氏政君とお市ちゃんの婚儀とデジャブ
北条氏政
私が妻を持つか、最初は不安もあったが龍司の配慮で相手と交流が出来るようにしてくれた。龍司と智にはここ数年世話になってばかりだ、婚儀にも来て欲しかったが父上も来るとなるとさすがに手薄になる。
父上は信長殿にだいぶ興味をお持ちのようだ、龍司がだいぶ前から一目起き結果を示した。私はとっくに尋常ならざるお人だと分かっているが、父上は今回の婚儀でお分かりになるだろう。
「氏康殿、お初にお目にかかります。織田家当主の織田上総介信長と申しまする、此度の婚儀で両家の結びが強くなることを大変嬉しく思っております」
「私が北条家当主の氏康である。こちらこそ織田家との縁を嬉しく思いますぞ」
何事も無く三日間の婚儀を終えた。
「松千代丸、儂から見たら信長は普通だったのだが」
「まだ形式的なお話しかされてないではありませんか。踏み込んで話せば直ぐにお分かりになりますよ」
その後、信長殿と交流を深めた父上は顔を真っ青にしていた。気持ちは分かる、龍司と遜色ないのだ。
龍司は日ノ本の外から来た為、南蛮や明に詳しいのは分かる。だが信長殿は我々と同じ日ノ本で生まれ育ったにも関わらず、銭から金と銀が取れることから南蛮や明を脅威と感じ一刻も早く日ノ本を纏める必要性を説いている。
信長殿は龍司を超えると思っている。そんな信長殿を早期に見出した龍司も凄いが、やはり信長殿の勘の鋭さと才覚は凄いとしか言いようがない。龍司は才覚がありすぎるのが欠点と申していたが、いまいち分からない。北条に帰ったら織田家に何を説いたのか聞いてみるとしよう。
坂本龍司
「今のところ婚儀は順調に進んでいます」
「そうか、愚か者に邪魔だけはされちゃだめだ。警戒を続けるようにして」
「御意」
美濃を半分取った事で新九郎は怒り狂ってるだろうな、そういう状態の人は何をしでかすか分かったもんじゃない。幻影衆を五百も尾張に派遣した、絶対に邪魔はさせないぞ!
齋藤新九郎
「殿、尾張の守りが固く侵入出来ません!」
「くそ、雇った乱波は何をしておる!所詮は忌まわしい奴らよの、使いもんにならんわい」
「向こうも乱波を雇っているらしく、五百ほどおりますれば」
まさかまた北条か!?坂本龍司が乱波を重宝しておるのは聞いておる、また坂本龍司か!忌まわしい奴らを囲い込むお主もろくな奴じゃないの、儂の手でひねり潰してやるわ。
「とにかく邪魔をしろ、手段は問わん」
「それが雇った乱波共が行方知れずでして」
「だったらお主らでなんとかしろ!そんなこともわからんのか!!」
「・・・畏まりました」
まったく、父上が纏めてた美濃はこんなに使えん連中ばかりだったのか?愚か者しかいない美濃を纏めるのに難儀していたとは、父上もその程度のお人だったと言うこと。
儂が美濃を再び纏め織田を追い払い尾張を手に入れてみせるわ。そうすれば父上も帰蝶も土下座して儂の前に現れるじゃろう、今から楽しみで仕方ないわい。
坂本龍司
「殿の見立て通り、尾張に侵入しようとする者が多くなっております。五百を派遣してなければ危うかったかと」
「お馬鹿さんは頭に血が上るともはや収拾つかなくなるからね、冷静な判断なんてできっこないよ」
「派遣してる幻影衆も大変な思いをしてるだろうから、追加の報酬を渡しとこう。と言ってもお菓子だけど」
「誠子殿のお菓子ですか、家中では大変好評ですからな。皆も喜びましょう」
尾張に向かっていた北条家の面々は一ヶ月ほど滞在して帰ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます