A.諦めましょう

「高嶺 希、さん……」


「あら、私を知ってるの?」


 ここに居る理由とか、この部屋の現状とか色々と聞いてみたいことはあるのに、動揺しすぎて上手く言葉が出ない。何で、こんな古臭い場所で新学期早々裏ボスとエンカウントするんだよ……!


「……当たり前だろ。アンタはだからな」


 この学校において、誰とも比肩することが出来ない容姿。他の女子と比べても一線を画す桐生院を持ってしても、彼女に勝つのは難しいだろう。部分的な大きさという、意味では桐生院の圧勝だが、それでもなおどちらがモテるかと言えば、間違いなく高嶺の方だ。


 人の理想を詰め込んだ一つの美術品とまで言われ、彼女はただ普通に立っているだけでそこら名画にも負けないくらいに絵になるのだ。その魅力に当てられて、玉砕した男又は女の数を数えるには、両手両足を使っても全く足りない。


 学力も運動神経もその全てが一線級で、推薦を受けて入学している特待生達の心を悉く折ったとも言われる_____一種の災害である。


 圧倒的であるが故に、誰とも交流を取らず、学校のカースト争いのに君臨する存在。


 百をRPGにおける主人公に位置付けるとするならば、彼女は所謂裏ボスだ。限界値までレベルを上げたり、ステータスを最大まで上げても、裏ワザでしか倒せない理不尽の塊_____それが俺が彼女に持っている見解だった。


「_____で、何の用かしら?」


「新しい部活が設立されたって聞いて、ちょっと見学しに来ただけで特に用は無いんだ」


「噂?」


「そうそう、誰かが噂してたのを小耳に挟んだんだよ。『旧校舎に新しい部活が立ったらしい』ってな感じでな。まっ、真偽は確かめられたし、直ぐに退散する_______」


 何とかしてこの場を去りたかった俺は、少しだけ早口のまま手短に話を切り上げ、高嶺の横をヘラヘラと笑いながら通り抜ける。


「______待ちなさい」


 _______し か し に げ ら れ な い!!!


 そんなアナウンスが頭に流れ、扉まであと一歩と言うところで手首を掴まれ、この場に引き止められてしまった。


 チィッ……!あまりのイレギュラーにタイミングを見誤った。


「……何だ?」


「貴方、今見学に来たって言ったわね?折角だし、許可してあげる」


 高嶺は真顔のまま、ググッと俺の腕を教室の方へと引っ張る。力が強い……!本当に女子____いや、人間かコイツっ!?多少力は抜いては居るが、俺、平均男子以上の力は余裕であるんだぞ!?本気出しても勝てる気がしない!?大地引っ張てる感じがする!?


「……ありがたい申し出だが、急用が入ってな。今日の所は退散させてもらおうかな。いやー、残念だな_____離せ……」


 何とかこの場からの脱出を試みようとするも、掴まれた手は振り解けない。


「この状況で私に指図出来る立場だと思っているのかしら」


「……ごほんっ。離してくれない?」


「駄目よ。この部屋に無断で入った上に、そこらを物色して回ったのでしょう?少なからず対価は払いなさい」

 

「そんな注意書き書いてないから嫌だ。てか、絶対今決めたルールだろ!」


「ええそうよ?でも何か問題でもあるのかしら。この部屋では私がルールだもの。今決めようが、過去に決めていようが、貴方が対価を払うのは当然でしょう」


 む、無茶苦茶だ。表情の変化が少ないので、こいつの思惑が読み取れないが、このままだと絶対ろくなことにならない。


 しかし、抵抗は虚しく、異様な力でズルズルと引き摺られ、そのまま部屋のソファに着席させられる。パワーおかしくない?


