第2話 初戦
舞台は後楽園ホール。伝説の統一王者「ライガ・ビースト」と謎の天才プロレスラー兼インフルエンサーの「マスカラ・サスケ」のエキシビションマッチが始まろうとしていた。
会場には、プロレスラーファンだけでなく、サスケのフォロワーたちが多く詰めかけていた。サスケがベルトを巻いて、花道を歩いてきた。
「マスカラ・サスケですが、日本王者になったばかりで勢いがありますからね」
解説の草野は少し興奮気味に話していた。
「逆にライガ・ビーストは突然の引退から十年経ってますからね」
ナガイ・
「ライガ・ビーストが入ってきました。これは元王者に敬意を払った配慮でしょうか、それとも挑戦者はお前だというサスケの挑戦状なのでしょうか」
草野が少し抑え気味に観客を煽っている。
お互いにリングインして、審判からルールを聞く。その様子を見守る観客のボルテージは上がっていた。そして、ゴングとともに世紀の一戦が始まった。
立ち上がりは、両者とも静かだった、フェイントを出しながら、お互いの出方を伺っている。しかし、突如としてライガ・ビーストがサスケに襲い掛かる。しかし、間一髪のところでそれを交わす。しかし、逃げた先は袋小路だった。
「リング隅に追い詰められたサスケ!」
ワンフェイントかけてからライガが鋭い動きで、サスケの肩を掴んだ。ものすごい握力とそこから派生する投げの初動を察知して、サスケはあえて組み合いの態勢でリング中央に逃げることを選択した。
ここから、タイミングを計って、離れるはずだった...ができない。サスケにとって、予想外だった。両手で肩を掴み、組み合ったまま、試合は膠着した。かに見えた、試合の均衡は突如崩れた。
「おーっと!マスカラ・サスケここで片膝を落とした」
実況席のアナウンサーが思わず、立ち上がる。
ライガ・ビーストはサスケの弱点を見切っていた。天性のバネを活かした空中殺法や神がかり的な曲芸を得意とするが、基礎的な技術や反復練習が足りない。天才であるが、組み合ったら並みのレスラーだ。
「お前に足りないのは、2つある」
ライガはさらにサスケに圧力をかける。サスケはもはや限界だった。
「一つは地道な基礎練習」
ついにサスケは両膝をマットについた。瞬時にサスケをうつ伏せにして、背後に回る。
「そして、最後は」
ライガはサスケの首を掴み、マウントをとった。
「愛する人のために、すべてをプロレスに捧げる覚悟だ」
それは、ライガ・ビーストが歴代の挑戦者を屠ってきた技だった。
「ここで、ついに決まった!キャメルクラッチ!!」
実況と観客のボルテージは最高潮になる。そして、無情にもカウントが入り、サスケは屈辱のキャメルクラッチを決められた。
そこから、数か月、サスケは人々の前から姿を消した。人々はサスケを忘れかけていたが、突如、SNSに「リマッチ」という広告が流れた。サスケのビルドアップされた背筋とともに映される広告に、人々は色めき立っていた。
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