第7話

「それではお二人の邪魔をしては申し訳ないですから、我らはこれにて失礼いたします。ごゆっくり」

「待ちなさいよ失礼しないでえええ!!!!」

「あっ今夜は軍を挙げてのお祝いのパーティーをしますから、主様もぜひ出席してくださいませ。もちろんセレス様とお二人でね?」

「出ないわよバカあああ!!!」


侵入者撃退から一転して歓迎ムードに変わった後、部下たちはすごすごとあたしの部屋から出て行ってしまった……あっ今ガチャって聞こえた……

畜生あいつら魔法でカギかけやがった! 別に外そうと思えば外せるけどなんか悔しいっ!!

あの裏切者どもおおお!!!


「ねぇ何で泣いてるの? そんなに叫んでいると疲れちゃうよ?」

「うっさいわね全部あんたのせいだからよおおお!!! せっかく部下を呼んだってのに、これじゃあたしへのプロポーズが部下たちに聞かれただけじゃない!!」


あたしはがっくりと床に膝をついてうなだれた。

アイテムで魔王としての戦闘能力を無力化されて、部下たちにも頼れなくなって。そして今人間の娘に頭を撫でられて慰められている。勝手にあたしの頭なでなでしないでよあっちいきなさいよぉ……

そうだアイテムと言えば気になっていることがあった!


「そもそも!」

「ひゃっ!?」


立ち上がってビシッとそいつを指さした。


「あんたどうやってここまで来たのよ!? ここ魔王城よ!? 城の外には大量の魔王軍、場内だってあたしが育てた手練ればっかり……さっきはヘタレだったけど、強い奴らばっかりなのよ? 女ばかりとはいえこの部屋まで来るのって勇者でさえムリなはずよ!」

「ああ、それねー」

「そんな軽いノリのことじゃないと思うんだけど……?」


この人間の娘……セレスとか言ったっけ? 腕を組んでうんうんと頷いている。


「私は冒険者じゃないからね。普通のやり方じゃあなたに会えないと思ったの」

「はっ! でしょうね。あんたのようなひ弱そうな娘が我が軍勢にかなう訳ないわ」

「直接対決には負けたけどね」

「うぐっ!」

「あはははっ。良いリアクションだね」


あたしはセレスに指を指されて笑われている。なんでこんな奴に無力化されちゃったんだろう。こんなの末代までの恥よ……それにせめてもの抵抗でキツイ態度を取っているけど全部受け流されてるんだけどぉ……!


「それでね? 私はどうしても大好きなあなたに会いたかったの。だからね? アイテムを頼ることにしたんだ」

「あぁ、さっき使ったようなアイテムね?」

「うんっ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る