 俺を席へと座らせた高嶺は、出口の扉までを阻む様に俺の正面の席に座る。意表を突いて飛び出すつもりだったが、目の前のコイツを出し抜けることなんて出来そうもないし、この場から逃げる事は出来なさそうだ。


「……なんの情報が目的だ?」


 諦めて話を聞く姿勢になった俺を見て、高嶺はジッとこちらを見ながら、やけに大きなアクションで足を組む。


 うん、座り方が女王様だ。物を落としたフリして頭下げたらワンチャン覗けるのではと思うくらいには警戒心がない。因みに覗いたら、頭と体がグッバイしちゃう強さの蹴りが飛んでくる気がするから絶対やらない。


「なんの情報が目的か、ね。私が貴方とお茶がしたかったって可能性はないの?」


「冗談はスペックだけにしとけよ。普段から誰とも絡もうとしないお前が、寄りによって親友モブとお茶がしたい?はっ、笑えない冗談だな」


 学内カースト最上位……いや、カーストの外側にいる存在、それが彼女だ。そんな存在が、百ならまだしも寄りによって俺とお茶がしたい?そんなことは天地がひっくり返っても有り得ない。


「その冗談で笑いを取りたいなら、せめて友達の一人くらいでも作ってから言うべきだったな」


「随分な言い草ね」


「事実だろ」


「それもそうね」


 彼女は何がおかしいのか僅かに口角を上げると、据えたばかりの腰を上げ、部屋の奥にある棚を開けて中をガサガサと漁り始めた。


「何か飲みたいものとかあるかしら?」


「……そんなに長くなりそうなのか?」


「いいえ、話自体は直ぐに終わるわ。でも、客人にお茶の一つも出さないとあっては高嶺の名折れですもの。それに、貴方も聞きたいことがあるんじゃないのかしら?」


「あるにはあるが……」


 ちらりと壁掛けの高そうな時計を見る。時計の針は午後五時前を示しており、百の部活が終わるまで後一時間ほどしかない。


 ……だが、まぁ折角だ。どうせ逃げられないと言うのなら、出来る限り損分を取り返す事としよう。


「……因みにおすすめは?」


「紅茶」


「じゃあ、それで」


 困ったらおすすめか人気ナンバーワンを選べって、ばっちゃんも言ってた。……嘘だけど。上流階級のお嬢様の紅茶淹れを観察していると、やたらと彼女の手が震えている事に気がついた。


「……おい、どうした。なんか手が震えてないか?」


「気の所為よ」


「い、いや、どう見ても震えてるぞ。_____おぉい!零れてるっ!」


「美味しいお茶を淹れるコツ的なやつよ」


 ……なるほど。俺はそんな話聞いたことも無いが、俺なんかと住む世界の違う高嶺がそういうのなら、きっと事実なのだろう。だって、お嬢様だし。


「感涙にむせび泣きながら飲みなさい」


「もうそれ味わかんないだろ」


 数分後、やたらと高そうなアンティークなカップと共に俺の前に良い香りの紅茶が出てきた。


「因みに今のは冗談よ」


「それなら、もうちょっと表情筋動かして貰っても良いか?」


 仏頂面で冗談を言われても判別がしにくい。そこまで付き合いがあるわけでもないから、殆ど情が読み取れない。


「貴方から質問して良いわよ。その方が此方としても都合が良いし」


 高嶺は自身の淹れた紅茶を優雅な所作で口に運びながらそう言った。さすがはお嬢様、一つ一つの所作が俺たち庶民では足下にも及ばないレベルで洗練されている。


 ……いかんいかん、感心してる場合じゃない。お言葉に甘えて、さっさと質問に移ろう。


「まず、この部屋は何だ?何があったら、旧校舎の中にこんな異質な空間が出来る?」


「そんなの金を積んだに決まってるじゃない」


 流石、有名財閥のお嬢様はやることが違う。普通の学生じゃ絶対に取れないような手段で学校を私物化するとはな……。お前なんでこの学校通ってんだよ。


「知っているかしら。存外、この世にはお金で解決出来ることの方が多いのよ」


 ……うわぁ、すっごい邪悪。見た目に助けられてるけど、コレで性別が男でジャンルがRPGだったらラスボスとして討伐対象になるぞ。勿論、勇者ポジには百だ。


 俺の立ち位置は村に暮らす主人公の幼なじみ『少年A』とかにしといてくれ。多分『中盤に死ぬ』か『最後まで生き残る』かの二択になると思うから、後者の選択肢になるようにルート調整よろしく。


