第35話 夏のイベント3
「ウガァァァァァァァーーー!!」
怒りに任せて暴れ続けるサイクロプスにプレイヤー達は成すすべがない。
「これどうすんだ?」
「近づけねぇ」
「誰か何とか出来るか?」
「空飛べればなぁ」
プレイヤーたちは遠巻きに見ながらどうしようかと手をこまねいている。近づけば終わりだと思っているから近づけないのだ。
どうするかなぁ。近づけないと攻撃できないぞ。
俺達前衛だからなぁ。
周りにいたのは全員前衛職だった。
「魔法でHP削ろう!」
とあるプレイヤーから提案があった。
「それしかないよな!」
周りの遠距離魔法職を集める。
魔法を放ち攻撃するが、HPの減りが少ない。
「ラチがあかない! 午前の部が終わっちまうぞ!」
そう、このイベントは午前の部、午後の部で時間制限付きなのだ。午前の部の敵は午後の部まで持ち越し出来ない。
このイベントにはそういうルールがあるらしい。
その為、このサイクロプスはこの場で倒さないといけない。
「あと、五分しかないぞ!」
そのプレイヤーが叫んだことで気づいた。
時間が無い!
何か方法はないか。
考えろ。
何かあるはずだ。
思慮を巡らせる。
ん?
さっき何か言ってたよな?
『空飛べればなぁ』
ふと、周りのプレイヤーの話が蘇る。
それだ!
「ガント! こっち来てくれ!」
ガントを急いで呼ぶ。
「どうした!?」
「試したいことがある」
俺がこれからすることについて説明する。
「よし! それしかない! フーマにかかってるぞ! 頼むぞ!」
気合いを入れ直してスキルをかけ直す。
「身体強化! 身体加速!」
今回は最後に大きい技を放つため、風神は封印だ。
「ガント行くぞ!」
「よし! こい!」
少し離れたところから一直線にガントに向かって駆ける。タイミングを見計らって俺はガントに飛んだ。
ガントが構えた盾目掛けて縮こめた足を向ける。
「シールドバッシュ」
ガァァンッ
俺の足を押し上げると同時に跳躍した。
宙へと舞い上がった体はサイクロプスの目の前へ。
よし! 成功した! 最後の詰めだ。
目標の地点に到達した。
ここでまた、新たに魔法を形成する
「風撃!!」
風の塊が拳を包み込む。
弓を引くように、拳を引く。
ギリギリッ
体が軋む。
「フッ!!」
風を纏った拳をサイクロプスの目に叩きつける!
ズガァァァァァァンンンンッッッ
「グァァァァァァァ」
サイクロプスが崩れ落ちる。
ズシィィィィィン
「倒した……のか?」
キラキラキラキラ
目から光の粒子へと変わっていく。
『ワァァァァァァァァーーーーーーーーー!!』
空気を震わす程の大歓声が鳴り響いた。
プレイヤーは手を取り喜び合う。
これで午前の部は終わりなはずだ。
するとアナウンスがあった。
――――――――――――――――――
北門のレアボスが討伐されました。
討伐貢献順にポイントが加算されます。
――――――――――――――――――
「やった。レアボス、倒せたんだ」
「やったな! フーマ!」
ガントがコチラに拳を突き出す。
ゴツンッと拳を合わせ、喜びを分かち合う。
「やったわね!」
「やった!」
モー二もイブも二人で手を合わせながら飛び跳ねて喜んでいる。
――――――――――――――――――――
午前の部はこれで終了です。
お疲れ様でした。
1時間の休憩の後、午後の部となります。
――――――――――――――――――――
アナウンスがあり、午前の部は終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます