第44話「妹パーティで触手プレイ」

「あたし、両親、居ないンスよ、」


 その場には、沈黙が訪れた。そんな中、エルマンノはそれを言わせてしまった事に自己嫌悪を感じると共に歯嚙みした。


「その、、悪かった、」

「ああっ!そんなっ、気にしないでくださいッスよ!それに、そういう風になるんが、、一番困りますから、」

「っ!そ、、そうか、、悪い」


 確かに、彼女の立場だったらそんな反応は求めていないかもしれない。それを察して口を噤んだエルマンノに、改めてミラナは放った。


「あ、もう、そろそろほんまやばいんで、行きますっ!」

「ああっ、そうだな。悪い、引き止めてしまって」

「バイバーイッ!」「ばいばい!」


 エルマンノがそう放つと、手を振るミラナにネラとオリーブは元気に返した。


「...」

「なんか、、大変そうだったね」

「そうだな」


 ネラが小さく呟くと、エルマンノはそう短く返し、考える。その姿に、アリアは嫌な予感を覚えながらも、今日はもう遅いため各自家に戻るのだった。


          ☆


 翌朝(午後)。エルマンノは朝食(昼食)を家で食べたのち、ソフィの家に足を運んだ。


「ううぇぇぇぇんっ!にぃぃぃっ!」

「っ、や、やっぱりか、」


 と、言うのも、昨日ラディアと別れたのち、色々あって顔を出せ無かったため、一人で大丈夫かと。そう考え向かったのだが。案の定朝まで飲んでいた様だ。まだ酔っ払っている。


「ぐすっ、、う、、さ、寂し〜よぉ〜」

「まだ一日目だぞ?」

「心持ちが違うじゃぁんっ!」

「まあ、、そうかもな、」


 エルマンノもまた、妹が一人遠くに行ってしまった事実に胸の奥がざわついていた。故に、ソフィの気持ちも分かる。


「にぃ、ありがとう、、来てくんなかったらアル中になってたぁ、」

「もうなってるぞ」


 エルマンノはそう返しながら部屋を見渡す。と。


「にしても、、凄いな」

「すっごいでしょ!」

「何の話か分かって言ってるのか、?」

「分からんっ!」

「部屋の汚さだ」

「あ〜、、えぇっとぉ、それはぁ、ねぇ、?」

「自覚はあったのか」


 エルマンノはジト目を向けたのち、目つきを変える。


「シフト制にしよう。週に何回掃除するか。曜日を決めておいた方がいいな」

「え?来てくれるのぉん!?助かるぅ!」

「ソフィのシフトの話をしたんだが」

「うぇ〜、、でもシフト制ってもう一人居ないとシフト制って言わないじゃぁ〜ん」

「居るだろ。上に」

「っ!?や、屋根裏部屋のあいつの事を言っているのかね君っ!?」

「よく分かったな」

「相容れないってぇ、」

「居る事に否定はしないのか、、どうだ?開けてみるか?」

「うあぁっ、ちょっちょっちょーいっ!開けない方がいい事もあるって!パンドラの箱とか!」

「これこそシュレディンガーの猫だな、」


 エルマンノは息を吐くと、ラディアが居ない今、この部屋を何とかしなくてはと悩む。と、そののち。


「っ、、そうだ。ソフィ、お金はある、、いや、ないか、」

「決めつけないでよぉ。あるかもしんないじゃあ〜んっ?」

「あるのか?」

「無い!」

「なら振り出しだな、」

「何しようとしてたの?」

「ちょっとな。家政婦さんでも雇おうかと」

「えぇっ!?無理無理無理無理っ!私の私生活見せるとかっ、、えっち、」

「普段何をしてるんだ、」


 エルマンノがジト目を向けると、ソフィは目を逸らす。


「なら、自分で頑張るしか無いな。ソフィがやるか、家政婦さんを雇うか」

「うっげぇ、、二択ぅ、?」

「ああ。トロッコ問題だ」

「うわ、、予習すんの忘れたぁ、」

「テスト問題みたいに言うな」


 ソフィの発言に頭を掻くと、その瞬間。


「やっほー!元気してる?...って、うわっ、なんこれっ!?」

「おお、ネラ。早かったな」

「ま〜た突然呼ばれたから焦ったわぁ、、で?また何かするん?」

「え?ちょ、な、何なに、?」

「見て分かると思うが、散らかっている」

「あーねぇ、、てことはまさか、片付けよう的な?」

「的じゃない。的中だ」

「あっべぇ〜、、来るタイミングミスったかぁ、ちょっと予定出来たから、またね!」

「何の予定だ」


 その場から逃げようとするネラを、エルマンノは止めると、改めて考える。元々、ソフィと一緒に居てあげた方がいいと考えあらかじめ今日ソフィの家でと予定を入れていたのだが、一日でここまでの有様になっているとは思わなかった。だが、これは良いタイミングかもしれないと。


「とりあえず今日は俺達で片付ける事にしよう。明日からは俺達は手を出さない。もしこうなってたら強制的に家政婦を雇う。そして、お金はソフィが払う。いいな?」

「うっげぇ、、さいっあくぅ、」

「いいな?」


 エルマンノは念を押す。


「はぁ、、分かったってぇ、、もぉ、今日のにぃ、なんか、ラディアちゃんみたい、」


 その一言に、エルマンノは目を見開き僅かに微笑むと、改めて片付けを始めた。


          ☆


「よしっ!終わったな、」

「うっひゃあ〜、、ほんと、エグいって、、これぇ、」

「江口?」

「エグネスタキオン」

「こっちにも同じ名前の馬が居るのか」

「馬?何言ってんの?有名なスポーツ選手じゃん?」

「娘の方が居るのか、」


 エルマンノとネラは掃除を一通り終わらせ息を吐いた。だが、それ以上に。


「...」

「それで、ソフィが何で一番疲れてるんだ?」

「そっ、そりゃあそうでしょぉ!ネラちゃん、直ぐ私の部屋にエロ本ないか探すんだから!無いって言ってんじゃんっ!」

「あははっ!ありそうと思って!」

「私ありそうなの!?」

「ああ。否定はしない」

「クッ、いっその事オープンにしとけば良かった、」

「アルコール入ってる時は開ききってたぞ」

「何なに?股を?」

「おお、面白い事が言える様になったじゃないか」

「もう帰って!」


 二人でニヤニヤとする中、アルコールが抜けたのか、ソフィは声を上げる。


「おい。俺達はソフィの部屋を掃除したんだぞ。何か、恩返しがあってもいいんじゃないか?」

「え、、な、なな、、何、?」

「兄ちゃん大胆だね、」


 エルマンノは立ち上がりソフィに近づくと、ネラはおお、と。声を漏らす。対するソフィは、怯えている様子だが、どこか恥ずかしそうに顔を赤らめていた。と、そののち。エルマンノは真剣な表情で告げる。


「俺と、パーティを組んでくれ」

「...え、?」

「...は、?」


          ☆


 更に翌日。エルマンノとソフィ、ネラはギルドハウスに集まった。


「うっわ、、これがギルドハウス、、帰っていい?」

「駄目だ。昨日約束しただろ?」


 嫌そうに呟き、今にも帰りそうなソフィをエルマンノはそう引き止めると、改めて放つ。


「にしても、ネラは無理しなくていいんだぞ?」

「なーんか面白そうだったし!それにウチ、元々職探し中だったから〜。する事も大して無いし、、そ、それに、兄ちゃんと二人きりにさせるの、、アレだし、」

「ん?二人きりがなんだ?」

「まっ、まぁ!なんてーか、兄ちゃんと一緒に居たかったんだよね!」

「おぉっ!?そ、そうなのかネラ!?わ、悪かった、お風呂も寝る時もトイレも一緒に居ような」

「きっつ〜」

「突然の裏切りはやめてくれ、」


 エルマンノが引き気味に放つネラに悲しげに返したのち、改めて口にする。


「それよりも、職探し中だったんだな」

「単発ばっかやってたんだよね〜」

「異世界とは、」


 エルマンノは頭を押さえる。どれ程この世界は異世界というイメージを潰せば気が済むのだろう。


「あとさ、パーティって三人以上じゃ無いと組めないんじゃない?」

「おお、よく知ってるな。そうだ。だからこそ、もう一人呼んであったんだ」

「「え?」」


 エルマンノがそう放ったのち、ふと振り返る。と、そこには。


「はっ、はっ、ごめん!遅れたわ〜」


 方言混じりの少女が走りながら現れた。


「あぁっ!ミラナちゃんじゃん!」

「え?誰、?」

「ああ、ソフィは知らないか。改めて、こちら、新しく俺の妹になる、ミラナだ」

「は!?あ、え!?え、えと、ソ、ソフィです、、よろしく、お願いします、」

「よっ、よろしくお願いしまッス!きっ、綺麗なお姉さんですねっ!?こちらも、エルマンノさんがスカウトした形で、?」

「はい、そうです。お家が大好きなだらだら妹ですが、仲良くしてあげてください」

「ちょ!何その説明!?」

「その通りじゃないか?」

「う、」


 返す言葉もないソフィ。


「ぜ、全然そんな風に見えないんけど、、うわぁ、なんか、緊張するわぁ、」

「全然緊張しなくていいと思いますけど」

「それ私が言う台詞じゃないの、?」

「そうそうっ!それに、ミラナちゃんもめっっちゃ素材いいからっ!メイク今度してみない?絶対映える!化けるよ!」

「あ、あたし、、そういうのやった事無いんやけど、」

「ならウチに任せてっ!」


 ネラとミラナで何やら話を進める中、ソフィは呟く。


「ほ、方言、?」

「あ、ごめんなさい、突然」

「あ、いえ、、ここら辺じゃないなと思っただけで、」

「北の方の言葉やけん。あたしはオーヴェスト王国出身なんよ」

「いや西じゃないか、」


 エルマンノの呟きに皆が首を傾げる。オーヴェストはイタリアかどこかで西だった気がする。首を傾げられると間違っていたかの様に思うが、当ってた。と、思う。


「というかやはり北なのか、アリア凄いな、」


 エルマンノは改めて、アリアの知能に驚きながらも放つ。


「それよりも、今日はパーティを組むために来たんだ。申請しに行くぞ」

「うぇ〜、、ほ、ほんとに行くのぉ〜、」

「き、昨日ソナーで言っとったあれってほんまやったんや、、あ、あたしでええん、?」

「ああ。寧ろ、忙しいのに、申し訳ない、」

「いやいやっ!今日の午後はシフト入ってないけん、問題あらへんけど、」

「なら、今日中に終わらせられるクエストいくか」


 ミラナの発言にエルマンノはそう返す。と。


「あ、じゃあウチやっぱやめた方が良かった感じ、?」

「ん?いや、そんな事はない。無理に来させたくは無かったから、二人呼んだだけだ。来たかったら、全然いいぞ。寧ろ、妹パーティなんて最高だ。どんどん来てくれ」

「私は無理に来させられたんだけど、」

「ソフィとはちゃんと約束しただろ?」

「...そ、そう、?なら、行こかな、」

「ああ。よろしくな、ネラ」


 少し恥ずかしそうに放つネラに、エルマンノは優しく告げると、逃げ出そうとするソフィの腕を掴んでギルドハウスへと入ったのだった。


          ☆


「はい。確認致しました。こちら、パーティ編成の手続きが完了しましたため、こちらの冒険者証明書をお持ちください」


 数分後。申請が終了した一同はその証明書を手に、クエストを探しに行った。パーティ名は勿論シスターパラダイスである。成人向けゲームから持ってきたわけではない。


「はぁ、てかにしても兄ちゃんさ。経験者じゃ無いん?」

「面目ない、」

「ほとんどネラさんがやっとったね」

「不甲斐ない、」

「それに兄ちゃん前のパーティ解除しないでいたっしょ?本人居ないとクソダルいんだからさ、前もってそっちの処理しといてよ」

「非常に遺憾です、」


 ミラナとネラに挟まれ、エルマンノは小さくなっていた。妹が多い家庭の兄は肩身が狭くなるものだ。これもこれでありである。エルマンノは思わず口元が綻ぶ。


「は?ねぇ聞いてる!?」

「も、申し訳ない、」

「はぁ、、まあ、兄ちゃんみんなのためを思っての行動だし、いっか、今回は許したげるっ」

「え?」


 ふと、ミラナとソフィがそれぞれ「何があるやろ、」「か、簡単なの、、簡単なの、」と呟きながらクエストを確認しに行く中、小さくネラが口にする。


「ミラナちゃんがお金ないから、、効率よくお金を稼げる方法としてクエストを選んだんしょ?」

「...」

「え〜っ、何その顔〜っ!ふふ、それくらいお見通しだって。面子もさ、特にお金に困ってる二人選んだっしょ?それに多分、兄ちゃんの分はミラナちゃんかソフィに山分けするつもりだったと思うし。昨日のあれも、普通に言ったら絶対やらないソフィを、パーティ組ませるために理由付けしたんしょ?」

「...ふふ、妹はやはり騙せないな、」


 エルマンノは、ネラの鋭い言葉に微笑むと、改める。


「まあな、、本当はソフィの家政婦としてミラナを呼んで、働かせようと思ってたんだが、、ソフィもソフィでお金は無いし、少し強引だけど、この方法が一番かと思った。それに、クエスト攻略はいくらランクが下のものでも危ない事に変わりはない。アリアやフレデリカ、オリーブとかは、巻き込みたく無かったんだ。勿論、ネラもな」

「あーねぇ、、ま、早く稼げる分危険なのはしゃあなしって感じっしょ。...でも、ウチが心配してるんは兄ちゃんだよ」

「え?」

「兄ちゃんさ。多分、危険な事全て自分でやろうとしてるっしょ?簡単に早くお金を稼いであげられる様に上のランクのクエストにしてさ、それを兄ちゃんが受け持って、それで収めようとしてない?」

「そ、それは、」

「ま、兄ちゃんの事だから、どうせやめてって言ってもやりそうだからさ。それもあって、ならウチも行くっきゃないっしょ!的な?」

「なっ、まさかそれで、?」

「そりゃね!てか一応、この中で今は一番ウチが魔力量多いっしょ?」

「ネラ、」


 そうニッと笑うと、ネラは皆に混ざって何があるのかな〜と呟きながらクエストに目をやりにいった。その姿を見据えながら、エルマンノは目を細めながら何かを堪えながら笑った。


「はぁ、、妹に気づかされる事ばっかだな、」


 エルマンノはそう零すと、改めて頰を叩き目つきを変えて、皆と共にクエストに目をやる。


「相変わらず草むしりのクエストは無いな、、あれは残り物だったからか、?」

「いや残り物なら残ってるんちゃうの?」

「草むしりみたいな簡単なの無いのぉ〜」

「草むしりが簡単みたいに言うな?」


 エルマンノの呟きにミラナとソフィがそう返すと、どれどれと。改めて内容を確認する。


「中級魔物、、スライム討伐、」

「スライムとか雑魚そうじゃない?」

「スライムが主人公の作品あるだろ」

「何それ、」


 ソフィが割って入る中、エルマンノがジト目を向けると、「それ」を見据え目の色を変える。


「魔獣の森にある湖に出現する触手の回収、だとっ、!?」

「え、」

「やるしかないな」

「兄ちゃん下心が見え見えなんだけど、」

「は、えっ、ちょ、にぃ、ま、マジでやるの、?」


 エルマンノはズカズカとそのクエスト用紙を取って受付に持って行く中、それにソフィは慌てて止めようとする。対するネラはニヤニヤとしており、ミラナに関しては何の事かよくわかって居ない様子で首を傾げた。だが、それも虚しく、エルマンノはその用紙を。


「こちらでお願いします」


 提出しやがった。


          ☆


「あれって提出とかせんと駄目なん?」

「いや、別に前回とかはやらなかったが、本来は提出しないと危険区域への侵入は許されてないらしいんだ」

「え、それ前は普通に入ったって事?肝据わってるねぇ」

「キモいのが座ってるの間違いじゃない、?」

「誰がキモいのだ。まあ、ここは俺の庭みたいなもんだからな」


 ミラナとネラと話しながら森を進む中、数メートル背後からソフィが放つ。


「もう帰りたい、、まじ最悪、、早く寝たい、、精霊シミュレーションしたい、」

「安心しろ。魔物が出てもお兄ちゃんが守ってやるから」

「にぃの近くに居ても色々と危ない気がするんだけど」

「えぇ、、何でだよ、」

「なら、ウチの方来たら?」

「ネラちゃん爪長いから切られそう」

「えぇっ、そんな長いかな?」

「それ爪だったのか、トンガリコーンでも付けてるのかと思った」

「なんそれ、」

「書道家の家を隠れ家にしてる子がやってただろ」

「なんそれ、」

「にしてもめちゃ空気ええなぁ〜!ここで走ったら気持ちよさそうばい!」

「凄いな、、こんな何が出るか分からなそうな森でそんな事が言えるのか、」

「なんかドキドキせえへん!?」

「ドキドキはするな。違う意味で」


 小走りで元気に笑うミラナの隣で息を荒げるエルマンノ。その後ろでソフィの速度に合わせるネラは笑う。すると。


「兄ちゃん大丈夫そ?」

「まあ、ちょっと入り組んでて疲れるな、、一応昨日は休んだんだが、一昨日のがキテるか、」

「こまめに休んだ方が良かとよ?運動は筋肉痛からが本番言うけど、そこで無理にやり過ぎる方が良くないんよ。最初は三キロくらいのマラソンに抑えて、一日おきにしながら増やす方がいいと思うと」

「最初が、、三キロ、、だと、?」


 ミラナがさらっと話す中、エルマンノは驚愕に目を見開く。いくら転生後は動く様にしていてもそれはキツイだろう。案の定、背後のソフィは逃げ出そうとしていた。あの人と同じ空間に居る事の危なさを理解した様だ。強く生きてくれ。


「そ、それよりも、そろそろ見えるはずなんだけどな、」

「あれとちゃう?」


 一番先を歩いていたミラナがエルマンノの呟きにそう切り出すと、皆も小走りで集合する。

 と、そこには。


「こ、これが、」

「湖、?」

「帰っていい?」

「駄目だ。息をする様に帰ろうとしないでくれ、」


 なんと、直径十メートル程しかない湖と呼ぶには小さ過ぎる池があった。


「確か、、湖から触手出てくるんだっけ?」

「ああ。多分湖の底とかに巨大なタコでも居るんだと思ったんだけどな。この小ささは違そうだな、」

「タコってなん?ダルコじゃないん?」

「ああ、そういえばそうだったな、、失礼。噛みまみた」

「てかまずこの湖と違うんじゃね?」

「とりあえず、入って確かめよか!」


 ネラがそう解釈する中、隣で何やらウィンドブレーカーの様な上着を脱いで、いつもの健全な男の子には刺激の強いスポーティーな服装になるミラナが準備運動を始める。と。


「確かに、それもそうだな。ソフィも、行くか」

「あほか。死ぬわ」

「池遊びだぞ?」

「底は見えてないじゃん」

「底知れぬ恐怖ってやつか。まあ、そんなに深い事は無いだろ。でも、万が一この湖に触手がある可能性もある。ここは兄である俺が先に行こう。妹達に、危険な目に遭わせるわけにはいかない。それに、俺は池おじと呼ばれた男だからな」

