第45話「妹と爺婆と兄の試合」

 天然の妹。それは、何故かエルマンノが今までクレア以外に出会えなかった逸材。この何十年と生きた異世界ライフの中で一度もだ。


「か、かかかっ、神様はここにも居たのか、」


 エルマンノは思わず口にした。


「な、なんの話しとーと?」

「わ、悪い、、取り乱したな、」


 エルマンノは慌てて取り繕うと、改めて真剣に放った。


「なら絶対にその銀貨受け取ってください。これはサービスですサービス」

「えぇっ!?投資の話はどうなったと!?」

「これは投資じゃなくてお通しです。気にしないでください」

「お通しってお金とるんやないの?」

「妹愛を受け取ります」

「い、 いっちょんわからんちゃ、」


 エルマンノが取り繕った筈がまたもや息が上がる中、ミラナは疑問符を浮かべた。当たり前だが。


「そ、それよりも、、その、言いづらい話かもしれないが、、両親が居なくて姉妹でって、、大変じゃ無いですか?」

「まあ、そうなんやけどね、、でも、妹のためなら、全然バイトも苦やないし、頑張れるんよ」

「禿同」

「何の略ッスか?」

「ハゲになるほど同感」

「激しく同意だって!」

「ネラ、、聞いてたのか、」

「たりまえだって!後ろであんなデカい声出されたら誰だって聞こえるよ」


 どうやら、エルマンノの驚愕の声はギルドハウス全体に聞こえていた様だ。周りが見えないというのは恐ろしい。さぞかし、嫌な客だろうな。エルマンノはそれを察して出るか、と促すと同じく聞いていたソフィも含め、四人でギルドハウスをそそくさと後にした。


「改めてですけど、、その、生活保護とか、出てないんですか?」

「一応出とるんは出とるんやけどね、、大した量やないし、制限もあるしで、色々大変なんよ」

「家とかはどうしてるんだ、?」

「家は、その、一応親戚名義にはなっとるけん。暮らせとらんわけでもなかと」

「そ、そうか、、ほんと、現実に近しいものがあるんだな」

「現実?」

「いや、こっちの話だ。それよりも、その親戚の人って、名義って事は、暮らしてはないのか、?」

「なんかなぁ、、誰も引き取ってくれないんやって。まあ、生活に余裕のある人少ないから。でもそん時は怒ったわぁ。それで、もういいですって、あたしら二人で生きていく事にしたんよ。子供のわがままって、後先考えないで怖いよなぁ、、ほんま、家のローン払い終わっとって良かったばい」

「...」


 ミラナの言葉に、皆は押し黙る。


「あっ、ああっ!ごめんごめん!あーもうっ、いっつもこういう雰囲気にっ、」

「いえ。相変わらず凄い体をしてるなと見ていただけです」

「兄ちゃんフォローの仕方キモ過ぎんだけど、」

「え!?ほんま!?いやぁ、嬉しいわぁ!今いい感じの腹筋を維持出来とってさ!バランスも今一番いいんよね!」

「返しもキモいんだけど」


 なんと、ミラナもまた変態であった。筋肉変態というやつか。その予想外の元気な返しに一同は一瞬固まったものの、エルマンノは改める。


「最高です。その体で絞められたいです」

「死ぬけどいいん?」

「妹に殺されるのはありだな、」

「う、うわ、確かにすっごいくびれじゃん、、どうやったらこんなスタイル良くなんの!?マジ気になる!」

「日々鍛錬ッス!」

「やっぱかぁ!ウチ出来っかなぁ、」

「私帰っていい、?」


 面子が強烈過ぎてただでさえ帰りたいソフィは今にも帰りそうである。


「悪かった、、ソフィ。大丈夫だ。俺はソフィみたいなエッチな体型も大好ーー」

「それに対してじゃないから!」


 どうやら、論点がズレていた様だ。エルマンノは改めてごほんと咳をすると、ミラナに向き直る。


「それで、妹さんの件ですけど」

「え、あ、はい、」

「会わせてはくれませんでしょうか!?」


 エルマンノは、土下座をする。恥じらいなど捨てて。


「えぇっ!?ちょ、顔上げてくださいッスよ!」

「はい」

「顔だけ上げるとなんかキモいッスね、」

「スフィンクスってやつだ」

「何それ、」


 エルマンノは土下座しながら顔だけ上げた。


「でもちょっと、、会わせんのは、」

「そ、そうなのか、、あまり、ノリ気では無さそうだな、」

「アホかっ!当たり前でしょ。にぃに紹介するって事は、汚染を意味するっ」

「俺は汚染の元凶とでも言いたいのか?」

「そう」


 ソフィは息を吐きながら告げる。何とも悲しい。アルコールが入っている時はあれ程べったりだと言うのに。いや、待てよ。ソフィの性格を考えると、それは即ち感情の裏返し。


「へへへ」

「何ニヤケてるのキモォ、」

「ちな、その妹ちゃん何歳なん?」

「ネラ、、ロリコンか?」

「ちゃーって!気になんじゃん!」

「あ、えと、六歳です」

「なっ!?」

「なっ!?」


 エルマンノとネラは同時に声を上げた。なんと、小学、、いや、それにも満たない、幼稚園児妹。これは。


「すみませんでした」

「自首してきな」

「なっ、どっ、どうしたんや!?」

「それを先に言ってください。その年齢の子に俺が会うなんて犯罪に当たります」

「え、そんな法律があるんや、」

「それよかさ、その年齢なら色々と大変じゃね?」


 エルマンノを無視して、ネラは放つ。


「まあ、お迎えとかあるンスけど、まだ残っててもいい施設やから、、何とか。直ぐ帰らんとあかんところもあるけん。助かっとるよ」


 施設。懐かしい響きだ。エルマンノもまた施設で育った身。その文字だけ見るとなんか凄い過去がありそうだが、ただの保育園である。そんな事を考える中、ミラナは元気に振り返って放つ。


「でも、今日はお兄ちゃん達のお陰でご馳走になりそうです!ありがとうございました!」

「っ」

「ちょっと夜のバイトあるんで、急ぎますね!」

「うん!また空いてる時っ、会おうね!」

「夜のバイト、、なんだか響きが危ない、」


 手を振るネラの隣でソフィが放つと、その更に隣で震えるエルマンノ。と、ミラナを見送ったのち。


「はぁ〜〜、なんかどっと疲れた、」


 手を振るのをやめたソフィはそう息を吐いた。それを、ネラは優しく見つめたのち、元気に放った。


「ソフィよく頑張った!うん!頑張った!マジ肩に力入っちゃうよねぇ」

「ん、、ただ、人が苦手なだけ、」

「マジ分かるわ〜。なんか全員ウチの事殺そうとしてる様に見えるよね」

「うん。休み時間後の自分の席取られてる時の絶望感、」

「それな!だからウチトイレ我慢してるわ〜」

「私はそれで漏らして施設でおもらし女になった」

「施設の時とかノーカンノーカン!ウチだって毎日漏らしてたわ!てかそれでよくライブなんて出来んね」

「ん、、まああれは、ラディアのお陰、」


 ソフィの返しに、ネラは唇を噛むと、そっかと。優しく口にする。と、そののち。改めて放つ。


「それよかどしたん?兄ちゃん」

「お、、お兄ちゃん、、だってよ、」

「「?」」

「お兄ちゃんと呼んでくれたぞ!?」

「おぉ!それはマジアゲだね!良かったじゃん!」

「あー、まあ、確かに。どうでもいー」

「おい聞こえてるぞ」


 どうやら、投資は大成功の様だ。エルマンノはニヤニヤとしながら、正式に妹になったという事実と、それによって自動的にミラナの妹も妹となった事に笑みを浮かべた。


「それよりもさ。はいっ、ソフィ!これっ!」

「えっ、」


 ふと、ネラはソフィに銀貨三枚を渡した。


「な、なんで、?」

「ウチはただ単純に面白そうだから来ただけだからっ!」

「え、、就職先探してたんじゃないの、?」

「あっべー、、そう言ってたっけか、」

「ボロが出てるぞ」

「それじゃ無くても、、も、貰えないよ、」

「うーん、分かった」

「え」


 ネラは拒否するソフィに呆気なく頷き、銀貨を手元に戻す。


「どうしたソフィ。自分で要らないって言ったんじゃないのか?」

「う、、ま、まあ、そうだけどぉ、」

「欲が溢れてるぞ」

「うっさいなぁ!」


 ニヤニヤとしながらエルマンノはソフィに放ったのち、ネラに寄った。


「ま、ただあげるって言ったら拒否るよね普通」

「まあ、そうだな」

「だから、お金じゃ無くてプレゼントにしようかなって」

「っ、、なるほど。それはいいな」

「まあ、ソフィちゃん現ナマの方が喜びそうだけどねぇ」

「現ナマ言うな、、ちなみにお兄ちゃんは生の方が好きです」

「酒の話?」

「新鮮なものが美味しいって話だ」

「若い方がうまいって事ね!」

「なんでだよ、」


 ネラは笑いながらそう告げると、エルマンノは何故そうなると、ジト目を向けながらそう答えた。対するソフィはそれには気づいていない様子で、どこか寂しそうであった。それにニヤニヤと微笑むネラの隣で、エルマンノはふとネラに小さく呟く。


「そのプレゼントなんだが、ちょっと、俺に考えがあってな」

「ん?どしたん?考え?」


 首を傾げるネラに、エルマンノは少し間を開けたのち、真剣にそう告げた。


「ああ。その、ネラは精霊シミュレーションに興味ないか?」


          ☆


 時刻は夕方。


『神様の話をしてたら神様に会いたくなってきたな、、会いに行くか、』

『世界救ってくるみたいなノリでとんでもない事言わんでよ』

『そっちもとんでもないが、』


 あの後ネラとそんな話をしたのち、エルマンノは改めて、"あの場所"へ足を進めた。


「はぁ、はぁ、、わ、悪い、今日も、、遅れたっ」

「あ!お兄たん!良かったぁっ、、もう、来てくれないかと思った、」

「言っただろ?オリーブには毎日会いたいからな」


 エルマンノは皆と別れたのち、獣族の村へと足を運び、オリーブに顔を出した。昨日はソフィの家の掃除をした後にアリアと三人で庭で遊んだため、毎日会うという目標は達成している。それよりもやはり本物の神様は違うな。最高だ。


「あらエルマンノさん。ちょうど良かった。ご飯。食べて行かない?」

「あ、お姉さん。お気遣いありがとうございます。でも夕食は、母が用意してくれていますので、すみません」

「エルマンノさんそういえば実家暮らしだったわね」

「あ!そういえばお母さん紹介してくれるって言ってた!」

「ああ、そうだったな。でも、一度会ってるんだよな?」

「うん!綺麗な人だった!ちょっとだけお話しもしたよ!お兄たんの事!」

「な、何か変な事を言ったりしてないよな、?」

「私の事を救ってくれた、大切なお兄たんって!大好きって話した!」

「そ、そうか」


 エルマンノはホッと胸を撫で下ろす。まあ、それもまた母親相手だと考えるとまあまあ危ない事を話しているとは思うが。


「それと、お兄たんは私に触ると声が漏れちゃうとか、えと、あとっ、私の巫女服気に入ってたとかっ、、あとっ、えっと、私を妹にしてくれたとか!」

「俺を殺してくれ」

「えぇっ!?何で!?」

「儂が殺してやろう」

「なんかノリノリですね」

「いっぺんやってみたかったんじゃ」

「このノリをやってみたかったって意味として受け取るとします」


 エルマンノが親にベッドの下を見られた時の如く絶望を見せる中、隣のまるおじがさらっととんでもない事を放ち参戦する。と、そののち。


「それよりもオリーブ。そこまで話したなら今更紹介は要らなくないか?」

「えっ、でも、お名前知らない、」

「レイラです」

「レイラって言うんだっ!やっぱりお名前も綺麗っ!」

「多分名前を教えれば良いって話じゃ無いと思うがの、」


 エルマンノの答えにまるおじが苦笑を浮かべる中、オリーブを見据えて目を細める。


「...?どうしたの、?お兄たん、?」

「ん?あ、いや、何でもない。それよりも、元気そうで何よりだ。そういえば、アリアは?」

「アリアは寝てるよ!」

「な!?ま、まだ寝てるのか!?」

「違うよっ!さっきまで遊んでたからっ!疲れちゃったのかも、」

「そ、そういう事か、、なるほどな」


 エルマンノはそう呟き微笑む。アリアも楽しんでいる様だ。これなら、オリーブも寂しくは無いだろう。

 そう思っている中、ふと奥からおにばあが現れる。


「おお、エルマンノさんかい。いやぁ、あの垂れ幕は良かったねぇ。また作らんのかい?」

「ああ。刺繍ですか」

「ばあさんは死臭じゃろうにーーごふっ!?」


 まるおじが召された。


「お、おお、年齢的に本当に危ない奴じゃないか、?」

「こいつは放っておきな。それよりも私昔から編み物が好きでねぇ。また機会があれば呼んで欲しいよ」

「あれ編み物じゃないですけど」

「セーターでも何でもいいよ。それくらいなら二日あれば出来るし」

「さらっと自慢を挟むんじゃないわい」

「あんたなら一瞬で編めるねぇ」


 懲りないまるおじが割って入るものの、またもやさらっと死刑宣告を喰らった。それにエルマンノは苦笑を浮かべながらも、「それじゃあまた頼む時、お願いします」と告げ、頭を下げた。と、そののち、ふと西陽を受けながら立ち上がり放つ。


