北条 VS 武田 其ノ一
坂本龍司
夏の残暑が続く中、武田が戦支度をしている報告が入った。
「信濃への侵攻じゃないの?」
「かなり大掛かりな準備をしております。恐らく北条、上野への侵攻かと」
最後の意地ってやつか?俺には全然分からん気持ちだな、一つの戦でどれだけの犠牲が出ると思ってるんだ。最初から俺と信玄は水と油だった訳か。
「大殿も今回の戦で武田を叩くつもりだろう。焔神衆は何人になったの?」
「一万五千ほどです」
「ようやく万を超えたか、選んでる分時間がかかったけど超強いからね」
「シールドを使った訓練も既に終えており、いつでも戦える状態です」
俺は智と光秀さんと一緒に小田原城に行き、氏康さん、幻庵さん、氏政さん、重臣の皆と軍議に参加した。
「なに?焔神衆を突っ込ませるだと!?」
「はい、盾の訓練を終えているのは焔神衆と少数の常備兵のみ。ここは焔神衆に先陣を切ってもらい、武田の出鼻をくじこうかと」
「うむ、今回は武田もほぼ全軍を出してくるだろう。越後に援軍を頼みたいが距離があるしのう」
「長尾家には、信濃を抑えてもらうだけで充分かと。信濃と越後の国境に陣をかまえ、武田への援軍を阻止してもらいましょう」
さすが明智光秀、地図も見ずに的確な策を出てきた。頼もし過ぎる!
「うむ、手配は龍司に任せる」
「畏まりました」
「今回は大筒は役に立たんだろうな、武田が対策を練ってるはずだ。それよりも投石などで攻めた方が効果的じゃろう」
幻庵おじさんは大筒を使わない策か。確かに効果は大きいけど最初だけ、その割に費用が馬鹿にならないんだ。
「でしたら投石などは幻影衆にやらせましょう。火薬を多少仕込めば充分な武器になります」
実は石じゃなくて、鉄で作った撒菱(まきびし)が大量にある。それを火薬と一緒に投げ込めば大砲以上に厄介な武器になるはずだ。
「また、今回の戦で氏政に初陣を飾ってもらう。皆の者助力を頼むぞ」
「「「ははっ」」」
武田信玄
北条を叩く!向こうも大戦の準備をしていると報告が来た。負けられん、武田家をかけた戦いじゃ!!
「殿、いつでも出れます」
「散々苦い思いをされた北条を叩くぞ、武田の意地を見せろ、この戦武田がとる!!出陣じゃーーー!!!」
「おぉーーーー!!」
武蔵を壊滅させ、上野と断絶させる。北条を弱らせるにはこの策しかない、ここでなんとしてでも勝たねば武田家が滅びる。武田の恐ろしさを思い知らせてやる!!
長尾謙信
武田との最後の戦か、龍司からは信濃との国境に軍を布陣するだけで良いとされているが・・・最後の部分はどういう事だ?まあ良い。借りは返せないほどあるのだ、北条が思う存分戦えるよう助力するのみ!
「信濃付近に陣を構えるぞ、数は三万用意せよ」
「大軍ですな」
「三万も用意すれば武田も無視は出来まい。少しでも気をこっちに向けてくれれば北条がやりやすくなる」
「大きい借りが山ほどありますからな、ここは一つ派手にやりましょうぞ!」
坂本龍司
北条軍五万五千に対し武田軍四万。
正直もっと出せたけどあまり差があると油断しやすくなって、纏めるのが大変になってしまう。
戦場は武蔵で防衛だったけど、あえて野戦を選んだ。焔神衆の強みを一番発揮出来る舞台だ、暴れてもらおう!
「焔神衆の皆、なかなか機会がなかったけど今回で全て巻き返せるはずだ。厳しい訓練に日々耐え抜き、常に覚悟を持った皆なら武田など捻り潰してくれるだろう。先陣で徹底的に武田を叩き、相手の士気を折ってやれ!!」
「おぉーーーーーー!!!!」
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