「次に、ここは何の部活なんだ?見たところ、何か活動してる感じは全く見て取れないんだが……」


 テーブルの上にヒントらしき何か乗ってる訳でもないし、此奴が放課後に外で何かしらの部活をしているのなら、俺の耳に確実に入ってくる筈だ。残念ながらそんな事は無く、活動内容どころか部員数すらも俺の情報網では手に入れられなかった。


「活動は正確にはまだもしていない」


「部活なのに?」


「部活なのに」


 いや、何で自信に満ち溢れながら言うんだよ。部活動をしていないのにも関わらず、学校を私物化してることについて、もうちょっと反省の色を持とうよ。生徒会とか泣いてるよ。


「因みに活動しなかったのには理由があるの。というか、が解決しない限り活動自体が出来なかったと言うだけの話よ」


「……因みになんの部活?」


「『人助け部(仮)』よ」


 _______え?


 ………。


 …………。


 ……え、マジで言ってる?


 十数秒間のの思考の果てに、俺の頭は物の見事にショートした。


 ________人嫌いで、誰とも関わりを持たない、協調性ゼロのコイツが?


 よりにもよって、主人公格の人間が作る『人助け』の部活を作る?おいおい、槍どころか空ごと落ちてきたりしないか?


「……因みに部長は?」


「部長も何も私一人しか居ないわ」


「そっかぁ……」


 俺は紅茶に角砂糖を五つ程ぶち込むと、一気に飲み干す。高嶺が滅茶苦茶目を見開いていたが、知ったこっちゃない。あ〜、甘くて美味しい。使った分の糖が頭に染み渡っていく感じがする。


 ……しかし、そうなってくると、真面目に親友キャラとしての優先度を見直さなきゃ行けなくなってくるな。こんなイレギュラーを後回しにしていては後々大きな亀裂になるのは目に見えている。


 それにしても、この学校で最も協調性がない人間がそんな部活作るとはな……意外も意外すぎる。


 だがまぁ、起きてしまったことは仕方がない。糖分も補給したことだし、切り替えていこう。


「『助ける』っていっても、生徒の悩みなんざ千差万別だろ。何を基準にして助けるんだ?購買をもっと安くして、なんて願いは叶えられないだろ?」


「出来ないこともないけれど、それは断るわね。助けるかどうかは完全に私の独断」


 おー、簡潔ながらわかりやすい答えが返ってきた。……うん、分かりやすいけど、それが正しいかどうかはいろんな視点から協議をする必要があるな。まぁ、遊びでやるようなタイプじゃないと思うから、そこまで心配する必要も無いか?


「で、今の今まで活動してなかった理由ってのはなんなんだ?」

 

「純粋に設立したてのこんな部活に相談に来てくれる生徒が今まで居なかったのよ」


 なるほど。実にシンプルな理由だ。誰かを助ける部活なんだとしたら、助けを求める誰かが居なければ成立しないということでもある。この部活には今まで助けを求める側の人間が欠如していたのだ。


「『今まで』ってことは相談に来た生徒が現れたってことか」


「えぇ、つい先日、初めての依頼者がやって来たわ」


 心無しかドヤってる様に見えるが、表情が全く変わっていないので判断しづらい。

 

