P10:アーティファクト【03】
「アリア、コクピット、フセゲヨ!」
オリハは両手のビームシールドを重ねて粒子ビームを受ける。しかし、完全には受けきれず眩い粒子の塊がカミナ機を襲う。しかし、シールドから溢れた粒子をアリアは右手を伸ばしてピンポイントシールドを張ってなんとか受け止めた。
「うひーーっ! ヤバかったー」
『――あ、アリアちゃん……ありがと。今のはヤバかった』
カミナの声から毒気が抜かれて弱気な声色に変わっていた。
「カミナ、イドウスルゾ」
「カミナさん、行けますか?」
二人が声を掛けると、諦めたのか珍しくしおらしい態度に変わっていた。
『――ゴメン。当たったらヤバいから先行させてもらう』
バーニアの壊れた脚部でもどうやら歩行はできるらしい。巨岩とオリハのシールドを使って後退を始める。
そこに二発目の粒子ビームが襲い掛かった。
「またっ!」
今度はアリアが右手を前に出したのでピンポイントバリアに真っ先に当たった。粒子ビームはバラバラになって二機の周辺に降り注ぐ。
カミナ機にも粒子は容赦無く降り注いでいた。微小の粒子でも二十ミリ弾よりダメージは大きそうだ。カミナ機の警報ランプはどんどん赤色に変わっていく。
「連射出来るのか? 凄い欲しい……けど、無理だ。アリア、オリハ、どうする?」
『……』
カミナがアリアとオリハに向けて叫ぶが応答が無い。ここは
『――カミナ! イッパツ、ウテルカ?』
「何を? 何処に?」
大慌てで尋ねるとオリハから無線越しでも分かる焦った機械音声が聞こえてきた。
『――リュウシビーム! テキニ、ムケテ!』
「アタシのは近距離専用なんだよ! 意味あるのか?」
『――イイカラ、ウテ!』
目眩しに使うとしても無意味に思えたが、悩む時間はなかった。
「えーい、分かったよ! 撃つぜ、ほらよっ!」
カミナはBMを反転させると右腕を前に出した。砲身に粒子が生成され始めると、すぐ目の前で爆発が起こったように粒子ビームが噴き出る。集束しないので射程は百メートルほどで散弾のように粒子がばら撒かれる。
『――アイヨー!』
その粒子を瞬時にシールドの集束機を使って糸のように束ねるオリハ。方向まで調整して、敵の方向にビームを流した。途中から散らばり始めたが、近くの敵BM数体を巻き込みながらビームを出していたBMに直撃した。
五、六体の敵BMがまとめて爆散している。
『――ヨシ、ヤバイヤツ、タオシタヨ』
『――すっご〜い! カミナさん、今のうちに撤退しましょう!』
「…………はっ、私の集束機……は、もう無いか……分かった。撤退しよう」
カミナはあまりの出来事に呆然としていたが、無線から聞こえるオリハとアリアの音声に我に帰った。援護に来たクーガーと共に後退を始めた。
まだアーティファクト持ちが居たら、もう対応しきれない、ということで基地に帰投することにした。
◇◇
自動運転させながらコクピットでやけ酒をあおるカミナ。
「しかし……オリハ、アンタ凄いな。私のビームまで束ねて敵にぶち当てるなんて」
『――マーネー。マァ、アーティファクト、テニハイルカハ、ウン、ダヨ』
『――そうですよ。またチャンスありますよ』
『――俺はアーティファクト持ちと戦うなんて二度とゴメンだ!』
『――ははは、ロイド、お前と意見が合うのは珍しいぜ。俺も二度と会いたくないぜ!』
「そうかい? でもあんたら二人と一緒に居ると、色々とヤバいことが多そうで楽しそうだ! 今後ともヨロシクな」
アリアは皆で無事帰投できたので安心していた。オリハも結局頑張ってくれたし。良かったー。
コクピット内でニコニコ笑っていた。
「んふふ、こんなことが何度も起きたら困りますよ!」
『『――全くだ!』』
ロイドとクーガーが声を合わせた。
◇◇◇
ハンガーから降りるアリア。背後からいつものセリフが聞こえてきた。
「ゴホウビ……」
そりゃ、忘れてないか……。
「もー、せめて夜まで我慢しなさい! 午後からまずは洗ってあげるから、少し休ませてよね」
「ハイーー!」
しかし、このやり取り、周りからはどう思われてるのかな? 時々不思議に思う。まさかオリハにエロいことされてるとは思ってないよね。ハンガーに降り立って背伸びをしていると、背後から声を掛けられた。
「またご褒美か。お前ら仲良いな」
突然のナッシュにびっくりのアリア。
「は、はい! 健全ですよ、プラトニックですよ!」
「なんだそりゃ? 今回はすまんな。正直アソコまで状況が悪くなるのは想像出来なかった」
「あっ……はい。びっくりしました」
ナッシュさん大変ね。あらあら、背後からロイドさんとクーガーさんが近づいてくるわよ。
「ナッシュさんも頑張ってください」
「ん、あぁ。アリアも――」
「ナッシュさーん、今回の報酬について議論がありますけどー」