「ははははっ!おじって!それ言ったやつ歳考えろよ!あははっ!」

「笑うとこそこなのか、?」


 エルマンノはそう告げると、笑うネラと気をつけてねと放つミラナを背に、湖に飛び込んだ。

 すると。


「ぶぉぼぉっ、ぶぉっぼぼぼっ!ぼ!」


 謎の音を残して姿を消した。


「...」

「...」

「...」

「...長ない?」

「てか頭も見えてなくない?」


 数秒間出てこないエルマンノに皆は目を見開き、湖に集まる。と、ネラがそこに頭を突っ込む。


「ぷはっ!いやいやっ、全然見えないんだけどっ!?」

「何これクソ深いのこれ!?」

「待っててくださいエルマンノさん!」


 ネラとソフィがそう話す中、ミラナは準備運動をしっかり行ったのち目つきを変えて飛び込む。


「ミラナちゃん!?大丈夫!?」


 心配そうに覗き込む二人。すると、数秒後。


「ぷはっ!しっかりしてくださいエルマンノさん!」


 どうやらエルマンノを見つけた様で、ミラナは引き上げ仰向けにさせる。


「こういう時は心臓マッサージですねっ!」


 力瘤ちからこぶを見せて意気込むミラナに、ネラとソフィは冷や汗を流した。


「それやったら心臓止まるんじゃない、?」

「心臓マッサージは骨を折る様にって習ったとよ?」

「てかまだ心臓止まってなくない?」

「ぷーっ!」

「うわっぷ、、あっ、エルマンノさん!凄いっ、自ら意識を取り戻したんやな!」


 どうやら身の危険を感じたのか、エルマンノは口から水を吐き出すと、起き上がる。


「けほっ、こほっ、、がはっ、、ミ、ミラナ、、悪い、、助かった。ありがとう、、っ!」


 エルマンノは起き上がると、そこにはびしょ濡れのミラナ。だが、問題はそこでは無く、エルマンノが口から出した水が顔にかかっていた点だ。


「わ、悪い、、汚したな、」

「いえ!元気で何よりッス!」


 ニカッと笑うミラナ。これは別の意味で元気になってしまうぞ。


「ははっ、兄ちゃんもぉ何考えてんのぉ〜?」

「もう少し倒れてたら人工呼吸をしてもらえたのにって思ってた」

「ウチがしてあげよか?」

「いいのか?」

「あははっ!嘘だよ!こんなところで、、したくないじゃん、?」

「こんなところじゃ無かったらいいのか、」


 ネラはそう笑ったものの、目を逸らして、どこと無く恥ずかしがっている様子だった。そういうお年頃なのかもしれないな。


「それよかこの湖想像以上に深いんやなぁ、、エルマンノさん、中に何かありました?」

「それどころじゃ無かったからな」

「そ、そぎゃん事してられないッスよね、」


 エルマンノが息を整え立ち上がると、そのままその殺人的な湖に向かう。


「こいつのせいだ。こいつのせいで俺は死にかけたんだ」

「に、にぃ、?」


 エルマンノは拳を握りしめてそう放つ。と、次の瞬間。


「こいつは俺が抹消するっ!」

「「えぇっ!?」」「うわっ」


 エルマンノはその湖に口をつけた。


「な、何やっとんのや!?」

「飲み干します」


 エルマンノはそう告げると、そのまま池の水を飲み始める。


「そんなに喉渇いてたん、?」

「いや、そういう意味じゃないと思うけど、」


 ネラにソフィがツッコむと、改めてエルマンノに向けて放つ。


「にぃ、、そんなとこ、汚いよ、」

「っ!」

「ゔぇっ!?」


 ソフィの言葉に反応して、エルマンノは水から顔を出し、振り返る。それに驚くソフィに、エルマンノは近づく。


「もう一度、それ言ってくれないか?」

「えぇっ、ちょーっちょっちょっ!?なにごと!?」

「大丈夫なん?池の水ば飲んで?」

「特に問題はない。それに、そうか、そうだな、」


 ミラナの言葉にエルマンノはそう返すと、ふと顎に手をやり考える。

 先程、エルマンノを助けるためにミラナは池に入ったのだ。それは即ち。


「これは妹お水という事だな」

「どういう事?」

「妹水、、いただきます!」


 ミラナとソフィ、ネラが皆驚愕し首を傾げる中、エルマンノは満面の笑みで湖の水を飲み始める。すると、僅か数十秒後。


「があぁぁぁぁぁっ!」

「えぇっ!?ど、どしたん兄ちゃん!?」

「かっ、かはっ、があぁぁぁっ!腹があぁぁぁぁっ!」

「ははははっ!そんなんっ、当たり前じゃん!死ぬっ、はははっ!マジッ、馬鹿っ、、だって、ひぃっ、はははっ!」

「し、死ぬのは俺だ、」

「腹壊すのなんて当たり前でしょ、、ほんと、」


 エルマンノが声を上げる中、ネラが爆笑する。と、そののち。ネラは笑いながらも「それ」を手に取り渡してくれた。


「こ、これはっ!」

「腹痛の薬っ!ギャル舐めんなよ〜。用意はいいんだからさっ!」

「ギャルは舐めたいもんだが、、ってこれ生理痛の薬じゃねーか!?」


 エルマンノは渡されたポーションのラベルを見てネラに返す。


「腹痛治せるっしょ?」

「方向性が違うだろっ」

「解散かぁ、」


 激痛に声を荒げるエルマンノとネラがそんな謎会話をする中、それに呆れながらも近寄るソフィは、やれやれと回復魔法をかけようと手を前に出した。優しい。これはファンが多いのにも納得だ。と、その時。


「ギュリリィィィィィィッ!」

「え、きゃっ!?」

「えぇぇっ、なんっ、!?」

「何これ?おっ」


 ふと、池の中からまさかの。

 触手が現れソフィとネラ、ミラナを捕まえた。


「なっ、ま、まさかっ、本当に居たのかっ、、う、ぐはっ、腹、がっ!」

「ちょちょちょっ、まっ、にぃ!助けてよっ!」

「なっ!?ちょっ、どこ触っ、、んっ!ウチは美味くなんかないからっ、このっ、エ、エロダルコっ!」

「お、おおおおおおぉぉぉぉっ!」


 そこには、お約束。絵に描いたように触手に絡まれるソフィとネラ、ミラナが居た。タコなのかは不明だが、こいつ、よく分かっている捕まえ方をしている。ただ巻きつくのでは無く、体に絡みつく様に。そして、手足を広げる形で捕まえている。こんなの、腹が痛いなんて言っている暇ではーー