「よし、もう夕方だしな。そろそろ、俺も帰らなきゃいけない」

「え、?も、、もう、?」

「お、おうふ、」


 オリーブが寂しそうにこっちを見ている。これはまるで胸を貫かれたかの如く衝撃。だが。


「ご、ごめん、、もっと、オリーブと一緒に居たい。なんならお風呂もトイレも一緒がいい」

「あんたのぉ、」

「そ、、それは、、ちょっと、、恥ずかしいかも、」


 エルマンノの言葉に頭を押さえるまるおじと、赤面するオリーブ。そんな彼女に、だがと。続ける。


「でもごめん。明日、今度は早めに来るから。そしたら、今日アリアと遊んでたってやつを、俺にもやらせてくれ」

「っ!うんっ!いいよっ!絶対だからねっ!」

「ああ。妹との約束だ。絶対だ」


 エルマンノはそう微笑んで放ったのち、夕食の時間だと促されオリーブは手を振って明日ねと笑うと、パタパタと部屋の中へと戻って行く。その姿を優しく見つめると、その時。隣のまるおじとお姉さん(お婆ちゃん)に声をかけられる。


「どうしたんだい?エルマンノさん」

「え?」

「さっきから、何だか悩んでいる様子じゃぞ?」

「...バレてましたかね、?」

「オリーブちゃんも鋭いからねぇ」

「流石俺の妹です」

「それよりも、何かあったのかの?」

「いえ、、何かあったわけじゃ無いんですけど、」


 エルマンノはそう呟くと、ミラナの事を思い返して拳を握りしめる。


「オリーブは、、ずっと、一人だったんだなって、、思って、」

「今更か?」

「こら。改めて思ったって事でしょ」


 まるおじが放つと、それにお姉さんは割って入る。と、そののち。


「まあねぇ、、でもね。ずっと、オリーブちゃんを想ってた人が居る。なら、本当の意味での、ひとりぼっちでは無かったんじゃないかな」

「...そう、ですかね、」


 エルマンノは目を細める。


「でも、、一番彼女を想ってた人が、、その、もう、居ないなんて、」

「やるせない話じゃの」

「そう、ですね、」

「エルマンノさん。もしかしてまだ、悩んでるのかい?オリーブちゃんに、あの事を話すべきかどうか」

「いえ、、そういう訳ではありません。でも、オリーブが誰かの母親の話をするたびに、思うんです。本当に、このままでいいのかって、、大好きで、オリーブを想っていたからこそ、体を悪くしてしまった。そんな人を、知らずに。生きて行くなんて、、知らない事の方が幸せで。実際笑ってますけど、、それでも、」

「エルマンノさんは優しいんだねぇ、ほんと」

「え、?そんな事は、」

「ううん。優し過ぎるほどにね。いいかいエルマンノさん。今、大切なのはオリーブちゃんなの。勿論、オリーブちゃんの母親も、それを望んでるはずだよ。自分の存在を知らなくても、忘れ去られても、笑ってる姿を、彼女は望むはずだよ」

