第3話 3つのプレゼント
結局、文乃本人に聞いても欲しいのはないので、プレゼントは決まらない。
ただ、日曜日に3人で出かけるけら、その時に何か買ってもいいかもとは思った。
「日曜日に一緒に出掛けるからその時に買ってもいいかも」
「でも、それだと~当日まで秘密にできないし~」
「そうだけど、なんでもいいって一番難しいしね」
「文乃ちゃんなら、100円の文房具でも温海ちゃんから貰えば喜ぶよ~」
確かに文乃ならば100円の文房具で喜ぶかもだけど、誕生日プレゼントだから
そうはいかないけど、あまり高い物も文乃が気を使う。
普段は言いたい事言う割に、変な所で気を使うのが文乃。
それだけあたしと夕の事を考えてくれてるって事だけど、こっちも文乃には
気を使っているからお互い様かな。
あたしと夕が付き合ってる事も、黙ってくれてるし、話題にしないようにしてる。
ただ、クラスの何人かは文乃同様に気づいている感じではあるけど。
「文乃って変な所で気を使うから、こっちも悩むわね」
「それが文乃ちゃんのいい所だけどね~。普段使えるハンカチとかでいいんじゃなかな~」
「確かに、その方が文乃も気を使わなくていいけど、誕生日で貰ったものと
同じぐらいの額の物を返したいけど、それはそれでまた気を使うと思うわね」
わたしは大きなぬいぐるみを誕生日に貰ったけど、夕は誕生日に家に
ゲーミングチェアーって言うのを送って来たそうだ。
一番安いぐらいの物らしいけど、調べてみたらそれでも1万円するから文乃からしたら十分高い。
そして、そのゲーミングチェアーは夕の部屋でちゃんと使われている。
「新しい椅子が欲しかったから、ちょうど良かったよ~」
「文乃ってわたしたちの事ちゃんと観察して、好みのも物をちゃんと送ってくから嬉しいけどけど」
「それが文乃ちゃんのいい所だけどね~」
「ただ、自分の事は表に出さないから、こちらから贈るとなると逆に困るのよ」
「意外とわたしたちって、文乃ちゃんについてあまりしらないかもね~」
文乃はあまり自分の事を話さない。
別に隠してる訳ではないけど、こちらからも聞かないというものある。
知っているのは誕生日と家と家族構成、スリーサイズに趣味……。
これだけ知ってれば十分な気もするけど、欲しいものがわからない。
スリーサイズは偶然知ったとはいえ、スリーサイズを知っていても
欲しい物がわからないのも変な話だけど。
「プレゼントってこんなに悩むものだったけ」
「初めての誕生日プレゼントだからだと思うよ~」
「確かに、それはあるけど、先に貰ったと言うのもあるわね」
初めての誕生日プレゼンかつ既にあたしと夕は文乃からプレゼントを
貰っているので余計に悩む。
ただ、悩んでも仕方がないので、値段を気にしないで自分が贈りたい物を選ぶのがいいかな。
「深く考えないでハンカチとか、日常的に使う物でいいかな」
「とりあえず、それでいいかな~。わたしはどうしよう~」
あたしはちょっと高めのハンカチを買ったけど、夕は悩んでいる。
当日には学校に持って行くから、小物の方がいいけど文乃みたく
ネットで注文して、当日届けるのもいいかな。
そうか、その手もあったけど、文乃の家は何度か行ってるから
住所も教えてもらってるからね。
文乃の部屋にない物は……大き目のクッションかも。
文乃の部屋に遊びに行った時は座布団を別の部屋から持って来たから
クッションがあれば何かといいかな。
文乃はベッドで漫画を読んだりゲームをしてたから、寝っ転がれるようのもいいか。
夕とあたしとでそれぞれ買えばいいかも。
あたしはこの事を夕に話すと
「確かにそれもいいかな~。文乃ちゃんの所に遊びに行った時に横になれるし~」
と夕は文乃のプレゼントなのに、自分で使う気でいるけどそのためでもあるからいいか。
「それとは別に、直接渡す物を買っておくね~」
夕はそう言って文具売り場へ行くけど、高級なボールペンを2つ買ったのであった。
「これなら学校に持っていても大丈夫だね~」
確かに筆記具なら大丈夫かもしれないけど、うちの学校はあまりうるさくない。
流石に教室でお菓子とかを広げてるのを見つかると怒られるけど、持ち物に関しては
注意はされるけど、取り上げらたりはしない。
緩いと言っても進学校なので、学力は県内でも上の学校ではあるけど。
「でも、なんか文乃の誕生日にしては物足りないわね」
文乃がプレゼントにケチをつける事はないけど、なんか文乃へのプレゼントにしては
物足りない感じがする。
いや、プレゼントに物足りないとかはないけど、サプライズが上手な文乃だから
こっちからも文乃をなんとか驚かしたい。
「文乃ちゃんの趣味は百合カップルの鑑賞だから~、わたしたちをプレゼントするのはいいかな~」
夕が何時ものように変な事を言ってると思ったけど……そうか、それがあった!
百合カップルが好きだから、あたしたちをプレゼントすればいいんだ。
といっても、変な意味でなくてわたしと夕が一緒にいるだけなんだけどね。
「夕、それがいいがいいわ」
あたしがそういうと、夕は
「え、珍しく温海ちゃんからツッコミがはいらないんだ~」
と意外な反応を見せたけど、夕はボケなのか本気なのかわたしにはわからないの。
こういうのはどうも苦手だけど、恋人なのにこれでいいのかな。
でも、ボケでも本気でも、今回の夕のイアデアは採用されてもらうわ。
「ボケか本気わからないけど、わたしたちで文乃を挟めばいいのよ」
「でも、温海ちゃんは胸だと挟めないよ?それに、挟むものはついてはないし~」
「な、な、何言ってるの、夕。あたしたちの間に挟めばいいの」
「ああ、そいうことね~。珍しく、温海ちゃんがエッチな事いいだした
って思たけど、温海ちゃんがそんな事考えないか~」
夕は笑うけど、わたしの言い方がわるかったかもしれないけど
この場合、どちらかというとエッチなのは夕の方だからね?
夕の勘違いがあったけど、わたしたちのプレゼンは全部で3つに決まったのであった。
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