小心者

 いつまでも人の目を気にするのが私だ。常に相手の顔をうかがって、今自分は相手にどう思われているか、相手から下私の印象は何か、そんなことをいつも考えている。それどころか、最近は悪化していって、相手が今どう思っているのかすらも予想を立てて、勝手に絶望することもあった。

 相手の気持ちは顔だけじゃ分かりきれないのだ。もし相手が嫌な気分でも、顔に出さなければ何も分からない。私は表面だけに気を遣うことはなくなった。もはや相手の気持ち、心の奥にまで気を遣うようになった。

 私はそれほどの小心者である。

 ましてや、相手は自分とは住む世界が違う人々。コミュニケーション能力は私とは天と地の差だ。相手はどのようにして人と楽しく話しているのか、そもそもどのようにしてそこまで話を続けられるのか、私には全く分からない。気まずい沈黙が何度も続くのが、私と相手の会話である。共通の話題があっても、その話題ばかり提示していいのか考え、相手に質問ばかりしても、それはいわゆる会話のテンプレートであって物凄くつまらない会話になる。


 私もそういったコミュニケーション能力を持つことができたら、こうやってこんな格好悪い文章を書くこともなかっただろう。

 いつかそういう能力を身に着けたら、どの人ともまるで親友のように話せるようになりたい。




 五回目のリハビリ、手応えは無し。

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