「あ、お前ら……すまん」
んふふ、面倒ごと担当は伊達じゃないわね。
「では、お疲れ様でーす」
そそくさと部屋に戻ることにした。
◇◇
(今、十二時半……整備二時間は掛かるから……えっと二時くらいに……ハンガーへ……行けば……)
ベッドに倒れたままで寝息が聞こえ始めた瞬間。
「アリアちゃーん! 今日はごめんねー。一緒にランチ食べましょー!」
「は、はひーっ!」
ベッドから飛び起きることになった。
扉を開けると既に出来上がってるカミナがいた。ショートパンツにタンクトップ姿。迫力のお胸がタンクトップから漏れ出しそう。
お詫びと称してお酒やら食事を沢山持ってきている。
(これは……長居しそうだ)
流石に今日は疲れたから断ることにした。
「カミナさん、今日はお疲れ様でした。今日はあまりに疲れたから少し寝させて――」
「――はい、お邪魔しまーす」
しかし強引に入ってきた。
「ちょっとちょっと、ホントに疲れて――」
「――少しだけだってー。つれないなぁ……」
仕方ない。少しだけ付き合うか、と決めて机に置いてある雑誌を床に片付ける。
「少しだけですよ」
「ありがとう!」
返事は良い。
(まぁ、カミナさんもショックだったのかな? 少し話聞いてあげるか)
◇◇
アルコールが進むと妙にカミナは距離を詰めてきていた。今はベッドに二人腰掛けているが、ほぼくっついてる。偶に肩を組んでくるし、酒場に居るタチの悪い泥酔客みたいだ。
「カミナさん、酔っ払い過ぎ。水持ってきますね」
距離を空けるため席を立とうとすると、素早く手を握ってきた。カミナは年上だし、筋肉凄いので圧が凄い。それなのに今は目が逝っちゃってるし、息も荒くなってきた。
これは怖い。
「カミナさん、どう――」
「――アリアちゃん、お礼させてー」
「へっ?」
きゅっと手に力を入れて引っ張られると、またベッドに座ってしまうアリア。そのままもう片方の手で肩を抑えられてベッドに押し倒されてしまう。
「か、かカミナさーん?」
舌舐めずりするカミナ。シャワーを浴びたばかりなのでタオル地のワンピースを着ているアリア。防御力はかなり低い。カミナは裾から手を入れてタンクトップ越しに胸を触ってきた。
「カミナさん! やめて!」
強めに言うが、余計に楽しそうな顔になる。
「大丈夫。お姉さん、思ったより上手なのよ!」
◇◇◇
「助けてー」
カミナと追いかけっこ。殆どのパイロット達が警護任務に出ている為、いつもよりガランとした建物の中を逃げ回る。
「アリアちゃん、お礼したげるわよー」
酔うとタチになるカミナ。どっちでもイケるらしい。
「沢山気持ちよくしてあげるからー。ついでに集束機、頂戴よー」
隠れて様子を物陰から伺っていたが、いきなり背後からワンピースの両脇から胸の方へ手を入れられる。流石はこの傭兵団の中でも一、二を争うエースパイロット。
「ぎゃーーぁ! 変なとこ触らないで下さい! そんなの分かりません!」
遂にハンガーに追い詰められるアリア。コクピットの中に逃げ込むが、なんとカミナも強引に入って来てしまう。
「ひぇーー!」
「ほーら、もう逃さないよ〜」
「ナンダ、ナンダ?」
オリハは二人が急に現れて状況が掴めない。座席に座るアリアに覆い被さる体勢のカミナ。両手をワキワキさせて何処から触るか品定め中。
「オリハーーー! 助けなさいよー」
「エッ? モシカシテ、フタリデ、イイコトスルノ?」
「そうよ、オリハ。ちょっと静かに見てなさいね! アリア……素敵な身体。いっぱい気持ちよくしてあげる」
「やめて、カミナ! あっ、触り方が優しい……ダメっ! オリハも見るなー!」
「コレハ、コレデ……」
♡♡♡
「はぁはぁ……オ……オリハ……助けて……」
「ほら、もっと気持ち良くしてアンタを忘れさせちゃうよ! ほらほら、集束機を渡しな!」
「ソウイウノ、ヨクナイ」
マジックハンドを器用に使ってカミナを裸のままコクピットからポイっと放り出した。服もポイポイ投げつけると、パタンとキャノピーを閉じる。
その後でマジックハンドと触手を出してカミナのようにアリアの前でワキワキさせる。
「サンコウ、ニ、ナッタヨ。スゴク、ヨカッタ。デハ、ツギ、イイヨネ?」
「こらーー! ご褒美、当分お預けーー!」
「エェーーーーッ!」
――オリハとアリア、仲直り出来たがお預けは続く。オリハ血涙
――でも実はスーパーマシンのオリハ。アリアはチートスキルを授けられなかったが、オリハはてんこ盛りだ
――イケ、アリア。オリハを手玉に取るのだ。この世界で楽しく生きるために
Sector:03 End
二人の絆の回数:三十二回
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます