第14話 装備のオーダーメイド

 いつもの日課を終わらせてログインしたフーマはセカンテアの門の前で待っていた。


 色んな人が行き交う中、俺はキョロキョロしていると、みんなが集まってきた。


「「「「おはよう」」」」


「んじゃ、早速ムラマサさんの所に行きますか!」


 ガントが俺たちを先導して装備屋へと向かう。

 街には朝でも多くのプレイヤーが行き交っている。


「こんちはぁ!」


「おっ。いらっしゃい。もう鉱石が用意できたのかい?」


「昨日鉱山へ行って取ってきました。レアなのも取れたので、出来れば使ってもらいたいんですけど……」


「もちろん! いいよ。何が取れたか見せてもらってもいいかな?」


「はい。これなんですけど」


 インベントリからミルリル鉱石を取り出してみると。


「うーん。ミルリルかぁ」


「難しいですか?」


「できなくはないけど、鍛治のスキルレベルが足りないんだよね。レベルを上げながらになるから鉱石少しムダにしてしまうかもしれないよ?」


「いいですよ。鉱石全部お渡しします」


 苦虫を噛み潰したような顔をしながらマサムネさんは言ったが、俺は笑顔でお願いする。


「君は思い切りがいいね。これは気合いを入れないとな」

 

 マサムネさんは腕をまくりあげ、気合を入れるように真剣な顔になった。

 そして、宙を見て何かを考えているようだった。


「一週間もらえるかい? それまでに仕上げてみせるよ」


「お願いします!」


 店を出た一行は今後について話し合う。


「フーマの装備は依頼したし、今後はどうする!?」


「せっかく四人でやるんだし、クランとか作りたいわよね!」


 モーニがそう提案した。クランってなんのことだろう? 俺はその辺がちゃんとわかってないからなぁ。


「クラン?」


 俺がわからなそうに首を傾げているとガントが説明してくれた。


「クランって言うのは、同じ目的を持った人達が集まったりしてチームを作るんだ! それがクランってこと! チームでランキング上位を目指すんだ!」


 このゲームでは個人、クランでランキング付けがされる。何を元にするかと言うと、討伐数や、どれ程レア度の高いモンスターを倒しているか、である。

 これがCombatWorldOnlineと呼ばれる由縁である。


 ちなみにランキングであるがこのようになっている。


個人戦闘ランキング

1.トクラ

2.ジン

3.ヒデオ

4.テンカ

5.ヒデヨシ


クラン戦闘ランキング

1.武十館(ぶとうかん)

2.冒険者連合

3.英雄達(ひでおたち)

4.戦国武者

5.新世界


「ランキングは、メニューから確認できるから、みんなが注目してるんだぞ!」


 こんなランキングなんてあったんだ。ちゃんと気にしたこと無かったな。今度から注目して観察しよう。


「クランってすぐ作れるのか?」


「一定の強さが必要なのよ」


 俺が質問するとモーニが答えてくれた。

 一定の強さとはなんだろうか。


「レアボス。討伐。それが。条件」


 続けてイブが結成の条件を口にする。

 レアボスかぁ。遭遇したことないけど、エリアボスでさえあの威圧感だ。レアボスなんて相当凄いんだろうなぁ。


「じゃあ、装備を整えたらレアボス討伐を目標だな?」


 レアボス討伐するには、なにをすればいいのか。


「レアボスの討伐ってどうすればいいんだ?」


「それがわかんないのよね。わかれば苦労しないわ」


「まぁ、そうか」


 モーニが冷たく言い放つ。


「でもよぉ。レアボス討伐が条件になってるってことは、そこまで難しくねぇんじゃねぇのか!?」


「あんたねぇ、だったら、わさわざ『レア』なんて言わないでしょうが!」


 ガントが希望を見いだしたと思ったけど、モーニにその意見は一蹴されてしまった。


「んー? そうか?」


「そうでしょうよ! 考えなしすぎるわ!」


「んー。でもさ、出現しないとクランは作れないってことだろ?」


「んー。まぁー」


 もっともな意見で押すガント。

 それにモーニは押され気味だ。


 ガントの言うことも一理あると俺は思っている。出現率が高くないとクランはそんなに多くはできないはず。


 だけど、実際はみんなクランを作っている。ということはレアボスが出るのは結構な頻度だということだろう。


 それなら意外と早くクランを作れるかもしれない。


 俺は四人でのクランを思い浮かべると胸が踊る。楽しい場面しか思い浮かばないからだ。それほど、俺達は仲がいい。


「ガントの言った通り、レアボスは条件さえ揃えば、そんなに出会うのは難しくないのかもしれないぞ?」


 ここにきてマサムネさんが自分なりの情報を元に答えてくれた。

 色々な人から情報を聞く機会があるだろう。


「それは本当ですか!?」


「あぁ。意外と早く会うことになるんじゃないか?」


 予言めいたその言葉を聞いて、そう遠くないクラン結成の日を楽しみに店を出た。

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