〝妖精〟という種族なのだという。
確かに
そのように武蔵が
「さて、
それだけではない。
「
事情を聞いた
「ミヤモト・ムサシさん、でしたね。事情は分かりました。とりあえず、その殺気を静めてはいただけませんか?
「は、はいッス!」
一方、その場の状況を読み取った武蔵も行動を起こした。
深く下ろしていた腰を元の高さに戻し、全身に
しかし、それでも居合の構えは崩さない。
いや、あまりにも危険すぎて居合の構えだけは絶対に崩せられなかった。
正直、
だが、
武蔵は背中に流れる冷や汗を感じながら、口内に溜まった大量の
(初めてかもな……俺が〝化け物〟と思うほどの相手は)
長く兵法者をやっていると、
常人には感じ取れない大自然の〝気〟の力を体内に取り込み、その気の力を下丹田で練り上げることで普段以上に肉体の強さを出させるようになるのもその一つである。
また、気の力を全身に
そして、そのような気の力の中でも最大限に戦闘に活用できるものがあった。
気の力の
もちろん、武蔵もこれまで数多くの兵法者と死合いをしてきた人間である。
当然ながら様々な死闘を乗り越えた中で、気の力の過多を正確に読み取って相手の力量を図る能力を身につけていた。
だからこそ、武蔵は
決して
そんな武蔵の気持ちに気づいたのか、
「どうだかな。そう言われて背中を向けた
「どのみち、怖くて背中など向けられないでしょう?
この言葉を聞いて武蔵の片眉がピクリと動く。
「
あまりにも聞き捨てならないことだった。
これでも自分は高名無名問わず、様々な剣術や武器術に長けた兵法者と死合い、ことごとく勝ちを収めてきた本物の兵法者である。断じて口だけで兵法者と名乗っているわけではない。
武蔵は
そればかりか、武蔵の問いに「はい、その通りです」と普通に答えたのである。
「それなりに相手のレベルは推し量れるものの、自分の力を押し通すことに頭がいきすぎて周りがあまり見えていない。いいのですか? あなたのせいでお連れさんがかなり参っているようですよ」
武蔵は顔だけを横に向けて自分の連れ――伊織のほうを見た。
「伊織、
言われるまで気づかなったが、なぜか伊織は頭を押さえながら苦痛に顔を歪ませていたのだ。
何かしらの持病の発作なのだろうか。しかし、伊織の口から持病持ちだとは聞かされてはいない。
それに
自分の何がどうしたせいで伊織が苦しんだというのだろう。
「だ、大丈夫です……これぐらい……あッ!」
突如、伊織は武蔵から
武蔵は瞬時に顔を
けれども、
「敵と判断した相手を前に少しでも目を離す……だから自称、兵法者なのですよ」
武蔵は
しかも
まったく動けなかった武蔵を前に、
次の瞬間、武蔵の体内に何かが爆発したような衝撃が走った――。
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