第13話 意外な採掘場所
準備を終えたフーマ達は鉱山へ向けて歩いているところ。
採掘するの初めてだなぁ。
こういう胸のドキドキが感じられるのはこのゲームのいい所なんじゃないだろうか。
なかなかこんなドキドキは味わえるものではない。
「ガントは、採掘した事あるの?」
「あるさ! 何せ、オレの剣と盾は自分で採掘した鉄鉱石でムラマサさんに作ってもらったんだからな!」
ガントは自慢げに剣と盾を掲げてみせた。
「そうだったんだなぁ。いいなぁ。俺もカッコイイの作ってもらえるかなぁ」
「ムラマサさんはすげぇから大丈夫だって!」
そうだよな。ガントの装備もカッコイイし、俺のもきっとカッコよくなるよな。
鉱山が見えてきた。
山の頂上は見えない。鉱山らしく山肌の所々に洞窟の穴が空いている。
「おっ! あそこの入り口から入るんだよ!」
「わたしも採掘してムラマサさんに装備作ってもらおうわ!」
「私も。作って。貰いたい」
ガントが意気揚々と案内すると、モーニとイブもいそいそと後をついて行く。
「まず、ピッケルを持つだろ? そうすると採掘できるところが光って見えるんだよ!」
鉱山の中へ入ると採掘できる場所を探す。
「おっ! あそこ光ってる!」
先に見つけられたなぁ。俺もみつけなきゃ。もう少し奥に行ってみるかな。
細い隙間の奥で微かに光が見えた。
ん~? あそこ光ってる気がするなぁ。
カンッ! カーンッ!
ピロンッ!
ん?なんか音がした。メニューを開いてみるか。ドロップ欄に通知があるなぁ。
――――――――――
ミルリル鉱石×1
――――――――――
ミルリル?なんかレアっぽいなぁ。まだ光ってるし、光が無くなるまで採掘しようっと。
カーンッカーンッカーンッ·····
結構取れたよなぁ。
最終的な獲得は
――――――――――
ミルリル鉱石×6
鉄鉱石×11
――――――――――
「フーマ、鉄鉱石とれとか!?」
「結構取れたぞ? なんかレアっぽいの取れたんだよなぁ。」
「なんて鉱石だ!?」
「んーっと、ミルリル鉱石ってやつなんだけど……。」
「はぁ!? ミルリル!?」
驚くガントに続き、モー二も驚いた声を上げる。
「ちょっと! それ、めっちゃレアな鉱石じゃないのよ! この辺で取れるの!?」
「なんか、狭いとこ入ったところに採掘場所があって、掘ってみたら取れたぞ」
そんなにレアなものだったんだなぁ。取れたし、早く帰って作ってもらおう。
「よしっ! じゃあ、帰ろうぜ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
んっ?なんだ!?
奥から岩が動きながら現れた。
「ヤバイ! ロックゴーレムだ! みんな構えろ!」
全員で飛びのきながら構える。
「ロックゴーレムはHPが高いし物理攻撃に強いから、魔法攻撃主体でいくぞ! イブ、頼むぞ!」
「了解。任せて」
「挑発!」
ガントがロックゴーレムの気を引く。
ガンッ!!
狙い通り、ロックゴーレムがガントを狙って腕を振り下ろすが、避けたり受け流したりしながら気を引き続ける。
おれも加勢しよう。
「ドリルサイクロン!」
ロックゴーレムの足元へ行き、破壊を試みる。
「セイッ!」
腰を落とし、渾身の中段突きを繰り出す。
ドゴッ!!
HPが少しだけ減った。
かってぇなぁ。これは長期戦になるんじゃないのかぁ?
「みんな。下がって」
イブの指示の元、ガントとフーマが下がる。
ロックゴーレムは先程までいたところに腕を振り下ろし暴れている。
「ダークウェーブ!!」
ドッッガァァーーンッ
足に魔法が炸裂し、ロックゴーレムが倒れ込み動かなくなる。しかし、HPは残っている。一体どういうことだろうか。
もしかして……。フーマはおもむろにピッケルを装備する。すると……。
ゴーレムの一部が光を放っていた。
「おぃ! ゴーレムからも採掘できるぞぉ! とれるだけとろう!」
カァンッカァンッ·····
しばらく採掘しているとロックゴーレムが光の粒子になって消えていった。
こんな感じで採掘できるなんて誰も知らないんじゃないか?
「新たな発見だったな! ロックゴーレムからも採掘できるなんて! これは掲示板が荒れるぞ!」
ガントが楽しそうに鉱山の出口に進む。フーマ達もそれに続いていく。掲示板に上げたらかなり騒がれそうな出来事だった。
ログアウトしてからも楽しみだな。
洞窟の外に出ると夕日になっていた。
「ッアァー! 外はやっぱりいいなぁ」
新鮮な外の空気を吸うとなんだか安心する。こんな気分が味わえることもなかなかない。
このゲームすごいな。改めてそう感心させられた。
「シャバの空気はうめぇ! ってか!」
「物騒な言い方しないでよね!」
バシッ
モー二に叩かれながら注意されるガント。
「そんな。ガントが。かわいぃ」
ちょっとマイペースなイブが注意されているガントに甘い言葉をなげかける。
一行はセカンテアに戻る。
「そろそろ、今日はログアウトするわ!」
「私も。ログアウトする」
「おう! また明日な!」
「また明日なぁ」
モー二とイブがここで今日のところはログアウトする。
「オレらも、ログアウトするか⁉」
「そうだな。じゃ、また明日なぁ」
こうして初体験の採掘は終わりを迎えるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます