お市ちゃんの伊豆探訪とゴム
坂本龍司
帰蝶姫も幻影衆に助けられ(攫われ)無事に織田家に届けた、信長さんからラブコール並のありがとう!!が全面に伝わる文が来た。恐らく帰蝶さんを気に入ったのだろう、おしどり夫婦になるんだろうな。
そんな尾張だけど、氏政君が帰るのと一緒にお市ちゃんも北条に来ることになって大急ぎで出迎えの準備をした。
氏政君が北条を知るなら伊豆。と言ったそうでこれから二人で来るみたい、俺は初対面で苦い思いをしたから会いたくなかったけどそうもいかず・・・笑顔を引きつらせながら出迎えた。
「お市姫、お久しぶりでございます。伊豆守の坂本龍司でございます」
「お久しゅうございます、市です。氏政様から伊豆を強く勧められましたので、共に参りました」
流石に他家だからデカい態度は取らないか、ヒヤヒヤするよほんと。
氏政君が案内してる様子を見ると、だいぶ仲良くなったみたいで良かった。この時代は政略結婚が当たり前だし惹かれ合うことも多くはない。
大殿はお市ちゃんの優秀ぶりに驚いていたとか、氏政君が信長殿はそれ以上で父上も超えますとハッキリ言ったらしく氏康さん少し落ち込んだらしい。
「龍司殿、あの大きい船はなんですの?」
「あぁ、あれは伊豆の領民も乗せて海を渡れるようにした船です。船内で食事も取れるように作っておりますので、完成したら若様といかがですか?」
「まぁ、それは良いですわ!兄上からは一年いないに戻ってこいと言われております」
これはあれだな、帰るまでに乗りたいから造って!って言ってるな。うん目がそう言ってる。
「・・・急いで造らせます」
「お気遣い有難く」
氏政君、そんな目で俺を見ないでくれ!同情されても塩を塗られてるようなものなんだ・・・
そのあと二人は温泉に入った、何故か俺も誘われたけど全力で拒否した。今のところ混浴になってるから、近い内に別々にしとこう。
そして俺の屋敷に泊まることになったので、急遽歓迎の宴(BBQ)を開いた。お市ちゃん大興奮してたね、こんな自由な宴は初めてだろう。帰って信長さんに話したら真似するんだろうな、そこまで想像できちゃうね。
坂本龍司
永禄四年、1559年 年始
俺が待ち望んだゴムの生産に成功した。合成ゴムは石油が必要だったから諦めた、出来なくはないけど流石にオーバーテクノロジー過ぎる。なので今回はゴムの木から作った天然ゴムになる。
職人に予め作らせておいた馬車の車輪にゴムをつけて快適性を上げる。街道を整備したとはいえアスファルトじゃないからお尻がかなり痛くなるのを見越して、普及させる前にゴムを付けた。
北条家で大事なお客を招く時や、他家の使者を応対する時にも使えるし需要はかなり高いだろう。
「前々からゴムへの執着が凄いですが、何を成されたかったので?」
「ボールに決まってるじゃん、ゴムがあればスポーツが出来る!」
「また娯楽ですか」
え、そんな顔する?智に呆れられるとダメージ凄いんだが。
「まずはドッジボールだな。ルールも簡単だし領民にも流行るだろう!てか綱引きとかはすぐ出来たね、思いつかなかった・・・」
「ではボールも作成しておきます」
「あとはサッカーも出来るかな?細かいルールを作ると怪しまれそうだから大雑把に。それとバレーも出来るな、いつかは野球も・・・」
智はため息をつきながらボールの作成に着手した。なんかごめんね?
「そう言えば前に頼まれてたやつ作っといたぜ」
木兎にはシールドを作ってもらっていた。俺の影響で史実よりも早く他家が火縄銃を持ち始めている、その対策にシールドの案が浮かんだわけだ。
「骨組みは竹を加工して立てて、鉄を薄く伸ばしたやつだ。凹みはするだろうが長持ちはするし軽量化も済んでる」
「流石だよ吉虎!早速量産してくれ、これでまた味方の兵を守ることが出来る」
前から思ってるけど偽善でもなんでもいい、せめて手の届く人達の命はなるべく守りたい。常備兵だって戦の道具じゃない、人なんだ。帰りを待つ家族だっているし、そんな人達の暮らしをこれからも守っていきたい。
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