第2話 地獄の小学生生活
いじめには学校側の決めていた勉強も無関係ではなかった。義男の小学校では勉強の差別が非常に厳しかったのだ。成績の特に悪い子供は、別室での勉強を言い渡される。最初は拒否できても、成果のみられない児童は別室での勉強を強制されることになる。
別室というのは、特別出来の悪い児童の集まるクラスのことで、脱出不可能特別地獄クラス、略して脱地クラスだ。脱出不可能と地獄の二つもついているので、そこに行ってしまったら二度と通常クラスに戻るのは、不可能という厳しい罰ゲームのようなものだ。
成績のかなり悪い義男にも、当然のように教師に、
「特別クラスに行かないか、お前のペースに合わせられるから勉強しやすいぞ」
といわれた。義男の答えは、
「特別クラスでやるのは絶対に嫌です」
だった。当然の回答である。意思疎通できないならまだしも、できる人は必ず最初は嫌と答えていた。特別クラスは屈辱だからだ。
特別クラスを避けるための勉強を家で行い、ぎりぎりの点数で何とか特別クラスだけは回避する。実際に義男のクラスでも特に勉強できない児童に対して、冷酷な目をしながら冷たい言い方で、
「明日から特別クラスに行くように、拒否することも許されない」
といわれ特別クラスを強制された、児童を目撃したことがある。学年ごとに少なくとも五人くらいはいただろう。その児童たちは、意思疎通出来ないものも多く、友達もできずに独りぼっちになることも多かった。
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