第20話:判明
俺が好きなシオリに……、俺が告白したシオリが俺に迫ってきている。でも、これは違う。なぜこんなことが起きているのか。
俺はここで大胆な仮説を立てた。
あのシオリの本は日記なんかじゃなくて、彼女の記憶そのものだったとしたら……。
俺が見た、あの本の最後のページは俺の告白の前。つまり、今のシオリは俺の告白のことを知らない。
少し前のことを思い出せば、彼女はその本自体を持っていなかった。
失くしたか、誰かに奪われてか(?)
そして、その後 本は戻ってきたけど、本は破られていて俺の告白以降の記憶がない。
そして、俺は本に『素直に愛情表現しろ』と書いてからシオリはずっと俺に結婚結婚言うようになってしまった。
人の記憶が本になるなんて……そんなスタンド使いがいた気がする。俺たちはいまスタンド攻撃をされているのか!?
それにしても、本には新しいページができていた。そこには俺と結婚するってびっしり書かれていたんだ。
俺が書いた『素直に愛情表現しろ』に反応して新しくできたページかもしれない。あのページだけ色が違ったし。
もし、この仮説が正しい場合は、もう一度この本を開いて『素直に愛情表現しろ』と書いた部分を消せばシオリは元通りの(?)記憶喪失状態に戻るってことか。
そして、元々の記憶を取り戻すには、残りの部分の本が必要……。
俺はシオリに抱き付かれつつも本を開き近くにあったペンで『素直に愛情表現しろ』と書かれた部分を二重線で消そうとした。
ところがダメだった。
二重線はいったん引かれるものの、すぐに消えてしまうのだ。
「なんだこれ」
「兄さん!さあ!結婚式をしましょう!」
ついに俺のシャツのボタンに手をかけ始めた。
身の危険を感じつつも全く悪い気がしない。この美少女め。しかも、相手は俺が好きな子。このまま流されたくなる気持ちが止まらない。
「ちょっ!いったん離れろって!」
「きゃっ!」
俺がシオリを引きはがしたタイミングで肘が当たり、例の本が部屋の隅まで飛ばされた。
「あ……」
俺が本に目をやった次の瞬間、後ろからドサッと音がした。
慌てて振り返るとシオリがベッドの上に倒れていた。
そして、彼女には意識がなかった。
「シオリ!シオリって!」
俺は彼女の肩を揺さぶったが、死んだように意識がない。
(ガチャ)「お兄ちゃん!?」
今度は部屋の入口の扉が開き、そこには見知った顔の少女が立っていたのだった。
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