「初めての依頼と俺の勧誘に何の因果関係がある?完璧超人と名高いお前なら、どんな依頼だろうと一人で十分だと思うが」


「確かに私は限りなく完璧に近いけれど、そんな私でも足りない部分くらいあるわ」


「……あぁ、む_____ぶるへぇっ!?」


 恐ろしく早いビンタが俺の頬に飛んできた。俺じゃ見逃しちゃうね……。


「あら、ごめんなさい。部屋に大きな羽虫が飛んでいたものだから」


「最後まで言ってないんだから許してくれよ……」


「最後まで言っていた場合、貴方の頭は床に転がっていたけれど、それでもいいかしら?」


「ちょっとしたおちゃらけの代償に首持ってかれんのは流石に嫌だな。もうちょっと限りある資源を大切にしてこうぜ」


「……わかったわ。_______次の機会があったら廊下に移動してからねじ切ることにするわ」


 何が分かったのか教えてくれない?限りある資源を大事にしろって言ってんだよ。場所と手段を変えろ、なんて一回も言ってねぇよ。


「……限りある資源大事にしろって話聞いてた?」


「……?だから、配慮して廊下に移動するって言ってるじゃない。廊下なら絨毯もソファーも汚れないでしょう?」


 俺の命はこの部屋の絨毯とソファー以下なのか。幾ら値打ち物だとしても俺の命より高いなんてことは無いだろ。……。……ない、よね?


「話を戻すが、なんで俺だ?」


「……さっき、初めての依頼だって言ったわよね?昨日、依頼内容を聞きはしたのだけれど_______ちょっと困ったことになったのよ」


 自分の命とソファの価値の差に不安になりながらも、再度質問すると、高嶺が少しだけ眉を顰める。……あらゆる面で他を圧倒する能力を備えたコイツがこんな顔をするとは、余っ程の無理難題に当たったのだろうか?


「悪いが、お前がそんな顔をするレベルの難題を解決する自信はないぞ」


 というか、そもそも矢面にはあまり立ちたくない。目立ち過ぎると、カーストに変な歪みが生じる可能性がある。それは俺がこの学校生活に置いて、何を差し置いても優先して守るものだ。


「確かにちょっと面倒な案件ではあるけれど、難題という程でも無いわ」


「……なら、何で助けを求める」


「さっきも言ったでしょう、『足りないものがある』って」


 ……此処でまたおちゃらけると酷い目に合うだろうから、大人しく話を聞いておこう。とはいえ、コイツが持たず、俺が持っているものなど数えるくらいしかない。ならば、必然的に答えは割り出せる。


「『情報』……いえ______『情報』を『提供』してくれる『友達』が私には居ない」


「……でしょうね」


 文字通り自他共に認める孤高の一匹狼、それが彼女だ。……つまり、ただのぼっちである。今更だけど、酷すぎて敬語が出た。


「えぇ、コレも有り余る才能ゆえの『孤独』……。仕方ないことではあるけれど、今回だけは欠点の一つと認めざるを得なかったわ」


「……お前、この部活向いてないよ」


 俺の言葉を受けた高嶺は、無言で紅茶を口に運ぶ。……おい、何優雅に振舞ってんだお前。焦るとか、落ち込むとかした方がいいよ。そんなだから、ぼっちなんだよ。


 てか、そりゃあ、依頼者来ねぇわ。友人はおろか顔見知りすら居ない人間の助けなんか、誰が借りに来るんだ。


 人を助ける側の人間なのに、当の本人が頼れる人が一人もいないなんて本来あっちゃいけない出来事だろ。


「そういう訳で学内屈指の詐欺_____いえ、交友関係を持つ貴方の力が欲しいのよ」


 お前今、詐欺師って言いかけたよな。間違ってないかもしれないが、人聞きが悪いからもうちょっと優しい言葉に変えて……無理だわ。どう足掻いても、人聞きが悪い。


「……見返りは?」


「私と同じ部屋で息を一分間吸う権利」


「待て待て、お前の前だと呼吸すら許諾性なのか」


「当たり前じゃない。因みに一分十万よ」


 高ぁ。高校生のバイト代とか一瞬で消し炭じゃねぇか。……いや、待てよ?コレをコイツのファンクラブに転売すれば、とんでもない利益を得れるんじゃ_____


「転売したら切腹よ」


「……転売なんて俺がする訳ないじゃないか」


 なんでバレたし。それに、処罰の仕方が古すぎる。あと俺のメンタルは武士ほど潔くないから、介錯の人の手を煩わせまくるぞ。


「悪いが、マトモな見返りが無いんじゃ取引は成立しない。俺にとってお前との交流そのものが不利益になのに、録な見返りも無いんじゃ受ける理由がないぞ」


 俺にとっては高嶺自身の行動によって生まれる、他者からの高嶺への評価の有無などどうでもいい。必要なのは、俺の『親友ポジ』を危険に晒す価値がある対価だ。


 ______さて、どう出る。


 答えを求める俺を他所に、目を瞑った高嶺がカップを傾ける。数秒の沈黙の末に、空になったカップがソーサーに置かれ、カチャリと小さな音が部屋に響く。


「対価はこの部活のよ」


「……。……半分?絨毯とか半分に切って持って変えればいいのか?」


 ……あまり俺のメリットが見えてこない対価に、俺は首を傾げる。


「……部室の備品を半分あげるなんて言ってないわ。私が貴方に渡すのはこの部室における『決定権』よ」


 自身のティーカップにおかわりを入れ始めた高値に「コイツめっちゃ飲むやん」と思いつつも、話に耳を傾け続ける。


「言っておくけど、私は別に誰かのポジションなんて気にしない。私がするべきだと判断したなら、誰の領分かなんて関係ない」


「……つまり、俺のこのポジションを踏み荒らすってか?」


「意図してする事は無いけれど、間接的にそうなる可能性も無くはないわね。それを教えてくれるような友人も居ないし」


 最後の一言で紅の瞳に少しだけ闇が差し込んだ気がした。こいつ、思ったより愉快なやつなのか……?


「貴方が入ってくれるのなら、多少は融通を利かせると約束するわ。それこそ、貴方の推している日草君の領分に足を踏み入れそうになったなら、全力で止めていいわ」


 成程。確かにどうせ止まらないと言うのなら、懐まで入り込んで起動調整を内から行った方が、摩擦は少なくなる。だが_____


高嶺 希天上天下唯我独尊を地で行くお前らしくないな。……何があった?」


 俺が一年の初めに分析した高嶺なら、こんな譲歩はしないと断言出来る。才能故に、誰の意見も受け入れない『天才』だったはずだ。


「______一度やると決めたのなら、何があろうと遂行する。私はその信条に従うだけよ」


 そんな俺の問に対し、穢れなく、迷いなく、ただひたすらに真っ直ぐに俺の瞳を見つめ返した高嶺の姿は、まるで槍のように真っ直ぐで、決して折れない覚悟が垣間見えた。


 ……。……こうまで真剣な奴を否定するのは親友ポジとして野暮ってもんか。


 俺はあくまでも親友ポジサポート役だ。誰かが俺のサポートを必要としているのなら、それが学校の裏ボスだろうが、手を貸してやるのもまた一興ではあるだろう。


「分かった。その条件で受け_______いや、訂正だ。もう一つだけ条件をつけさせてもらう」


「……何かしら?」


 多少の条件は聞く気で居るのか、既に覚悟を決めた様な顔つきの高嶺に向けて、俺はニヤリと笑いながら追加の条件を述べる。


「ここで紅茶を飲める権利を俺にもくれ」


 俺の条件を聞いた高嶺は一瞬あっけに取られたような顔をしたが、無表情ながら呆れた様な顔でに俺を見る。


「_____えぇ、良いわよ」


「よし、それじゃあ取引成立だ。これからよろしく」


 握手をすべく差し出した俺の手を高嶺がほんの数秒躊躇ったあとそっと握り返してきた。俺の手に触れたその華奢な手は、何故か少し震えていたような気もするが、きっと気の所為だろう。

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