「...」


 きっと、以前もそうだが、お姉さんの口ぶりからオリーブの母親と面識があった様に思える。それ故に、エルマンノは顔を叩いて顔を上げた。


「すみません。そうですよね、、オリーブの事を想ってた人です。それが一番だと、思いますよね。すみません。何の関係もない人が、こんな、」

「ううん。いいんだよ。何せ、エルマンノさんはオリーブちゃんのお兄さんなんでしょ?」

「っ」

「オリーブちゃんのこと、頼んだよ」


 そう放つお姉さんに続いて、まるおじもまた同意見だと笑みを浮かべた。それに、エルマンノは目の奥が熱くなりながらも、改めて、強く覚悟を決め頷いた。が、そののち。


「があぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!」

「ど、どうしたんじゃエルマンノさん」

「クッ、は、腹があぁぁぁぁっ!」


 なんて締まらないんだろう。エルマンノは謎に執着してくる腹痛と、なんかスルーしやがるまるおじに殺意を覚えた。


          ☆


「はぁ、はぁ、、もう、どこまでっ、はぁ、歩かせるわけっ」


 翌日。昼に獣族の村に訪れたエルマンノとソフィは、息を切らしていた。ソフィだけだが。


「だから俺がおんぶすると言っただろ?」

「それは嫌」

「何でだよ、」

「ま、まぁたどーせ、重いって、、言われるから、」

「俺は重いくらいが丁度いい」

「メンヘラなの、?」


 ソフィがジト目で放つと、二人は昨日約束したオリーブの元に向かった。すると。


「えいっ!」

「んっ!しょぉっ!」

「あっ、アリアッ!凄いっ!」

「うひゃっ、何でっ、そんなっ、余裕そうなの!?」

「おお」


 思わず声が漏れ出た。そこには。

 本格的バドミントンをするオリーブとアリアが居た。


「うっそ、何これ、私殺そうとしてる?」

「ああ、、いや、まさか二人の遊びって運動系だとは思わなかったんだ。一昨日はかくれんぼだったからな、」

「それも運動系でしょ、」


 その様子に今にも帰りたそうなソフィがそう放つと、瞬間。


「そこ、話さない。声が聞こえないでしょう」

「ん、?」「え?」


 突然の注意。それに、エルマンノとソフィが振り返った、そこに居たのは。


「居たんですか、特殊性癖さん」

「村長です」

「誰これ」

「そういえばソフィは初対面か。この人はこの村の村長をやってる風に見せてるだけの変態。特殊性癖さんだ」

「風とは何ですか。ちゃんとやってますよ。それと、貴方とはこの間のカラオケ大会で会ってます」

「あ、あれぇ、、あ、会いましたっけ、?」

「ソフィさんですよね。ラディアさんとエターナルブラッドというバンドをしている」

「ソフィ。言い逃れは出来ないぞ」

「う、、す、すみません、、顔と名前覚えるの苦手なんです、、って!新世紀エターナルブラッドです!貴方だって間違えてますよね!?その、えーと、歪み性癖変質者さん!」

「なんか長くなってませんか」

「こちらの言語を話す獣族は珍しいと思うが、、大会の実行委員の人とこの人くらいだったろ」


 ソフィの言い訳にエルマンノがジト目を向けていると、特殊性癖。もとい村長は、低く放った。


「それよりも分かったら静かにしてください。声が聞こえないです」

「何の声だ?別に、音が重要な競技じゃ無いと思いますけど」

「聞こえませんか?」

「「ん?」」

「はっ、はぁっ、あっ、アリアッ!凄いっ」

「んっ、はっ、ちょっ、オリーブちゃ、まっ、待ってっ、!」

「こ、これは、っ!」

「分かりましたか?この競技の一番の目玉は、声です」

「間違いない」

「うっわ、、本当にヤバい人だったんだ、」


 村長が真剣な表情で放つと、それにエルマンノも目つきを変えて、村長の隣で顎に手をやる。


「目を瞑ってみてください。見えてきませんか?」

「ああ。見えるぞ、、妹同士で咲き誇る、百合の花がっ!」

「あっ!お兄たんっ!」

「だあっ!?百合に男の名を出すなっ!」

「えっ!?ど、どうしたの、?」

「ああ、悪い。百合のスイッチが入ってて、」

「どういう事、?」


 ふと、こちらに気づいた様で、試合中(?)のオリーブはエルマンノに手を振った。


「あ、ソフィも!」

「あ、ど、ども、」

「ソフィもやらない?」

「えぇ、死んでもいいの?」

「えっ、死んじゃうのやだっ、」

「ならやらない」

「そ、そっか、」


 残念そうに俯くオリーブに、ソフィは罪悪感を覚え目を逸らす。その姿を一瞥したのち、エルマンノは改める。


「昨日話してた遊んでたっていうのはこれか?」

「うんっ!そうだよ!」

「え?昨日話してたって、エルマンノ昨日来たの?」

「うん!夕方に来たよ!アリアが寝てる時!」

「そうだったんだ。ごめん寝てて、」

「別に謝る必要はない。寝顔。可愛かったぞ」

「はっ!?なななっ、見たの!?」

「見てないな」

「ムッカァ!からかってるの!?」

「家に居た時は毎日見てたぞ」

「え、も、もしかして夜這い、?」

「ああ。兄は妹にバレない様に添い寝するだろ?」

「何その狂った常識、、というか、それにしても珍しいね。夕方に来るなんて」

「まあ、昨日は色々あったからな」

「色々?」

「ミラナさんとネラちゃん達とクエストしてたの」

「っ」


 エルマンノの言葉に続けて放ったソフィの発言に、アリアは目を細める。それに、対するオリーブが「クエスト?」と聞き返すと、エルマンノが丁寧に教え始める。その様子を、アリアは表情を曇らせ見つめた。と、そののち。


「へぇ!クエスト楽しそう!」

「ああ。今度一緒にやろうな」

「うん!」

「それと、これも楽しそうだな」

「うんっ、楽しいよ!最近知って、アリアとやり始めて。それなのにアリアすっごく上手くなってる!」

「えぇっ!?そ、そんな事無いよっ!オリーブちゃんに全然勝てないし!」

「ううんっ!この間初めてだったのにっ、凄いよ!」

「ちなみにこれは何なんだ?」

「あ、お兄たん知らない?これは、羽根突きって言って、この村の伝統的遊びなんだって!この板でどれくらい打ち返せるかって遊びで、落とした方が負け!」

「これ羽根突きだったのか、」


 この世界に何故かバドミントンやテニスでは無く羽根突きがある事に驚愕するよりも前に、あのどう見てもガチのバドミントン大会の様なやつが羽根突きだった事に驚愕するエルマンノ。


「えっと、じゃあ、このゲーム終わったら、お兄たんもやろっ!待っててっ!」

「あ、ああ、」


 その驚愕が強過ぎて唖然とするエルマンノは、元気に羽根突き(バド)をしているオリーブを見つめる。すると、突如隣から。


「あのユニフォーム。実は私が用意したのです」

「だと思ったよ」

「センスがいいからですか?」

「エッチだからです」

「褒め言葉ですね」


 爽やかで動きやすそうな肩出しのウェアに、短いスカートを履いているアリアを見つめて、エルマンノは頷く。だが、それよりも。

 オリーブのウェアは、なんと巫女服の様なデザインをしていた。ショート丈のジャケットの様なデザインであるのにも関わらず、襟はなく掛襟の様になっており、配色、素材が巫女服の様で、更に下のスカートは赤い巫女の袴のイメージに合わせて作られていた。勿論、ショート丈である。それ故に。


「んっ、えいっ!」

「ん、お、おぉっ!」


 なんと、スマッシュを打つと共に、フワッと浮き上がったスカートの下から。

 眩し過ぎる白い布が。


「お、おおっ、ごふっ!?」


 目を見開く村長を、突如エルマンノは殴った。オリーブをガン見しながら。


「な、何をっ」

「俺の妹をいやらしい目で見るな」

「何と自分勝手な、」

「はぁ、、もうやだこいつら、、早く帰りたい、」


 鼻血を拭き取る村長とガン見するエルマンノに、ソフィは頭を押さえたのだった。


          ☆


「じゃあ、次はお兄たんとっ!ねっ!やろ!」

「ああ、任せろ。昔一人で壁打ちをしてたからな」

「エルマンノ、、大丈夫、?話聞こうか、?」

「本気で心配そうな眼差しを向けるな」


 エルマンノの発言に同情の眼差しを向けるアリアにそう返す。遡る事前世、小学生時代。体育のバドミントンの時間、ペアで打ち合うなんて地獄の様な事を口にした先生に殺意を覚えながら壁打ちをずっとしていた。エイムなら負ける気がしない。

 エルマンノは何故かドヤ顔でそう確信した。


「でも、ごめん、、私、もういいかなぁ、」

「お兄ちゃんとそこまでやりたくないのか、」

「ちっ、違うって!ちょっと、、疲れた、から」

「ごっ、ごめんねっ!む、無理、、させちゃった、?」

「ううんっ!楽しかったよ!全然平気!ちょっと休憩したい気分なだけだから」

「そうすると、一人枠が余るな」

「何で私がやる前提なの、」


 エルマンノの発言に背後のソフィが鋭い目つきで放つと、その時。


「おお、なんじゃなんじゃ、今日もやっておるのか」

「あ!もじゃおじちゃ!一緒にやらない?」

「おい、オリーブ。それはあまりにも可哀想だぞ」

「え?」

「その発言が可哀想じゃぞ、」

「なら私もやろうかね」

「おお、お姉さんもですか、」


 皆の声を聞いてやって来た爺婆に、エルマンノは大丈夫なのかと冷や汗をかきながら放ったのち、オリーブに耳打ちする。


「あ、あんまり本気を出さないでくれ、、お相手のご年齢を考えてな」

「うん!」

「三割くらいの力でいいぞ」

「さっきの三割だよ、?」

「なら何もしないでくれ」

「えぇ、」


 エルマンノはジト目を向けながら放つと、オリーブは寂しげに俯く。アリアとのあれで三割か。本気を出したら板も羽根も吹き飛ぶんだろうな。いや、それどころかこの民家が破壊されるんだろう。エルマンノはそう察しながら頷く。


「それじゃあ行くぞ〜」

「貴方が仕切るんですか」

「およ。儂じゃいかんか?」

「無事をお祈り申し上げます」

「どういう意味じゃ!?」


 エルマンノともじゃおじ。お姉さんとオリーブのチームで始まった羽根突きという名のバドミントン。それを何言ってるのか分からないソフィはそそくさと遠くに逃げ、遠目で見据え息を吐く。


「これ、、私居るかな、?」

「あ、そういえば、ソフィさんは今日はどうして?」

「ん?私も分かんない。最近ウザいほどにぃに呼ばれる、」

「そ、そうなんですか、」


 アリアの問いに、ソフィはそう答える。すると、少し間を開けたのち、アリアは何かを察して口を開く。


「多分、、何か、用事があった方が、気が紛れるからとか、ですかね。...エルマンノ、そういうところあるから」

「...そっか、確かに、にぃは嫌なくらいお節介だからなぁ」


 ふと、思い返す。エルマンノはラディアと別れた次の日から、ソフィに毎日顔を出している。恐らく、あの日に泣いていたソフィを、少しでも元気付けるために。昨日のクエストも、それがあったから理由をつけて呼び出したのだろう。そう考える中、ふと。


「でも、多分、、それはソフィさんの話だけじゃ無いと思います」

「え、?」

「エルマンノも、、多分、寂しいんです。大切な妹が、、居なくなってしまった事、、それに、クエストって、、言ってましたよね、?だから多分、お金に困ってるミラナさんの力に、少しでもなりたいんじゃないのかなって、」

「っ...貴方、、やっぱり長女なんだね」

「え、?」

「うん、、私もそう思う」


 彼の事、分かってるんだなと。ソフィは思いながら、優しくアリアに視線を向けた。それに、何故かアリアは顔を赤らめ目を逸らす。


「どうしたの?」

「いっ、いえっ!その、綺麗だなって、」

「は、?わ、私が?私の何を見てるの?」

「顔がです。部屋の話じゃ無いです」

「そ、それはどうも、」

「アル中ですけど」

「一言多いって、」

「でもヤバい人とは思わなくなりました!この距離で話すと酒臭いですけど!」

「だから一言多いって」


 アリアとソフィの会話を、試合中にエルマンノは僅かに見据え、微笑む。

 珍しい面子である。中々、ソフィとの接点がない人も多いのでは無いだろうか。アリアとフレデリカに関しては、ほぼ会話をしていないイメージだ。ここで、妹同士で少しでも距離を縮めてくれればと。エルマンノは微笑む。と、その時。


