第4話
「何でも良い……どの道貴様は消えるのだ。自分の愚かな行動を悔いるが良いっ!!」
「わぁ可愛い」
あたしは片腕を突き出して魔力を集中させる。まってコイツさっきあたしのこと可愛いって言った?
くぅぅぅっ!!! とことんあたしをバカにしてくれるわねっ!! このアホ娘っ!!
「我は……あたしは、魔王なのよっ!!!」
戦いの経験なんて明らかになさそうな、この小娘一人を葬り去ることなど造作もないわよ。
さあ、ここで終わりよ。
あたしの、魔王の魔力に反応するように家具がガタガタと震える。空気が重くなり、あたしの腕の先に黒い魔力の塊が現れる。
あたしはその塊を、目の前の能天気アホ娘に目掛けて……!!
「えいっ」
「きゃっ!?」
何か投げつけられた。途端にあたしの腕の先にあった黒い塊が消えてなくなる。
「えっ……!?」
あたしの身体に流れる魔力は正常だ。身体を浮かすこともできるしちゃんと魔法も使える。でもその魔力をコイツに向けようとすると途端に魔力が働かなくなる。
「うふふっこっちも大成功!」
あの娘はあたしにピースサインを向けてきた。ちょっとかわい……いや違くて!
「貴様っ……我の体に何をしたっ!?」
「へへへー。ちょっとしたアイテムですよ。リフレクトチャーム。これを使うと相手に魔法が使えなくなるんです」
「なっ……!? 貴様そんな姑息な手を……!」
「こうなるだろうと思って用意しておいたんです。絶対魔王様ならこうしてくるだろうと思ったから。どうですか? 用意周到なところは嫁としてポイント高いですよ?」
「知らないわよそんなことぉ!」
冗談みたいな特徴のアイテムだけど、確かにその効果は本物みたい。実際あたしがコイツを傷つけようとすると魔力の流れがピタっと止まってしまう。
魔王たるあたしの力の象徴が無くなった。でも、それで転ばないからあたしは魔王なのよ!
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