「があぁぁぁぁっ!やっぱ痛ぇぇっ!」


 ーー腹痛には敵わなかった。


 いや、自身の妹への愛はそんなものなのか。妹が破廉恥な姿になっているというのに、兄が何もしないわけにはいかない。


「まっ、待ってろみんな!妹がそんなあられもない姿となっているのに、み、見ているだけにはいかない!」

「なっ、にぃ何する気なの!?」

「お兄ちゃんも一緒に混ざる未来ばかり想像するなよ、」


 エルマンノは腹痛に耐えながら立ち上がる中、ソフィが声を上げると、その隣で。


「おっ、これ凄いええなぁ!体のいいストレッチになるわぁ。それに、いいツボ押してくれるけん、これでストレッチするん癖になりそうやわ!」

「中々に変態が混ざってるな、」

「ミラナちゃんほんとストイックやん!ウチもアゲてかなきゃ!」

「あれはストイックと言うのか、?」


 ミラナが触手を我が物としながら自らで操りストレッチ用のグッズかの如く使用をしている中、エルマンノは冷や汗混じりに呟いた。とその後。


「スラッシュウィンド!」

「「きゃっ」」「わっ」


 風魔法で触手を切り取り、同じく風魔法で皆をゆっくりと地面に戻すと、「大丈夫か?」とエルマンノは放った。


「それよりも兄ちゃん大丈夫なん?」

「ああ。とりあえず、腹痛はヒールで落ち着かせてある。もう少し堪能したかったところだが、妹を放ってはおけないからな」

「えぇ、、腹痛を楽しむって、本当にMなんだね、」

「堪能したかったのはそっちじゃ無くて触手プレイの方だ」


 エルマンノはジト目を向けるネラにそう弁明すると、その瞬間。


「キィィィィィィィッ!」

「「「「っ」」」」


 またもや、触手が湖から現れる。


「なっ、まだあるのか、」


 エルマンノは驚愕しながらもまたもや触手を魔法で切り取る。がしかし、それでも尚触手は現れた。


「キリがないな、」

「切れはするけどね」

「ほ、本体が下に居るとか、?」

「ダルコなら八本切れば終わるんじゃ無いん?」

「ならあたしがダルコ捕まえよか?」

「いや、妹にそんな危険な事をさせるわけにはいかない。ネラの考えが正しければ、八本目で終わる筈だ」


 エルマンノはそう告げると、合計八本の触手を切る。

 が。


「ギャイィィィィィィィィ!」

「なっ!?」

「嘘、」「マ!?」「おぉ!」


 尚も、触手が三本出てきた。それに恐怖する一同の中、何故か尊敬の眼差しを向けるミラナ。ダルコ説は外れたのだろうか。だが、イカというわけでも無さそうだ。これで合計十一本である。ならばどうするべきか。この触手が本体で、湧いてきているのだろうか。エルマンノがそう考える中、ふと。


「っ」


 今まで切った触手が力無く動きが無くなっていく様を見つめ目を見開く。確かに触手相手だから平然とそれを行ってきてしまったものの、もしかすると何処ぞの融合個体の様に、少女。更に誰かの妹の可能性もあるのだ。

 エルマンノは言わずもがな妹に種族は関係ないのである。故に。


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!悪かったぁぁぁぁっ!妹をっ、妹をぉぉぉぉっ!」

「えぇっ!?どしたん急に!?」

「にぃ!?なっ、どうした!?しっかりして!まさかっ、精神攻撃!?」

「ならあたしがやるしかないな!行ってくるわっ!」

「待てっ!ミラナ!もしかすると、この子は妹かもしれないんだ!」


 エルマンノは謎の発言をしミラナを止めた。だが。


「うわわっ!?きっっしょ!?」


 突然ソフィの背後から触手が迫り、足に絡みつく。なんと、えちえちな妹触手だ。


「あたしに任せといてっ!」

「お願い!」

「なっ、やめっ」

「ふん!」


 ミラナは、容赦無く触手を引きちぎった。なんと魔法無しで。これは一緒に寝ていて抱きつかれたら文字通りワンナイトラブとなるな。と、それよりも。


「何をしているっ!ふざけるなぁぁぁっ!」

「いやまず妹とかありえないっしょ」

「え?」


 ふと、ネラは切り取られた触手に近づき放つ。


「ウチがダルコじゃねって言ったのはこの吸盤なんよ。ダルコ特有のものだったから。それに、この吸盤、大小様々なやつが不規則に配置されてるっしょ?これはオスの特徴だから。だから、ダルコと考えると、これは妹以前にオスであってーー」

「スラッシュウィンド!」

「グギャィィィィィィィ!」

「よ、容赦ねぇ、」


 エルマンノがネラの話を聞くや否や出ている触手を全て切り取ると、それに引いた様にソフィがジト目を向けた。と、その後。


「ありがとうネラ。流石高学歴だな」

「ま、学校行ってただけなんだけどね」

「それでもだ。よし。このまま本体も潰しに行くぞ」


 エルマンノはそう告げ足を踏み出した。と、その時。


「待って」

「ん?」


 ふと、ソフィが止めた。


「確か、クエストの内容って、触手を回収するんでしょ?」

「ああ、確か、、その分で報酬が変わるんだったな」

「じゃあ、出てこなくなるまで触手狩ったほうが良くない?」

「「「!」」」


 その場の皆が目を見開く。流石ソフィ。お金のこととなると頭が冴えるな。エルマンノはそう思いながら、微笑み頷くと、その作戦通りに狩りを始めた。


「永久機関が完成しちまったなアア~!」

「もっと狩ろっ!もっと!金!金っ!ぐへへっ!」


 エルマンノとソフィはゲスになっていた。それにネラが引いていると、ふと。


「...っ」


 エルマンノは、真顔になった。その、次の瞬間。


 回復が切れた。


「はっ!腹がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


          ☆


「す、凄いですね、、今日だけでこんなに、」

「は、はい。イキがいい新鮮な触手です。お姉さんも、もし良かったら使ってください」

「なっ!何にですか!?」

「料理とかですけど、、なんで赤くなってるんですか、?」

「え!?いや、そうですね、、ごほん。こちら、間違いなく、全てギルドハウスで回収させていただきます。ご協力ありがとうございました。クエストの報酬をお持ちしますので、暫くお待ちくださいませ」