「ごはっ!?」

「エルマンノさん!?何をやっとるんじゃ」


 後頭部にスマッシュ攻撃。エルマンノは倒れた。


「お兄たん!?大丈夫!?」

「あ、、ああ、、悪い、少し、考え事を、」

「大丈夫、?」

「ああ、妹の事を考えてただけだ。大した事じゃない」

「そっちじゃ無くて、、頭、」

「俺の頭がおかしいのはいつもだろ?」

「そうじゃ無いよ!」


 必死に放つオリーブの顔と、爺婆が頭を見て驚愕しているのを見据え、エルマンノは頭に手をやる。と。

 頭から血が出ていた。


「あああああっ!?!?痛えぇぇぇっ!」


 エルマンノは、血を見ると痛みを感じるのだ。


「お兄たん!?だ、大丈夫!?」

「あ、ああ、、俺は、もう、駄目だ、、あとは、、頼んだぞ、、もじゃ、、おじ、」

「おう!儂に任せろ!」

「エ、エルマンノさん、この状態で羽根突き続けろって言うのかい?」


 エルマンノがヒールをしながら蹌踉めく中、オリーブが駆け寄り、対するもじゃおじは勢いよくサーブを決める。と、それに。


「なっ、こんな時にっ、初めてんじゃないよ!」

「ふぉっふぉっ、気を抜いとる方が悪いんじゃよ」

「あんたっ!調子乗ってんじゃ無いよ!ろくに手伝いもしない、普段ゴロゴロしてるだけのジジイがっ!」


 日頃の不満をぶつけるかの如く、お姉さんがスマッシュで返す。その速度は、プロ並み。場所は殺気を感じる程もじゃおじど真ん中。それに、もじゃおじは目を剥く。


「なっ、これを取れって言っとるのか!?」

「シャトルを落としたら負けだ!だったら、お前は全部取れ!」


 エルマンノはどこぞの実業団選手の様な名言を最低な形にして放った。それに、もじゃおじは動揺したものの。


「クッ、分かったわい!儂に任せておけっ!」


 もじゃおじは目つきを変えて勢いよく板を振る。が。


「クゥエェェェェェェェェッ!」


 ゴキ。

 なんと。もじゃおじの上半身が百八○度回転した。素晴らしい芸当だ。


「ごあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!」

「もじゃおじぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」

「おじちゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーっ!」

「あーはははっ!やっぱ筋肉が違うのよ。筋肉が!家事舐めんじゃないよ!」


 お姉さんが元気に笑う中、もじゃおじはどんどんと白くなっていく。これは、最終回かもしれない。エルマンノはそう思いながらも、一応駆け寄った。


「な、何なの、これ、」

「わ、分からない、」


 そんな中、冷静にジト目を向けるソフィとアリア。その背後で、百合を楽しむ村長だった。


          ☆


「おーい。大丈夫か?もじゃおじ、、っ!」


 数十分後。民家で安静にするようにと言われたエルマンノともじゃおじ。そんな中エルマンノが彼の様子を確認しようと部屋に入ると、そこには。


「なっ」


 もじゃおじの隣に、骨が置いてあった。


「嘘だろ、、まるおじ!?」


 その骨を持ち上げエルマンノは叫ぶ。


「間に合わなかった、、もう、白骨化が進んでいる、、そんな、、昨日まで、あんなに元気だったじゃないか、」


 その骨を抱き寄せる隣で、もじゃおじが目を覚ます。


「ん?おお、、エルマンノさん、、どうしたんじゃ」

「まるおじが、、クッ、まるおじぃぃぃぃぃっ!」


 僅かなまるおじとの記憶が、蘇る。大した会話をした記憶はないが。


「ああ、それはコカトリスの骨じゃよ。さっき喰った」

「なんと紛らわしい」

「こりゃ獣族の骨じゃないじゃろうに。見て分からんか?」

「なんと煩わしい」

「あ!お兄たんっ!だ、大丈夫、?」

「えぇ、、儂の心配じゃないのか、?」

「ああ。俺はこの通り。もう大丈夫だ。それよりも、、みんなは?」

「ソフィは帰ったよ」

「何と冷たい妹なんだ、」


 オリーブの言葉に倒れ込むエルマンノ。と、その後、ふと周りを見渡す。


「どうしたんじゃ」

「寝ながらこっちを向かないでください。怖いです」

「動けんのじゃから仕方あるまい」

「それよりも暗くなって来てるな、、今、何時なんだ、?」


 エルマンノは恐る恐る放つ。すると。


「えーっとねっ!六時くらいだよ!」

「!」


 何と、三時間程倒れていた様だ。


「嘘だぁぁぁぁぁぁっ!俺の一日があぁぁぁぁぁぁっ!」


 起きたら午後二時。カップ麺を食って気づいたら寝ていて、夜の八時だった時の絶望を思い出した。


「ごめん、、オリーブ、、せっかく、遊びに来たのに、」

「ううん、、お兄たんが無事で、、良かった、」

「オリーブゥ!」

「ひゃっ、ん、、よしよし、ぎゅーっ」

「おうふ、」

「もう、あんまり体を動かす遊びは控えた方がいいんじゃない?」

「ん?おお、アリア、、アリアは居てくれたのか、、うぅ、お兄ちゃんは嬉しいよ、」

「まあ、ここに住んでるわけだし、」

「居候が住んでる言うんじゃない」

「う、」


 エルマンノがオリーブに抱きついている中、隣からアリアが割って入る。


「まあでも、、最近一気に運動し過ぎてるからな、、少しずつに、した方がいいか、」


 エルマンノはそう呟き腕を回すと、よし、と。立ち上がる。


「とりあえず、今日の埋め合わせは明日しよう。オリーブ。明日、大丈夫か?」

「うん!予定は全部お兄たんだよ!」

「っ、お、おお、、それは、唆るな、」

「え、オリーブちゃん、わ、私は、?」

「勿論アリアもだよ!みんな兄妹!大好き!」

「「トゥンク!」」


 笑顔が眩しい彼女に、二人は倒れる。それ程の力があるのだ。そんな彼女の笑顔を守りたい。そう思いながら、エルマンノは明日な、と。約束を交わした。


          ☆


 だが、翌日。


「なん、、でだよ、」


 またもや昼過ぎに。今度は一人で獣族の村にやって来たエルマンノは、その光景を見て唖然とした。

 そう。雨が、降っていたのだ。


「今日は、、雨をお願いする日じゃ無かった筈だ、、それに、今日は一緒に遊ぶって、」


 エルマンノは僅かに嫌な予感を覚えながら、いつもの民家に足を運んだ。すると。


「あ、エルマンノさん!」

「お姉さんっ!そのっ、オリーブはっ!」

「その、、実はね、」

「っ」


 お姉さんの言葉にエルマンノは驚愕し、彼女が居るという神社に向かって。びしょ濡れになりながらも必死に階段を登る。

 と、そののち。


「はぁっ、はぁ!オリーブ!オリーブ!」


 エルマンノは名を叫びながら神社の奥へと入っていく。どこに居る。そう思いながら駆けると、ふと。


「っ、、オ、オリーブ、?」


 とある部屋の中から、ぶつぶつと。声が聞こえた。


「オリーブ!?居るのか!?大丈夫か!?」

「うっ、お、お兄、、たん、」

「っ!」


 間違いない。オリーブの声だ。


「わ、悪い、入るぞ!」


 エルマンノはそう前置きすると、部屋を開ける。と、そこには、薄暗い部屋の中、何やら仏壇の様なものが置いてあり、その前で座り込むオリーブは、ゆっくりと振り返った。


「オ、、オリーブ、?」

「お兄たん、」


 そう放つオリーブの姿に、エルマンノはドクンと胸が騒ぐ。その表情が。空気感が。エルマンノの呼吸を早める。怖い。それを聞くのが。まるで、そう告げるかの様に。

 そんなエルマンノに向かって、対するオリーブは、放った。


「お兄たん、、私の、、お母さんは、、どこ、?」

「っ!」


 その瞬間、雨が強くなった気がした。

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