北条 VS 武田 其ノ四
武田信玄
「報告、伏兵を指揮していた馬場信春殿が、坂本龍司に討たれました!」
場が静まり返った。士気を落とす訳には行かないのだが、猛将の馬場を失った?三千も伏兵にしたのじゃぞ?
「相手の兵はいかほどいたのだ?」
「相手も同じ三千でしたが、投石に火薬を仕込んだ攻撃で怯んだ隙に囲まれたとのこと。反撃を試みましたが相手は精鋭だったらしく、惜しくも討たれてしまいました」
ここで馬場を失ったのは痛すぎるの。士気を戻したいが手が浮かばん、それにしても儂が目を掛けてる奴が尽く討たれてしまう。坂本龍司には儂の心まで読めるのか?
今のところ劣勢だが、いくらでも立て直せる。斎藤の小童に坂本龍司を叩くぞと吹いたらまんまと兵を出しよった、愚か者も使いようによっては役に立つからの。
長尾謙信
まさか斉藤家が出張ってくるとはの、ここも場合によっては戦場になりうる。
「殿、龍司殿からの文には不測の事態の際は撤退してくだされと書かれておりました。ここは引きましょう」
「しかしな、ここで斎藤を叩けば北条へ恩を返せる!」
「謙信殿ー!」
ん、こっちに走ってくるやつは・・・
「な、信綱殿!?なぜここに」
「殿から言伝を預かりましてな、私が直接で向いた次第です」
龍司から言伝?しかし文ではなく直接とは。
「龍司は意外と人遣いが荒いのか?」
「此度のような事は初めてで某も驚いていまする」
「して、言伝とは?」
「撤退してくだされ!!と強い語気で言われましたぞ、某が直接出向き伝えることで殿は謙信殿に想いが伝わると仰っておりましたぞ」
「・・・儂の気持ちまでも読むとは、まったく末恐ろしい奴よ。ここまでされたら撤退しかあるまい、全軍撤退じゃ!」
「安心しましたぞ。此度の任が失敗に終われば、殿と手合わせが一年間出来なるところでしたからな」
「信綱殿は相変わらず剣が好きよの」
「某は剣だけあれば良いのです、殿も理解して下さって戦には一度も出ていないのです」
「良い所に仕官できたの」
北条氏康
「報告!幻影衆が信濃で斎藤軍を奇襲、武蔵に到着するまで今しばらくかかるそうです!!」
龍司のやつ報告しなかったな、お陰でこちらの軍まで翻弄されるところだったわ。光秀は知っておったのか?
「龍司はよく“敵を欺くには味方から”と言っていましたからね、今回は我々もしてやられましたね」
「そう言いながらどこか嬉しそうだのう、松千代丸」
「これほど頼もしい者が北条に仕えているのです、誇りに思わない方がおかしいでしょう」
お主もそんな者達を従えるのに相応しい器になりつつある、そろそろ引き際かの。
「斎藤軍が遅れてる今が好機、全軍で武田軍を囲い込みケリをつけるぞ!!」
「「「はっ」」」
武田信玄
斎藤の軍がいつまで経っても来ない。裏切ったか?だがあやつにそんな考えができるとも思えん。
「殿!斉藤家の軍が信濃で奇襲にあい足止めを食らっているようです!武蔵までしばらくかかるかと」
「信濃で足止め?長尾めが出てきたのかの」
「いえ、それが・・・幻影衆による奇襲です」
また坂本龍司か、お主はいずこまで儂の邪魔をする気だ?ここまで弄ばれたのは初めてじゃわい。
「火急の報告!敵軍に囲まれました!総勢五万を超えております」
「なぜ増えておる?四万もいなかったはずじゃぞ!?」
「最初から全軍出していなかったそうで時をずらし出てきたのかと」
「囲まれてるなら逆に好機よ、軍を出来るだけ固めよ!中央突破じゃ!!」
くっ、武田家もここまでか・・・儂の代で終わらせることになるとはの。
坂本龍司
やっと、やっとここまで来た。あの武田家を完全に追い詰めた、最後まで気を抜かずにいこう。
「撒菱も使い切るまで投げ込んで、鉄砲隊も遠慮はいらない。ここで確実に武田を終わらせる!」
「「「はっ」」」
俺や氏康様、幻庵さんの軍と援軍の指揮に光秀と信綱。北条の全勢力で叩く!!
「中央突破できたか、ここに焔神衆を置いて正解だったな。さあ皆、この大戦の仕上げだ。絶対にここを通すわけに行かない、周りが突撃するまで持ちこたえるぞ、出撃ーー!!!」
「「「おぉーーー!」」」
武田軍の猛攻は凄まじく、犠牲をたくさん出してしまった。でも周りの隊が次々に突撃し、武田軍は壊滅した。この攻防で武田家家臣達は討死、武田信玄は討ち取らず捕らえることが出来た。
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