第19話 ヴァニティエンジェル・ランチタイム
南署、ランチタイム、交通課・
「先輩、一緒に
宮田ミキの後輩たちが声をかけてきた。
「いいわよ、じゃ行く?あうあうーっ!」
ミキは高校時代、陸上部でマラソンをしており、その時に後輩で入ってきた
3人の女子を指導していた事があった。
宮田ミキは、父親の影響で小学生の時から柔道をしていたが
中学に上がった辺りから、みるみる体重が増え、足も太くなり始めた。
高校に入ると、正直に『痩せたい』と陸上顧問の先生に相談してマラソンを専攻した。
今、一緒にランチに向かう署内の後輩3人は、高校時代からの付き合いだった。
後輩3人の名前は
『
3人とも宮田ミキが署長に頼み込んでのヤベェー100%コネ入隊だった。
この3人は短大卒で入隊してきており署内では男性署員に皆ちやほやされ
名前から『よき・こと・かな』の3人と、あだ名されていた。
―チリーン
「いらっしゃいませー」
今日も健一が元気に迎え入れて4人はボックス席についた。
「ホットサンド4つと、大盛り豆腐入りサラダ4つ、あとポタージュ4つね」
「はい、了解いたしましたぁ、今日、肉団子うまくいったんだけど少しみんなで
食べる?」
「おー、じゃそれも、お願いね」
「ありがとうございまーす」
スタスタと健一が厨房に戻る。
琴乃が口を開いた
「先輩、健一さんと、どうなってるんですかぁ」
残りの二人も興味津々・・・
「それがぁ、全然にぶいのよねぇアイツ・・・あぅぁぅ・・・」
「にぶいって、どんな感じなんですかぁ?」
「んー、きっかけが、つかめないっていうか・・・」
加奈が口を挟む
「きっかけ?何のですか」
「だから・・・キスとか・・・」
「ウッ、ギャーーアーーッ!!」3人が大声で冷やかす。ま、喜んでます・・・アホか・・・
「コラ!大きな声ださないで、みんな見てるでしょ・・・」
顔に似合わず好子が乱暴なことを言い出した。
「せんぱい、そんなもん、押し倒して奪っちゃえばいいんですよ
ぶちゅーって、そのあとは、こう・・・やさしく・・・」
「ンー」と好子が一人芝居を始めた、手つきには大いに問題あり。
「ウウ、ウッギャーアーーッ」残りの2人が大喜びで叫ぶ。ま、ま、喜んでますぅ・・・
マジでミキが怒った。
「うるさいっ!静かにっ!」
そこへタイミング良く、のん気なアホ顔の健一が料理を運んできた。
「はい、おまたせー、なんか楽しそうだね、いい事でもあったの?」
好子が言う
「あのー、ミキ先輩、健一さんに、お願いが、あるらしいですよ、アウッアウッーウー、あっレタス落とした」
真っ赤な顔のミキ・・・
「こ、コラ!」
アホ
「え?何?」
見ると、ミキが鬼のような顔で後輩達を
「オイ!お前ら、あとで説教だからな、いいから食えっ!」
「ハーイ・・・」しょぼん・・・
「じゃ、今、持ってくるから」
スタスタと厨房に戻る健一
加奈
「先輩、せんぱいは結婚とか考えてるんですかモグモグ・・・・」
「モグモグ・・一応ね・・30歳までには、なんとか・・・」とミキ。
「はぁー・・そうですよねぇ・・・私も同じかなぁ、いいでよすね先輩」
「何が?」
「えー、だって健一さんなら勤務中に何か怪我するとか・・・ないじゃないですか」
「怪我?なんで・・」
「いやぁ婦人警官って、あんまり出会いのチャンス少ない気がして、かと言って自分より安定した収入ない男とも、おいそれと付き合えない気がして・・・」
「そう?考えすぎじゃない、収入とか抜きにして、恋愛すればいいんじゃないのかな」
「よく言いますよ先輩、南署、結構、職場結婚あるじゃないですか、でも強行犯係の人とか機動隊の人とか、男らしくて理想だけど心配じゃないですか、もし何かあったらって、シングルマザーは辛いし寂しいですよぉ多分・・・モグモグ」
「あー、そういうことか、誰か好きになったの?」
「いや、まだ、そういうわけではないんですけどね・・」
そこへ健一がサラダを持ってきた。
「ハーイ、お待たせ、あとはいいの?」
ミキ
「うん、大丈夫、サンキュー」健一は忙しく厨房に戻った。
好子
「あれ?加奈、チャレンジャーの長浜さんが好きなんじゃないの?」
ミキ
「えー、ホント・・・まぁまぁかな・・・」
琴乃
「先輩、長浜さん彼女とかいるんですか?モグモグ」
ミキ
「うーん、知らない・・・探りいれてみようか?」
「あーお願いします・・・」
「んー、良い事、思いついた、合コンすれば?」
「え、チャレンジャーとですか?」
「うん、あんたたちの友達も誘えば結構な人数になるでしょ」
加奈
「いいですね、ソレ!あーっ!その手があったかあー」
ミキ
「それと、危険じゃないかって話、うちの署には北条総合病院がついてんだから
不死身も同然、きたいち興信所の厳じいさん、あんたら歳幾つか知ってんの?
噂じゃ150歳超えてるらしいわよ・・・・」
「えー、嘘ですよね」3人は唖然。
「それが、本当よ、何回も死にそうなって今じゃサイボーグ化してんだから」
「マジすか・・・」と3人。
「うん、だから余計な心配しないで、自由に恋愛しなよ今のうちに・・モグ」
好子
「うわー、良い事聞いた・・・サイボーグって夜の方はどうなのかな・・・」
ミキ
「それわぁ・・・・聞いたことないな・・ささ、時間なくなるわよ」
「ハーイ」
宮田ミキは
『今回の大きな作戦が終わったら、健一をどうしてやろう』
とボンヤリ考えて、考えるのをやめた。
クロスタウン・アンノウン 尾駮アスマ (オブチアスマ おぶちあすま @asumao888
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。クロスタウン・アンノウンの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます