第3話 キャラメイク

『ようこそCombatWorldOnlineの世界へ』


 白い光の先に文字が浮び上がる。

 妙に立体感があるように感じる。

 それだけでフルダイブってすごいなと思う。


 目の前に文字が浮かんでいるのだ。


『キャラクターネームを登録して下さい。』


 キャラクターネームかぁ。

 何がいいかなぁ。

 さっき掲示板でリアルの名前は使わない方がいいって書いてたんだよな。


 なんでも、名前からSNSを検索されてプライベートを調べられたり。

 付き纏われたりした例が今までにあったらしい。


 それに関しては公式のサイトでも注意喚起されている。

 よって、大体が本名を少し弄った名前とかにするらしい。


 俺の場合は苗字が風間だから……。


――――――――

フーマ

――――――――


 Enterを押す。

 ちょっと安易だったかな。

 まぁ、大丈夫だよね。


『キャラクターネームが承認されました』


 キャラクターネームに関しては名前が被っていても大丈夫なんだそう。

 被らないように別でIDを保有しているんだとか。


『キャラクターを作成してください。』


 微妙に機械的な音声が流れてくる。

 でも、最近の自動音声は人間にかなり近い気がする。


 マネキンのような顔が目の前に出てくる。

 顔のタッチした部分の選択肢がポップアップで表示される。


「いろいろできるんだなぁ」


 顔を弄ったり身体を弄ったりする。

 けど、なんだか納得いく形にならない。

 そもそも、リアルに近づけられないんだよなぁ。


「これ、キリがないぞ。これリアルの姿を反映できないかなぁ」


 困って独り言を話していると。


『リアルの姿を反映させますか?』


 アナウンスばかりかと思ったら対話ができるみたいだ。

 凄い技術だなぁ。


「おっ。リアルの姿を反映して欲しい!」


ブンッ


 目の前に自分の姿がそのままマネキンで表示されている。


「お~。俺だ」


 流石にパンツははいている。

 そういう仕様なんだろう。


「まずは、髪の色を赤にしてみるかな」


 すると、髪が赤に変わる。

 だが、なんだかしっくりこない。

 んー。じゃぁ。


「髪をシルバーにしてみて」


 マネキンの髪がシルバーに変わる。

 うーん。まぁ、これでいいかな。


「そしたら……目の色はグレーにして」


 うーん。なんか渋いね。

 でもその渋さがいいかな。

 でも、顔の色が黒すぎるね。


「肌の色を白くできる?」


『はい。可能です 』


 そうアナウンスが鳴ると。

 肌が白くなった。

 ガタイはいいけど。

 まぁ、いいか。

 

「後はリアルのままでいいや」


 そのままにしておかないと感覚がおかしくなっちゃいそうだもんな。

 リアルと一緒じゃないと意味が無いからな。


 キャラメイクを終えた疾風は、次に職業を選択する。


『職業を選択してください。』


「これは、さっき決めたんだ。武術士になる」


 職業を武術士を選択し、初期スキルの取得に移る。

 ここからが悩みどころである。


『スキルを選択してください』


「んー。まずは、体術でしょ」


 これは、マスト。

 これが無いと武術士としてやれないから。

 違うのを選んだら戦えないんじゃないだろうか。

 

 5SPを使い、体術を取得。

 これがメインになるからだろうけど、ポイントの消費が大きいよな。


「あとは、身体強化をとりたいかな」


 これは2SPだった。

 スキルポイントを使い、身体強化スキルを取得。

 残るスキルポイントは3だ。

 これを何に使うか悩む。


 アクロバットというスキルがあって、これも3で取れる。

 他には部分強化。

 これは肉体強化との相性がいい。


 どうしよう……でも。


「残りの3SPは魔法も取りたいんだよなぁ」


 始める前に魔法に関するスレを読んで、魔法を使ってみたいと思っていた。

 なにせ、リアルではありえない現象を起こすことが出来るのだ。


 それは貴重な体験になるはずだ。

 きっと誰もが最初は魔法に惹かれることだろう。

 考えてみてくれ、手から火の玉とかが出るんだぞ? すごいよな。


 魔法のラインナップを見てみると、何種類かあるみたいだ。

 

――――――――――

□ 無属性魔法 3SP

□ 火魔法 3SP

□ 風魔法 3SP

□ 土魔法 3SP

□ 水魔法 3SP

□ 光魔法 5SP

□ 闇魔法 5SP

――――――――――


 希少属性として分類されている光魔法と闇魔法はやはり消費スキルポイントが大きい。

 これはきっと魔法職の人がとったりするんだろうなぁ。


 俺は別に魔法を極めたいわけではないから、まずは取れるのをとる。


「光魔法と闇魔法だけ5SPなんだ。それは、選択肢から外して」


 んー。

 火魔法。

 ファイアーボールとかいいなぁ。


 炎を青くしたりとかもできんのかなぁ。

 でもなぁ。

 見えない風って強いイメージがあるなぁ。

 

 しかも、イメージしやすいし。

 風はいつもランニングで触れている。

 やり直しはないだろう。


「よし! 風魔法にしよう!」


 風魔法にチェックを入れる。

 これでいいかな?

 いいよね。後悔はしない!


「終わったよ。」


『了解致しました。このキャラクターで始めてよろしいでしょうか?』


 マネキンがクルッと一回回る。

 おそらくこれでいいか俺に聞いているのだろう。


「うん。これでいい」


 俺は意を決して始めた。


『それでは、CWOの世界をお楽しみください。』


………………

…………

……

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