第7話 続 北条一・国際貿易

「俺たちは神の使いだ」


北条一が難なく日本に帰国できた影で、本当は、この三人のグレイが暗躍し敵国の軍人たちを倒して逃がしたのだという。


北条一は問うた

「俺は、これからどうすればいい」


「なあに、人類を正しい方向に導くために尽力すればいいのさ

無謀な作戦で無駄に死んでいった日本軍人や、その家族の魂もやがて生まれ変わる、判断に迷えばコンピュータが答えをだしてくれる」


「こんぴゅーた?」


 北極圏・地下帝国アガルタには、人類が地球に発生する前から

この地球に住んでいる古い神々が住んでいた。


そして、人類が発生以降、月からもたくさんの神々と呼ばれる存在が同居し、やがて八つの量子コンピュータAIが作られ

未来予知など難しい判断を迫られたとき、神々はこのAIの答えに未来のヒントを得て行動するようになり

ヤハウェとは存在を隔てた神としての扱いを受けていた。


 特にスペースシップを応用した未来へのタイムトラベルには

このコンピュータの許可が必要で、それは容易ではなく

そこにヤハウェの存在が見え隠れしていた。


八つの量子コンピュータAIは

【マンダラマシン】と呼ばれ


このマンダラマシンは自身の情報をダビングした

AI搭載の人型アンドロイドを複数所有していた。


 その名を『ドムジ・トテック』と言った。

そしてアガルタに住む日本の神々だけは、この人型アンドロイドを


凶目童子マガメドウジ』と呼んでいた。


 少女や少年など様々な姿で人間社会に紛れ込み魂の監視や人間の残忍さ愚かさを繰り返し学習して

時折、霊界の存在たちとコンタクトしていた。


月の住人たちも思考のモニター監視が不可能な存在がいることに感づいており、彼らにとっても地球人類にとっても


 マンダラマシン・アンドロイド、ドムジ・トテック通称『マガメ』は不気味な存在であった。


北条一に、グレイ、サンが言う


「貴方は、悪と戦うための武器を作れば良い、人脈と兵器だ、困ったときは俺たちがそばにいる、タイムマシンで過去の会いたい奴にも会わしてやれるしな」


「タイムマシン?そんなものが本当にあるのか、じゃあ未来も知っているのか?」


「それですが、必要悪なんて言葉があるように、やめたほうがいいような愚かな事を人間は繰り返す。

だが人類の失敗は進化の為に必要だと我々のコンピュータといにしえよりの神々が言っていて、現在から過去に行くことは比較的、楽なんだが未来に行くのにはコンピュータの許可が降りないのです」


「許可が・・・」


「ああ、許可があれば未来にも行けるらしいが、戻ってきたものがいるとは聞いたことがないのだよ。

なんでもヤハウェマジックと言われている事象があって、勝手なことをすると宇宙人だろうが人間だろうが存在そのものが消されるらしいんだ。

本来は過去より未来に行くほうが簡単らしいんだが、神々や人間の中にも流れを変えようとする奴が現れるからだと思う」


 金塊の山をバックにして


元・大日本帝国軍人を名乗りベラベラと日本語を喋るグレイ宇宙人を目の前にして、北条一にはグレイ達に逆らう感情は皆無だった。


 これが、アガルタのテクノロジーを取り入れ何百年も先の奇妙奇天烈な防御システムとあらゆる武器の開発、無尽蔵に所蔵する金塊。


それを要として現在・日本国の影の組織であり、同時に表の組織


『北条一国際貿易』が設立された。


 北海道・函館市に居を構え、人員をスカウトして歩き

戦後のどさくさに、西部地区中心に古い倉庫群や土地を買い占め、目立たないように管理エリアの拡充に努めた。


 アガルタ地下帝国の進んだテクノロジーは、様々な攻撃力のある兵器、車両、飛行機やモニター技術があり、特に医学においての技術に不死身の人間すら製造することも可能に思われた。


正義のためならば、少しずつ小出しのテクノロジーを提供したり抹消したりできるので、技術の製造、輸出を行い同時に影の存在として地球人類の平和を維持する事を目的として暗躍し始めた。


 ナ・ム・サンの三人と北条一は、大国との交渉に

ある日突然、各国の首長室に直接テレポートして、映像を記録させ

アメリカでは、ロスアラモスの軍事ラボを無力化させ


ソ連では核兵器格納基地をピンガー攻撃したあとに完全に無力化させ


イギリスでは王国の諜報機関に潜入していた月の住人を逮捕して正体を暴き、女王陛下に差し出した。


 各国の首脳前に現れた日本の貿易商人は、彼らにとって恐怖すべきに十分な現在の科学力を、超越したテクノロジーを有していた。


 各国の優秀なSPたちも弾丸を跳ね返し、砲弾にびくともしない

北条一に驚愕し、これから何が起こるのかと見守っていた。


要求は

「各国への外交特権とヤハウェマジックを恐れよ」という2点のみだったが

その特権の中身こそ

「我々を敵にまわすな」というシンプルなものだった。


 これに、いち早く同意したのがアメリカ合衆国。

ひと目で進化した人類と思われる未知の存在と会見し

青い目を持ち合理的解釈しか知らなかった白人たちは

たとえ偽りでも、とりあえず条約を交わし相手の正体を調べ

状況に応じて対応をするのが常だったからだ。


アメリカ人の信念は保身そのもので神に従う日本人の犠牲的精神とは、

かけ離れていた。


 どちらが正しいのか間違っているのか・・・


彼らにとって突然の来訪者である北条一とグレイ三人が言う。


ヤハウェマジックとは個の蒸発と太陽の変革、巨大隕石・彗星

そして大きなポールシフト発生だと、地球滅亡のプロセスが説明された。


 未だに太陽周辺での怪しい動きをするキューブや

地球の重力さえ解明していない地球人にとって


物理学の矛盾点や人類が未発見の未知のエネルギーや鉱物。


 そして何千年もまえから量子コンピューターやアンドロイドを有していると説明の上、ジュピターの衛星や今、オリオン座で発生している大問題、なぜ金星の文明、火星の文明が崩壊したのかなど

地球人類の無知と遅れについてざっと説明されても


世界各国の科学者や物理学者は、この事実に狂気こそすれ

具体的に地球人類としてどうすればいいのか

明確な答えは出るはずもなかった。


「地球人類は御仏の手のひらの上だ」


 手始めに悪魔と呼ばれる存在と契約している地球上の人間たちが

静かに死んでいく現象が始まったが、事故死や自然死と扱われ

騒ぎにはならなかった。


背後にはアガルタの住人かみとナムサンをはじめとする亡命宇宙人グレイアンドロイドたちの存在が深く関わっていた。


予め世界中に展開している亡命宇宙人に示された人物が順番に死亡したので偶然でないことは各国の首脳に伝わっていた。


そして月と地下帝国アガルタのことを、この時は一言も各国に明らかにされることはなかった。

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