第11話 推しのアイドルはドキドキさせたい
「ねぇ、ゆうくん……最近、私の存在に慣れてきてるよね……」
仕事も終わり、家に帰ってソファーに座りながら、のんびり晩酌を楽しんでいると音葉は唐突に言った。
「そりゃ結婚して3ヶ月も経ったからな、ちょっとは慣れるよ」
「それじゃダメなの!由々しき事態だよ!!」
音葉は、腕を組みながら、頬を膨らませてこちらを見つめてくる。
その姿がたまらなく可愛くて、庇護欲が掻き立てられる。
「と、いうことで!!今から、ゆうくんをドキドキさせるから!覚悟してね!!」
「な、何するつもり……?」
「まぁまぁ、大人しく待っててよ!あ、寝室のドアは開けちゃダメだからね!!」
そう言って、音葉は寝室へと入っていった。
俺は、今から何が起きるのだろうか……とドキドキしながら、グラスに注いだビールを口元へと運ぶ。
喉を通る爽やかな苦味が一瞬で全身に広がる。
(はぁ……今日も疲れたなぁ……)
そう思いつつ、ビールの泡を見つめていると、寝室のドアが開いた。
そこには可愛らしいセーラー服を着た音葉が立っている。
セーラー服の清楚な白と青の組み合わせが、音葉の優雅な雰囲気を引き立てていて、俺は思わず目を奪われてしまう。
恐らく、音葉が女子高生の頃の制服だろう。
もし音葉と同じ学校だったら、これが毎日見れていたのか……と悔しがりつつ、俺はその姿を目に焼き付ける。
「…………ゆうくん、どう?……似合ってる?」
音葉が少し不安そうな顔で問いかけると、俺は言葉に詰まりつつも、笑顔で答える。
「う、うん……すっごい可愛いよ…………」
「良かった〜!高校時代の制服引っ張り出して来たんだけど、まだまだ行けるね〜!」
音葉の不安そうな顔は、一瞬で照れくさそうな笑みに変わり、嬉しそうにくるくると回っている。
ヒラっと舞う短いスカートは、中が見えてしまいそうで、俺はそれを凝視していた。
すると、その視線に気がついた音葉は、顔を真っ赤にして、スカートを押さえる。
「ちょっと!ゆうくん!パンツ見過ぎ!!……もうえっちなんだから……」
「べ、別に見てねぇし!!」
「もう……見せて欲しいんだったら、言ってくれれば良いのに……」
音葉は小声で呟く。
「え、今なんて……?」
「…………!!もう!ゆうくんのばか!!もう制服は終わり!!!次の衣装に着替えるから!!」
音葉は、そう言うとすぐに寝室へと戻っていってしまった。
(音葉の制服……めちゃくちゃ可愛かったな……)
そう思いつつ、俺は恥ずかしさを紛らわすようにビールを飲む。
酔って来たのか、ドキドキしているせいなのか、段々と味が分からなくなっていく。
そうして1人寂しく、リビングで待っていると、また寝室のドアが開く。
次の音葉は、2年前のライブの時のアイドル衣装に身を包んでいた。
音葉のアイドル衣装は、まるで夢の中にいるような幻想的な美しさを放っている。
とても可愛らしくて、音葉の肩がしっかりと出ているその衣装に、俺のドキドキは止まらなかった。
「ふふっ!ゆうくんどうかなぁ〜?私、この衣装お気に入りなんだぁ〜!!」
「う、うん……俺もその衣装好きだよ……」
俺は、音葉があの『結城音葉』なのだということを、改めて実感させられて、思わず目を背ける。
「あっれ〜?おかしいぞ〜?私に慣れてるんじゃなかったのかなぁ〜?」
音葉は、ニヤニヤしながら、俺の隣に座ってくる。
「う、うるせぇよ…………」
「ふふっ、ゆうくんったら可愛いんだから〜!」
音葉は、さらにいたずら心に火がついたのか、俺の腕に柔らかいものを押し付けてくる。
アイドル衣装の音葉から繰り出されるその攻撃は、俺にとって効果抜群であった。
俺は、自分の理性が抑えられなくなり、そのままソファーに音葉を押し倒す。
「え、ちょ……ゆうくん!?だめだめ!アイドル衣装の時はだめだって!…………んっ……」
俺は、我慢できずにその唇を奪い、さらには首筋や鎖骨、肩へとキスをしていった。
「……はっ……ちょっと、ゆうくん!アイドル衣装はみんなの物なんだから……ダメだって…………あっ……」
音葉の口からはわずかに、甘い吐息が溢れ、目はトロんとしていた。
すると、音葉は俺のことを抱きしめて、耳元で囁く。
「もう…………ゆうくんのえっち…………」
そうして、俺たちの夜はより一層と深まっていった。
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