CombatWorldOnline～落ちこぼれ空手青年のアオハルがここに～

第12話 装備屋のムラマサ

　午後になり、再びログインした。

　みんなはログインしてるなぁ。連絡してみるかな。

　ガントに連絡すると、門のところに集合らしい。

「揃ったな！ じゃあ、装備を作ってもらいに行くか！」

　スタスタと前を歩くガントについて行く一同。

「なぁ、モー二は装備どうやって整えたんだ？」

「ん？　私はNPCのお店で買ったのよ。生産職の知り合いなんていないし。イブも一緒よ」

　NPCの店で買うっていう選択肢もあるのかぁ。

「ただ、性能が低いの割に高いのよね。プレイヤーメイドの方が素材を持ち込めば、安く取り引きしてくれたりするし、性能もいいのが手に入るわ」

「なるほどなぁ」

　話していると目的地に着いたようで、ガントが立ち止まる。

「ここだ！　 入ろうぜ！」

　周りと同じくレンガ造りの家がある。ハンマーのマークがぶら下がっているのは鍛冶屋って事なんだろう。

「こんにちはぁ！」

「おう！　 いらっしゃい！」

「今日はコイツの装備の作成依頼をしたくて来ました！　 フーマ、この人は前に道に迷ってるところを助けて貰ったんだ。そしたら鍛冶屋だっていうから、これも何かの縁って事で装備をお願いすることになった。コイツはフーマって言って、俺のリア友です」

「初めまして。フーマです」

「私達も紹介しなさいよ！　 初めまして、モーニです」

「初めまして。イブです」

「初めまして、ボクはムラマサっていうものだよ。以後、よろしくね。いいお客さんになりそうだ」

　見た感じ優しそうなお兄さんといった感じの人だ。店自体はレンガできていて、熱気が籠っている。

　鉄の焦げた匂いの漂う、本格的な工房といった感じだ。

「早速なんですけど、フーマの装備の作成をお願いしたいんです！」

「いいよ。素材は持ち込みして貰えるのかな？」

　ガントの紹介とはいえ、初めてなのに俺を受けてくれるようで有難い。

「はい。それでお願いします。足りないのがあれば取ってきます」

　俺の装備だから自分でお願いしないとな。

「うーん。見たところ武術士だよね？ グローブの表面は硬いもので覆った方が攻撃力が上がるね。……それだと、鉄鉱石が欲しいね」

　鉄で手を覆うのかぁ。それは強そうだけど、衝撃がもろに来そうな気がするけど……。

「心配しないで、表面の鉄の下にはクッション入れるからさ」

「あっ、ありがとうございます。ちょぅと心配しちゃいました」

　即座にどうやろうとしているかの説明をしてくれた。慌ててお礼をいう。

　やばい！　顔に心配してるの出てたのかなぁ。

「防具はどうする？」

「はい。えっと、革で動きやすいものが良いですね。あっ、あと、蹴りも使うのですね当ても作ってもらいたいんですけど」

「いいよ！　 何か、リアルで武術やってるの？」

「はい。空手をやってます」

「そうなんだね！　折角だから、空手の防具を参考に色々作ってみるね」

「はい！　お願いします！　あっ、マニーっていくら位になりそうですか？」

「そうだねぇ。鉄鉱石取ってきてくれれば値段は抑えれるし、革は僕の在庫から出すから、その分は料金もらうね？そうするとだいたい50k位でお願いしようかな」

ん？聞き慣れないなぁ。50k？どういう単位なんだろう？

固まっていると横から笑いながら、ガントが教えてくれた。

「50kってのは、5万マニーってことだよ！　ムラマサさん、すみません！　コイツVRMMO自体が初心者なんでまだ、なんにもわかんないんですよ！」

「あっ！　そうだったのか！　ごめんね！」

　とっさにガントが間に入って説明してくれた。

　まだまだ知識不足で申し訳ないな。

「いえ！　 大丈夫です。学びましたぁ！　ギリギリ足りそうなので、お願いします。」

　後ろからモー二が小突いてくる。

「ちょっとホントに大丈夫？　いつの間にそんなに稼いでたの？」

「1人で少し狩りに行ったりして稼いでたんだ。おかげでレベルも少し上がったし」

「じゃあ、土台の革部分は作成しておくから、鉄鉱石をお願いね」

「はい！　わかりました。よろしくお願いします！」

　店から出た一行は、今後どうするか話し合う。

　みんなについてきてもらうのも悪いしなぁ。別行動の方がいいんじゃないのかなぁと思うけど。

「俺は、回復薬買って、採掘の道具揃えたら近くの鉱山に行こうと思うけど、みんなはどうする？　流石に、ずっと付き合わせてるのも悪いなぁと思ってさ」

「水くせえこと言うなよ！　オレは、一緒に行くから！　道案内も必要だろう？」

　バシバシ肩を叩きながらガントが道案内を買っかてでてくれた。持つべきものは友だな。

「あんたねぇ、ここまで来てほっといてなんて許さないんだからね。私だって鉄鉱石欲しいし。行きたいのよ！」

「私は。鉄鉱石。いらない。けど。寂しいから。ついてく」

　モー二は相変わらずツンデレだな。イブよ、心の声がダダ漏れじゃないか。

「みんな、ありがとう」

　仲間に感謝しながら、道具を揃えて準備をする。

　鉄鉱石ってそんなにすぐに手に入るものなのかなぁ。みんなを付き合わせてちょっと悪い気がするけど。

　みんなも武器とか防具を作るのに鉄鉱石が必要みたいだし。いっか。一緒に探そう。