「は、はい、」

「...兄ちゃんギルドマスターも狙ってる感じ?」

「今の会話のどこに狙ってる点があったんだ、?」


 ギルドハウスに大量の触手を収納魔法で運んだ一同は、ギルドマスターにそれを手渡しし息を吐いた。エルマンノは未だげっそりとしている。すると。


「お待たせ致しました。それではこちら、冒険者様四人のパーティですので、合計銀貨十二枚です。お確かめください」

「銀貨十二枚!?超大金じゃぁ〜んっ!」

「やったっ!これでっ、俺はっ!金持ちにぃっ!」


 エルマンノは前回同様何処ぞのギャンブル主人公の様に声を上げると、これを山分けでしょとネラが放つ。と、そうだな、と呟き、エルマンノは銀貨三枚ずつを皆に分ける。


「仕事人ってこんな感覚なんだな、」

「それなに?」

「こっちの話だ。そして、これがソフィの分な」

「やったっ、、やった!これでっ、買えるっ!買えるよぉ!」

「何を買うつもりだ、、ちゃんとそれでラディアに楽させてあげろよ?」

「うぇぇ、、分かってるよぉ、、でもこれで打ちに行けば更に増やせるかもしれない、」

「なっ、パチ台がこの世界にあるのか!?」

「何それ。ちっがうよ!」


 ソフィはそういうと、両手で何かを支え、向きを変える様な動きをする。


「まさかこの世界にも雀荘があるのか、?」


 そんな事をしながら悶々と悩むソフィの隣でエルマンノはジト目を向けると、その後、後ろにいたミラナに向き直る。


「そして、これが最後。ミラナの分だ」

「え、、あたしも、?」

「当たり前だろ。それに、一番頑張ってくれたからな」

「ほぼエルマンノさんじゃ、」

「いや、ミラナが居なかったらその俺は死んでた。ってことで」


 エルマンノはそう放って、銀貨三枚。では無く、六枚を渡す。


「え、、な、えっ、か、数間違っとるやん!」

「おお。いいツッコミだ。ちょっと遅かったけどな」

「たっ、試したん!?」

「違う。これは全部ミラナの分だ」

「な、そ、それは受け取れんと!」

「何でだ?俺は命を助けられたんだ。銀貨三枚じゃ逆に足りないと思うけどな」

「そやないっ!山分けやろ!?」

「俺は前に金貨四十枚を得たこともある。そのくらいなんて事ない」

「それでもダメッス!」

「嫌な金持ちアピールも駄目か、」


 エルマンノは息を吐くと、真剣な表情で改めた。


「今日こんな危険なクエストに巻き込んでしまったお詫びとお礼だ。俺は元々、ただ体を動かしたかっただけだ。こんな兄のわがままを、忙しい筈のミラナは受け入れてくれたんだ。このくらいはさせてくれ。俺は金欲しさにクエストをしたんじゃない」

「やけど、、ちゃんと労働をした分を受け取らないと、駄目やで、」

「なら、これは貸すってことでどうだ?」

「えっ」

「兄妹間でお金の貸し借りする事もあるだろ。お兄ちゃん、、ごめん、ちょっと、今、お金、足りなくて、、借りたくて。...どうした、またホストに溶かしたか?違うよっ!本当か?みたいな会話あるだろ?」

「ホストに貢ぐ金兄に要求するん、?」


 エルマンノが一人二役でやる中、ミラナは困惑する。と、それに改めてだからと。エルマンノは銀貨六枚を差し出す。


「という事だ。使ってくれ。そして、安定したら返してくれ。これは、一種の投資みたいなもんだ。妹投資。見返りはお兄ちゃんと呼んでくれればいい」

「あははっ」

「?」

「エルマンノさん、、ほんと、変わってるんスね、」

「よく言われるよ。特に妹にな」


 エルマンノは微笑み、ミラナは泣きそうな表情でそれを受け取る。


「本当に、ありがとうございます、、絶対、返しますから」

「それよりもお兄ちゃんって言ってくれません?」

「あははっ!考えます!」

「えぇ、、何でだよ、」


 ミラナは冗談めかして笑う。と、そののち、小さく呟いた。


「これで、、妹も、ちゃんと、」

「なっ!?!?!?」

「えっ」


 誰にも聞こえないレベルのミラナの一言に、まるで時が止まった様にエルマンノは目を見開き、声を荒げる。


「いま、、ななな、なんと、?」

「え、、こ、これで、、妹も、と、」

「そ、その妹は、?」

「あ、は、はい、あたしの妹ッス、けど、」


 その一言が、脳内で何度も繰り返し響く。まさか、まさか。

 まさかまさかまさかまさかまさか。


「あ、あああっ、ああっ、貴方にはっ、、い、いもっ、妹さんがいらっしゃるんですか!?」

「はい!そうッスけど、、あ、」


 ミラナは何かを察し表情が強張る。それに、他の二人はもう手遅れだと息を吐く。

 天然の妹を発見。


「ぐへへっ、ぐははははっ!」


 これはとんでもない逸材だ。腹痛も吹っ飛ぶほどの衝撃。エルマンノはニヤニヤが止まらなかった。

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